鷲尾賢也著「編集とはどのような仕事なのか」(2004年)の
あとがきに、
「・・現場に即した編集の教科書がほしい。
現役のときからずっと思っていたことである。
企画を発想する。原稿の書ける人を発掘する。
それらは簡単なようでじつはむずかしい。」(p241)
はい。この本は、万華鏡のように、角度をかえるたび、
さまざまな輝きを見せてくれるので、ある意味、鰻を
シロウトが素手でつかまえるような、触感は分るのに、
肝心の本物を捕まえられない。そんな感じがあります。
今日は、限定して第四章「企画の発想法」から引用。
「・・・多様化というと聞こえがよいが、
あれもよい、これもよい、という価値の
平準化・平均化が極度に進行している。・・
それは出版の仕事にも大きく影響している。」(p56)
はい。『あれもよい、これもよい』という発想と
企画の発想法とでは異なることを指摘してゆくのでした。
「いくらすばらしい企画でも、
実現しなければ単なる妄想で終わる。
妄想と企画は紙一重である。
妄想を実現してしまえばすばらしい企画になる。
紙一重の差は、天地の開きにもなるのである。」(p64)
「問題に挑戦してみよう、あるいはそれを
鮮やかに解いてやろうという気にさせねばならない。
企画を立てる場合の大事な前提である。」(p70)
うん。また引用ばかりになりましたが、
「企画の発想法」から、あと一箇所引用してオシマイ。
「企画は流れる川のようなもので、
動かしていかないと死んでしまう。
ひとつだけに固執してはいけない。
・・・・
テーマが自動展開していっていいのである。
自分の頭のなかでのブレーンストーミングなのである。
そこに編集会議が加わる。
そうして他人との異種格闘技になる。・・・
私たちはつねに何かを読んでいる。
新聞、雑誌、エッセイ、論文などなど、
読みながら感心したり、はっとしたりすることがあるだろう。
気になることもあるだろう。
それは企画の可能性を意味している。
気になった部分をふくらましたらどうだろうか。・・」(p72)
うん。第四章は、このあとも続くのですが、
わたしはもう満腹。