吉村昭著「冬の鷹」(新潮文庫)の最初の方をパラパラ。
「・・かれは、オランダ大通詞(おおつうじ)西善三郎の顔を思い起こしていた。西は、幼児のような細い声でオランダ語修得を志すなどということは、時間の浪費にすぎぬ無駄なことだと言い、その修得がいかに至難なものであるかを実例をあげて説明した。良沢は、西が決して悪意からそのような忠告をしたのではないことを知っていた。」(p32~33)
「よろしゅうござるか、良沢殿。百日ばかりの間にオランダ語をきわめるなどという考えはお捨てなされ。勉学は江戸に帰られてからなさるべきで、当地では勉学の手助けとなる洋書を手に入れることにつとめられるべきです。オランダ語修得は、一生かかってようやくその一端をつかむことができるものでござります。百日ほどでオランダ語云々などとは、僭越と申すもの」(p87)
「『昨日、良沢殿はマリンの書を入手された由ですが、拙宅に今朝使いがきて、幸左衛門殿のお邸によばれました。幸左衛門殿の申すには、マリンの書を読まれた良沢殿は、おそらく心もうちひしがれておられるにちがいないと・・・・。それで、私に良沢殿の様子をみてきてほしいと言われましてな。私は、承知してすぐに貴殿の部屋にゆきましたが、お姿がみえず、あちこちさがした末、ようやく貴殿が海岸におられるのを見出した次第でござります』栄左衛門の顔に、笑いの表情がうかんだ。
良沢は、苦笑した。
『いかがでござるか。眼の前が暗くなられたのではござらぬか』
『いかにもその通りです。参りました』
良沢は、うなずいた。・・・・」(p94)
私は、ここいらあたりで、満腹して、
前に読み進められません(笑)。
「・・かれは、オランダ大通詞(おおつうじ)西善三郎の顔を思い起こしていた。西は、幼児のような細い声でオランダ語修得を志すなどということは、時間の浪費にすぎぬ無駄なことだと言い、その修得がいかに至難なものであるかを実例をあげて説明した。良沢は、西が決して悪意からそのような忠告をしたのではないことを知っていた。」(p32~33)
「よろしゅうござるか、良沢殿。百日ばかりの間にオランダ語をきわめるなどという考えはお捨てなされ。勉学は江戸に帰られてからなさるべきで、当地では勉学の手助けとなる洋書を手に入れることにつとめられるべきです。オランダ語修得は、一生かかってようやくその一端をつかむことができるものでござります。百日ほどでオランダ語云々などとは、僭越と申すもの」(p87)
「『昨日、良沢殿はマリンの書を入手された由ですが、拙宅に今朝使いがきて、幸左衛門殿のお邸によばれました。幸左衛門殿の申すには、マリンの書を読まれた良沢殿は、おそらく心もうちひしがれておられるにちがいないと・・・・。それで、私に良沢殿の様子をみてきてほしいと言われましてな。私は、承知してすぐに貴殿の部屋にゆきましたが、お姿がみえず、あちこちさがした末、ようやく貴殿が海岸におられるのを見出した次第でござります』栄左衛門の顔に、笑いの表情がうかんだ。
良沢は、苦笑した。
『いかがでござるか。眼の前が暗くなられたのではござらぬか』
『いかにもその通りです。参りました』
良沢は、うなずいた。・・・・」(p94)
私は、ここいらあたりで、満腹して、
前に読み進められません(笑)。
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