


地面が表れると間髪を入れずにでてくるのがフキノトウ。
開く前の蕾状態を揚げると、油の中で葉が良い加減に開き、しかもあまり苦くないのだと地元の幼馴染が教えてくれた。
それならやってみようかとは思うものの、初めて揚げた天ぷらはダマダマになって食えたものじゃなかったという経験がトラウマになり、踏ん切りがつかない。
そうなると失敗がないフキノトウ味噌が一番手軽で、これなら開き切ったのが摘みやすいし嵩も増える。
いろんなやり方があるなかに、私のは、ゆすいで湯がいて水に晒してみじん切りにして少し油を引いたフライパンに入れて酒とみりんと砂糖と味噌を混ぜたのを加えて水気が飛んだら出来上がりという方法。
加えるそれぞれの量によって、微妙に毎回味が違うけれど、いつだってそこそこにおいしい苦さの仕上がりとなる。
でも、ここで伝えたい一番肝心な事は、湯がいたお湯がMOTTAINAIので、ゆで卵を作るということ。
フキノトウを掬い上げた後で、卵の尖ってない方を軽くスプーンで叩いてヒビを入れる。
そっと卵を湯に入れてから再度点火、グラグラと沸いてから2分ほどして火を止め、余熱で10分くらい放置する。
そうすると、ひび割れた部分が黄緑色にうっすら染まり、フキノトウの苦さが白身に移る。
たんなるケチ根性で作るわけだが、このゆで卵を食べると、かなり後までほろ苦さが口に残る。
息を口から吸うと、ひやりとほろ苦さが感じられて、若い頃のあれやこれやを想い出してしまう、これが早春の味。