うん。徒然草と方丈記は読んだのですが、
枕草子を、きちんと読んだことがなかった。
短いのだし、今度最後まで読んでみよう(笑)。
伊東静雄は、先生で学生の庄野潤三へと語った言葉に、
『枕草子は、その書きぶりが賢そうで嫌いだったけれども、
書いてあることは非常に大切。日本の美感の源泉で、
これを知っているといないとでは大へんな違いとなる。』
(p118・庄野潤三著「前途」講談社・昭和43年)
うん。日本画の花鳥風月を味わうには、枕草子かもね。
せっかくなので、『前途』からあらためて引用。
庄野潤三が伊東先生のお家へ行った場面でした。
「・・・配給のお酒を一緒に飲む。
『全部飲んだらいけませんで』と云われる。
晩、先生も元気が出てきて、文学の話が弾んだ。
・・・・・・
話は国文学の読みかたに移る。先生はこう云った。
和文脈の中心となるものは、先ず
源氏物語、伊勢物語、枕草子、徒然草、倭漢朗詠集の五つ、
日本の美感はこれに尽くされている。
このうち源氏物語が大本であるが、全部読むのは面倒ゆえ、
好きなところを引っぱり出して読めばいい。特に大切なのは
枕草子と徒然草で、これは是非とも読む必要がある。
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自分が書きたいと思うことがあると、
昔の人はそれをどう書いてあるか、すぐに見てみる。
こうなると、文学の本道に入って来たと云ってよい。
・・・・・・
たとえば菊のことを思えば、すぐ菊のところを
枕草子でも徒然草でもいい、引っぱり出して読んでみる。
通読しなくてもよいから、気の向いた時、
すぐ出して、そこだけを読む。
・・・・
枕草子は、その書きぶりが賢そうで嫌いだったけれども、
書いてあることは非常に大切。日本の美感の源泉で、これを
知っているといないとでは大へんな違いとなる。」
はい。最近、京都は京都でも、
日本画への興味がつのります。
その花鳥風月は、枕草子なのかもしれない。