百醜千拙草

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二大政党制と無政党制の分かれ道

2010-01-08 | Weblog
沖縄米軍基地問題で優柔不断な態度を見せ、不評の仕分け芝居をやり、そしてガソリンの暫定税率廃止の約束を事実上破ってしまった鳩山氏、一連の出来事のそれぞれが単発であれば、それほどの大きなダメージはなかったと思われるのですが、これらのことが一斉に起こり、おかげで、産経をトップとする民主党攻撃専門メディアに散々、針小棒大にあることないこと書き立てられていています。そしてこの度の藤井財務省相の辞任、健康上の問題のようですが、タイミングが悪いです。昨年の政権交代に対する国民の期待が大きすぎたのか、これまでのところ、鳩山内閣は順風満帆とは言えぬ厳しい船出となり、ここにきて既に逆風に煽られています。このままでは参院選までに、民主党の評判を大きく落とすことにならないかと心配しています。
 とにかく、公約やぶりは大変マズいです。約束を守らなくても、謝ったら許されるというのでは、約束はないに等しいのです。約束を破れば、前もって約束が守れるかどうかどうかの判断もできない無能であった、とみなされるか、悪ければ、人気取りのために故意に嘘をつく信用できない人間と思われてしまいます。約束した以上、守る、どうしても無理だと思うのなら、なぜ約束を守ることが困難なのか、まず国民に十分説明し、あらかじめ、できるだけの理解を得なければなりません。その時間がないというのなら、時間の管理のできない無能なヤツという評価を更に受けるだけです。アメリカではしばしば、重大な決議に際して、大統領が直接国民に語りかける”State of Union”のようなスピーチを行い、全国放送されます。公約破りのような国民の反対が出る決議に際しては、鳩山氏も直接テレビで国民に対して広く演説して、分かってもらう努力をしなければならないと思います。

 政権交代の意義は政権交代そのものにあると私は思ってはいますが、政権交代直後のここで、民主党が支持を大きく失ってしまっては、却って、国民の政治不信を招き、政権交代の意義も薄れてしまうどころか、逆効果となりかねません。国民は政権政党を変えれば、何かがかわるはずだ、と思って政権交代を実現したのに、蓋を開けてみれば全く期待はずれ、となれば、国民は政治に興味を失い、日本の政治はますます腐り、三権独立は夢と消え、官僚政治がはびこり、国民はその手足を彼らに縛られることになるでしょう。民主党には少なくとも、あと数年、二大政党制(もどき)が根付くまではがんばって貰わねばなりません。(そのためには、対立政党が必要です。今の自民党ではダメです。自民党にはしばらく辛酸を舐めてもらって、もっと実のある政党として復活してもらわねばなりません。そのためにも後、数年、民主党が頑張る必要があります)このまま自民党が自滅して民主党が空中分解すれば、二大政党どころか、日本は無政党制となってしまうでしょう。メディアの世論操作の逆風、経済低迷、財源不足、歴史的赤字という苦しい状況であるのはわかります。しかし、政権交代した以上、もう逃げ場はありません。全力で、背水の陣で戦って貰いたいと思います。
 その辺のところ、鳩山さんの気持ちがイマイチ伝わってきません。危機感を持っていないはずはないと思うのですけど。国民はその覚悟のほどを聞かせてもらいたいのに、なんとなくはぐらかされているような感じです。世の中がここまで切羽詰まっていなければ、宇宙人でもいいのでしょうけど、苦しい中を一丸となって乗り切って行くためには、カリスマというものが必要です。その点、田中角栄は傑出していました。鳩山さんに角栄のカリスマを求めるのは無理でしょうけど、宇宙人ではいかんです。と言っても、今の政界、どちらを向いてもそんなカリスマ性のある政治家は見当たりませんけど。

 ところで、背水の陣というのは、自らの逃げ場を断つことで、雑兵の戦意を高めるのが一つの目的でしたが、本来は別の目的がありました。韓信が圧倒的不利な軍勢で、この戦法をとったとき、攻める趙軍は、その陣形をみて、兵法を知らぬ愚か者であると油断し、城を開けて全軍で攻撃に回りました。そこへ、別に用意しておいた別部隊が城を背後から攻撃して占拠し、趙軍の混乱を誘って、戦いに勝ったということだそうです。つまり、大将ひきいる主要部隊そのものをおとりとして使った大胆な戦略だったということです(項羽と劉邦から)。とすると、背水の陣で、もう一つ重要なのは、実はその裏に隠された戦略であると言えます。今の民主党をみていると、まさに韓信群同様の寄せ集めの雑兵で、連合政権内の統制も十分ではありません。鳩山さんの優柔不断ぶりを見ていると、自ら窮地に追い込む気迫も余り感じられません。裏の戦略はあるのでしょうか?あるとしたら小沢さんなのでしょうけど、例によって、小沢さんも何を考えているのか分かりません。
 「選挙に勝って、裏で院制を敷くために、選挙前に小沢さんは辞任して、鳩山神輿を担いだのだ」というシナリオを、マスコミはとにかく国民に植付けようとしているようです。もしも、そのマスコミを黙らせるような戦略がない(あるいはマスコミの言う通り)なのであれば、鳩山神輿を担いだ以上は、小沢さんは、ここは我慢して、できるだけ目立たないように蔭に隠れている必要があると思います(海部内閣の時の教訓もあります)。首相を差し置いて沖縄基地問題に関する私見を述べたりしてはいけません(私、意見そのものには賛成ですけど)。この段階で、担ぐ神輿が軽いと思われては、この内閣は総崩れになってしまうのでは、と私は心配します。鳩山氏がリーダーシップをアピールするのは当然として、他の民主党員および連合を組む政党の人も、私を捨てて、鳩山氏をもっともり立ててもらいたいと思うのですけど。とにかく、鳩山さん、もうちょっとしっかりして欲しい。小泉さんみたいにウソでも中身がなくても、自信満々で大きな声で叫ぶだけで、国民はついてくるのです。ここで失敗は許されないのですから、「絶対に成功させる」という決意をもっと国民に示さねばならないと思うのです。このあたりの頼りがいのなさというのは、育ちの良さの欠点なのでしょうか。
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