和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

この考え方は間違っているのではないか。

2017-11-27 | 道しるべ
佐藤智恵「ハーバード日本史教室」(中公新書ラクレ)
その第3講義は、アルバート・クレイグ。

そこから引用します。

「・・京都大学に留学中、たまたま
東京大学の遠山茂樹教授が書いた『明治維新』という
本を読みました。それがきっかけとなり、
明治維新について深く知りたいと思うようになったのです。
遠山教授はマルクス主義の歴史学者であり・・・
明治維新について書かれた他の本も読んでみましたが、
驚くことに、日本の歴史学者が書いた本のほとんどが
マルクス主義の視点から書かれていました。・・・
私は『この考え方はまちがっているのではないか』
と疑問に思いました。そこでアメリカ人の視点から
新たな史観を示す必要があると思い、
明治維新について本格的に研究することにしたのです。
・・・・
もっぱら、日本の学者から多くを学びました。
その一人が東京大学の岡義武教授です。
彼は当時の日本の歴史学者としては珍しく
マルクス主義者ではありませんでした。・・・」
(p90~91)

次に引用するのは、「教授職への人事上の利権」が
マルクス主義にあるという視点で
小川榮太郎氏が対談で語っております。

長谷川】 ・・・それは役所だけでなく、
学校教育のなかにもあり、メディアのなかにもある。

小川】 言い尽くされていることですが、
基本的に反日で、日本に対する憎悪を持ち、
日本の歴史を嫌っている。
さらに政治権力は悪であるという発想ですよね。
反国家、反権力、反日的な思考が、
特にエリート層に残っている。
故渡部昇一さんがよくおっしゃっていたのは、
『敗戦利得者』という言葉です。
彼らは敗戦によってある種の利得を得、
さらに『人事利権』という形で
自らの思想を後継に繋いでいく。
マルクス主義的な発想を持った教授に付けば、
学生もまたその思想に染まっていく。
染まっていなければ、研究室に残れない。
こうした思想傾向の学閥が・・
日本の津々浦々まで浸透している。
一方、保守は・・・
日本の知識人が進歩派や共産主義に
雪崩を打って傾斜してゆく思潮に対して、
独立独歩で戦ってきました。
だから、渡部昇一さん、中西輝政さん、
西尾幹二さん・・・
誰もが人事上の利権からむしろ排除されてきた。
いわゆる左派的なイデオロギーが圧倒的な
人事利権で後続を育て続けてきたことが、
戦後七十年経っても日本の言論界を構造的に
変えられない一つの要因だと思います。
(雑誌「Hanada」p83・2018年1月号)


渡部昇一さんらに加えておきたいのは
宮脇淳子さん。

宮脇淳子「真実の中国史」(李白社・2011年)の
あとがきで、宮脇氏は、何気なくも
こう指摘しておりました。

「日本の歴史学界、とくに近現代史の専門家たちの
左翼偏向を、私は昔からよく知っていますから、
自分でわざわざそういう本を買って読んだりはしません。
今回、質問を受けて、一般に流布している
歴史書のでたらめさ加減に、あらためて衝撃を受けました。
私はこの9月21日に59歳になりましたが、
大学の常勤の職には一生縁がなさそうです。
いまになって思えば、こんなに自由に
ものが言えるのはそのおかげなのだから、
神さまの思し召しだったのかと思います。・・・」(p335)


う~ん。
マルクス主義が就職のコネとなる世界。
歴史学会商売も、商売繁盛でなにより。
でもね。コネ本の学校訪問販売お断り。
それよりも、
人事利権から排除されてきた方たちが、
綴ってくださった本の宝を探しだす喜び。
うん。これこそ読書の醍醐味。
コメント
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