山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

パンスターズ彗星迎撃なるか?(その2) 茅ヶ岳  平成25年3月11日

2013年03月13日 | 山梨百名山
 近日点通過の1日前に高所からパンスターズ彗星を撮影してやろうと、3月9日金峰山に登ったがそのもくろみは見事に失敗した。そして今度は3月11日、高度が上がって来たはずなので、この山からなら見えるはず。彗星軌道から推察すると、甲斐駒ケ岳の右脇を通過する良い構図で写真が撮れるはずだ。今度こそは!気合を入れていざ参らん、茅ヶ岳!!

 午後2時半に深田公園駐車場から出発。冬季は大明神林道は閉鎖されているため車の乗り入れができず、いつも使う林道沿い駐車場からよりも30分ほど時間がかかる。花の視察を兼ねて女岩ルートでは無く尾根道を登るが、まだ時期が早く何も咲いていない。南アルプスの山並を見ながらひたすら登るが、気温が上がった割には空深田公園駐車場には気が澄んで雲は巻いていない。これならばきっと見えるはず。期待に胸をふくらませ、5時15分、2時間45分ほどで茅ヶ岳山頂に到着した。深田公園駐車場には5~6台の車が止まっていたのでまだ誰かいるかと思ったが既に誰もおらず、皆女岩側ルートから下山したようだ。


    きれいに刈られた尾根道。花はまだ咲いていない。


    茅ヶ岳山頂。もう誰もいない。

 午後5時38分、甲斐駒ケ岳の右裾に夕陽が沈む。本日のパンスターズ彗星の軌道はほぼ太陽の軌道と一致している。その軌道上を探せばきっといるはず。照準を甲斐駒ケ岳と鋸岳に合わせて、双眼鏡片手に星を探しながらひたすらシャッターを切る。


    南アルプスに夕陽が沈む


    甲斐駒ケ岳の裾に沈む夕陽


    夕暮れの富士山


    日没直後の甲斐駒ケ岳。この視野のどこかにきっと・・・

 この日の夕暮れの空は金峰山の時よりもはるかに条件が良く、若干のモヤがかかるものの春先にしてはかなり透明度が良い。双眼鏡ではまだ彗星が見えていないが、今日は絶対に来る!とこの時点では確信していた。写ると信じてひたすらシャッターを切り続けるが・・・
 

    空気が澄み雲が無く、撮影条件は良好。この視野のどこかに絶対いるはず。

 本日のパソコンソフトでの計算では6時40分ごろに甲斐駒ケ岳の裾に彗星が沈んで行くはずだ。最も撮影に適した時間は6時25分から5分間くらいと予想していた。ところが・・・陽が沈んで急に空気が冷たくなってきた頃、突然雲が湧き出した。最初は山裾だけだったが、あっという間にその雲は活発に上昇を始め、6時20分にはすっかり茅ヶ岳山頂は雲に覆われた真っ白な世界になってしまう。雲の切れ間を縫ってシャッターを切るが、露出が合わず、さらにレンズの先端が結露し、そのうえ流れ行く雲に山が霞み・・・まともな写真にならない。もちろん肉眼では全く彗星は確認できず、双眼鏡で観察する余裕も無くなってしまった。こうして、ほんの10分の違いで今回の撮影も失敗に終わってしまった。しかし、帰って来てパソコンで撮影した画像を良く見てみると・・・。


    6時23分、雲が湧き始めた頃の甲斐駒ケ岳と鋸岳。


    上の画像をズームして見てみると・・・甲斐駒ケ岳の右上に光るものが・・・。


    さらに拡大。光が拡散している。これこそがパンスターズ彗星。


    6時26分、雲の切れ間を縫って撮影した白っぽい画像をパソコンで処理したもの。見えますか?パンスターズ彗星。


    拡大してみると、確かに尾を引いているように見える。

 6時40分過ぎまでシャッターチャンスを伺って待っていたが、完全に雲に巻かれ、頭上の星すら見えなくなってしまった。残念、あきらめて下山する。女岩側ルートを下山したが、霧で視界は5mほどしか効かず、茅ヶ岳はこんな急斜面だったかと思いながらひたすら下山。樹林帯の中は落ち葉が深くて登山道が見えず、何度か間違えつつも無事女岩まで下りることができた。あとは広い道をテクテクと歩くだけ、帰路はずいぶん長く感じた。8時40分、駐車場到着。

 とりあえずは彗星が写ったが全く満足できるものではない。おそらくは、これが山梨県で撮影された最初のパンスターズ彗星ということにはなるだろうが、これでは論外。しかし、今回の収穫は大きく、彗星の明るさや高度がほぼわかり、使うべきレンズの長さもわかって来た。次に条件が整えば、きっと撮れる、そう確信した。
コメント
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