和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

詩歌のユーモア。

2013-01-20 | 詩歌
織田正吉著「日本のユーモア1 詩歌篇」(筑摩書房)を
まず、読む。一回だけじゃよんだことにならないでしょうが、
三回読み終れば、ワン。と吠えて、一回にもどったりして(笑)。


とても内容の豊かな一冊。
たとえば、
「連歌は一種のしりとりである。」(p127)なんて、
それだけで楽しくなってくるのでした。

万葉集にあらわれる滑稽歌人・長忌寸意吉麻呂(ながのいみきおきまろ)の紹介文に、題して「三題噺万葉版」(p20~)。
そこでは、夜に大勢の宴会の席で、狐の鳴き声が聞こえたので、一同が意吉麻呂に『器物、狐の声、川、橋にかけた歌をすぐに作れ』といわれて、関連のない雑多な題を、意味の通じる歌に仕立てて一首にするという技巧を分りやすく説明しております。
そして、そのあとにおもむろに

「意吉麻呂の歌は近世の落語に登場する『三題噺』の趣向と同じ性質のものなのである。」(p21)とつづけるのでした。そして、三笑亭可楽(初代)の噺と三遊亭円朝の『鰍沢(かじかざわ)』へと紹介が及ぶのでした。

さらに、この題のしめくくりはというと

「あらゆる種類の情緒を含む歌を詠みこなす上、さらに座興としてこのような御機嫌をとりむすぶ歌をふるまうところに、意吉麻呂の幇間のような職業的性格が見える。」

ここから、グッと襟元をつかまれて、本文へと引っ張りこまれるわけです(笑)。
コメント
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