開け放している車のドアに止まっていたトノサマバッタ。
いつもながら惚れ惚れするメカニカルな後ろ脚の幾何学模様。
ここに瞬発力を生む筋肉がありエネルギーが溜めこまれているのだと見せつけているようだ。
まだ翅が生えそろっていない幼齢の若草色が凛々しい若殿を想わせる。
NHKの大河ドラマ『おんな城主直虎』で幼馴染の亀が凛々しい若武者となって、久しぶりに帰ってくるシーンがあった。
まばゆいほどの笑顔で「おとわ 久しいのう」と言うセリフがまだ耳に残っている。
しかしながら、あの眉目秀麗な役者はつい先ごろ自ら命を絶った。
と、ここまで書いて、色々と調べてみたら、トノサマバッタではなく、ミカドフキバッタだと判明した。
殿様どころか帝であったからタイトルも後半を付け足した。
それに翅が生えそろっていないと書いたが、このてのバッタは翅が退化したのだそうで、だからなおさら後ろ脚が発達したわけか。
目からちょちょぎれ流れる黒い涙よごれと、後ろ脚の下側の真っ赤なラインがミカドフキバッタの特徴のようで、もうこれは他のバッタと間違いようがない。