スコップをざっくりと入れて土を起こすと、土が割れてジャガイモが見えてくる。
そこでしゃがみ、作業用手袋をした手で、育った芋をすくいあげる瞬間が醍醐味。
ところが、指先に土の感触が抜けて空振りを感じることがある。
ぽっかりとネズミ穴が空いていて、その畝はかなりの被害だった。
よく聞く話だけれど、食うならちゃんと完食したらいいものを、そういうのはたまにしかなくて、大抵は少しだけかじるというお行儀の悪さ。
ジャガイモもそれに対抗してか、根を伸ばしてかなり離れたところに芋を作ったりする。
そうなると、私がいくら注意深くやっても、掘り残しがある。
かなり発掘もしたのに、秋野菜を作るために豚糞を撒き散らし、耕運機をかけてみたら、結構な数の芋が出てきた。
耕運機の刃で切られてしまっているから、今夜は全部を使ってカレーを作るべし。
それと同時にスコップでは取りきれなかったり、畝と畝の間に埋まっていた多くの石ほか埋蔵物と根っこが出てきた。
耕せば空気が含まれて土が増えた感じになるはずなのに、地道に取り除いたから周りと水平か下がり気味の畑になった。
ネズミ穴は見られたけれど、ネズミの実物が出てこなかったのは、種を保つのがやっとくらいの感じで天敵にやられているものと思われる。
うちの周りには肉食のトガリネズミ(ネズミとは名ばかりでモグラの仲間)もいるし、ヘビもけっこういる。
フクロウやミミズクなどの猛禽類も昔からいて、いまも鳴き声は聞こえる。
師匠の直感的農法を受け継ぎ、農薬は使わないようにしている私の農事は、もう自然な循環の中に組み込まれているのだろう。