山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

失われた草その後 花咲じじい作戦ネット張りの成果は?  平成29年6月初旬

2017年06月07日 | 番外編
 一昨年は春に葉を確認した貴重な草だが、秋には鹿に食べられたらしく消失してしまった。草をむしったり日当たりを良くしたり天然肥料を撒いたりと世話をしたつもりだったが、昨年はとうとうその葉すら姿を現すことは無くなってしまい、この「花咲じじい作戦」は赤信号が灯ってしまった。そして今年の4月、鹿の食害から保護するために登山者に場所がわかってしまうのを覚悟のうえで保護ネットを設置するに至った。果たして、その成果はどうだろうか?そろそろ葉が出る頃だ。


    かつては10株以上あった登山道途中のスズムシソウは激減してしまい、風前の灯である。


    それでも今年は1株だけ開花してくれた。


    ヤマウツボは少し数が少ない。


    この山のクワガタソウは大柄で元気が良い。


    現地に到着。このテンニンソウがはびこる斜面の傍らに保護柵が設置されている。


    保護ネットは破損無く立っている。


    昨年は徹底的に食われたシュロソウの葉が今年は全く食害を受けていない。保護ネットは機能している。


    トンボソウか何かわからないラン科らしき葉は数を増やしている。


    そして目を凝らして草むらの中を探すと・・・出ている。失われた草の葉。

 保護ネットの成果があったようで、昨年はお目にかかれなかったあの咲かなくなった貴重な植物の葉が今年は出てくれた。完全に失われたわけではなく、やはり食害によって食べられてしまっていたようだ。とにかく残っていてくれて良かった。花を咲かせるにはまだ遠い道のりだろうが、ひとまずは「花咲じじい作戦」の成果があったようだ。思わずガッツポーズが出てしまった。テンニンソウが生えていたので、柵の一部を解除して取り除き、周辺のテンニンソウも一部除去して撤退した。嬉しい1日になった。
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咲き始めた鷗のラン  平成29年6月5日

2017年06月07日 | 番外編
 先日保護ネットを設置したカモメが咲く場所だが、タイムアウトになってしまい作業が不完全なままに終わってしまっている。そろそろ咲いている頃だろうから、多くの登山者がやって来る前に作業を終えておきたい。午後から現地に向かう。しかし歩き始めたのが午後4時近く、この日は体調がきわめて悪い。気温が低くて寒いくらいなのに汗がダラダラと流れ出るうえに足に力が入らない。おそらくは血糖値コントロール不良による軽い低血糖症状だろう。休憩をこまめに取りつつ、水分を十分に補給しながら花の咲く場所まで登る。


    おそらくはカントウマムシグサと思われる。広義のマムシグサ。


    オオヤマサギソウの葉と思われる。この場所で見つけたのは初めて。


    花の咲く場所に到着すると、数株が咲き始めていた。葉の数をカウントするとこの場所は70~80株くらいあり、昨年と変わらないか若干増えているように見える。


    こちらが昨年ロープで囲った場所。花とロープの位置が近過ぎるため、設置し直す。


    花に近過ぎると花を踏まなくとも地面が踏み固められて花が衰退することになる。30㎝ほど離して設置し直した。


    さらにこの真ん中に出来てしまった踏み跡には新たな踏み込んだ痕跡があり、こちらもポールの数を増やして木で囲う。


    あと数日で咲きそうだ。


    ここは先日囲い込みが完了している場所。


    この場所は上が白で唇弁に濃い紫色の斑点が出るこの山独特のカモメが咲く場所である。昨年は1株だけだったが今年は3株開花した。


    ズーム。その気で見ないと見逃してしまう。


    こちらが通常のカモメ。唇弁の斑点が薄く、全体的にピンク色。

 さて、未完成の保護ネットの場所に行き、木の根元に隠しておいた作業道具を取りに行った。ところが、誰かゴミの置き忘れと思ったのか、それとも使えそうな道具だったので持ち去ったか、デポしておいた作業道具が無くなっていた。周辺を探したがやはり見つからず、誰かに持ち去られてしまったようだ。登っては来たが作業が行えず、無念の撤退となってしまった。

 週末には山岳連盟自然保護グループ主催の観察会兼鹿の食害調査がこの山で行われ、講師を仰せつかっている。参加者に理解していただきたいのはここ10年間で起こって来たこの山の植生の変化と、それがこのカモメのランにどのような影響を及ぼしているか、そして保護して行くためにやらなければならないことは何なのか、ということである。保護ロープや部分的な保護ネットくらいでは気休めにしかならないことを訴えたいと思っている。これから参加者に配布する資料作りをしなければならない。
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春の櫛形山を花見周回(後編)  平成29年6月4日

2017年06月07日 | 花・花・花
 池の茶屋を起点とする櫛形山山頂からアヤメ平の周回コースは現在北側のもみじ谷を回るコースがメインコースになっている。今回回るのはそちらではなくて、南側を回る管理歩道コースである。ここ数年は恒例のように歩いている櫛形山だが、こちらの管理歩道コースを歩くのは初めてである。あまり人が入らないルートではあるが、保護柵の外にあるコースなので食害を受けてあまり花は無いだろうと予想していた。ところが、歩いてみないとわからないもので、以外にも花の宝庫だった。

 午後4時5分、管理歩道の分岐に到着。道標には池の茶屋まで90分、GPSのルートでは100分と書かれている。日没前に楽勝で池の茶屋に戻れる時間であるが、折角の初めて歩くコースを急ぎ足で歩くのはもったいない。花を探しながらゆっくりと、じっくりと歩いてみることにする。



    ほこら小屋の上にある管理歩道分岐。池の茶屋まで90分だが、花を探しながらじっくりと歩く。


    水平歩道と思っていたら、以外にも最初は結構登る。


    足元にはシロバナノヘビイチゴがたくさん。


    今度はミツバツチグリ。あまり歩かれている様子は無い。


    予想通り、残っているのはマルバタケブキの群落。


    さらにバイケイソウの森。


    そしてクサタチバナ群落。いずれも鹿の食べないものばかり。やっぱりな~、とため息が出た。


    富士山の見える草地で一休み。

 管理歩道前半のルートは予想通りに鹿の食害を受けてもはや鹿の食べない植物ばかりが残る末期的な森になっていた。予想はしていたのだが実際に自分の目で見ると、やはり残念に思う。富士山の見える草地に腰を下ろして休憩していると、足元にホソバノアマナが咲いていた。こんな荒れたところでも咲いてくれるんだと少しばかり心が和んだが、この草地から池の茶屋にかけてのルートは想定外に様々な花が生き残っていた。


    休憩した草地の足元に咲いていたホソバノアマナ。


    レンプクソウ


    ヨゴレネコノメソウ


    ツルネコノメソウ


    下の黄緑色はヨゴレネコノメ(葯が暗紫色)だろうが、上の白っぽいのは葉と葉茎の様子からハナネコノメと思われる。


    ミヤマスミレが随所にたくさん咲いていた。


    ミヤマスミレ


    池の茶屋の保護柵内でも見かけたコセリバオウレンと思われる花の群落


    ツバメオモト


    ユリワサビ


    コミヤマカタバミ


    葉の辺縁の鋸歯が目立たないが、これは森の中で見たものと同じユモトマムシグサ。


    こちらはいつも見ているものに近い。ホソバテンナンショウ、あるいはカントウマムシグサと思われる。テンナンショウ類ももう少し詳しく勉強しなければならない。


    こんなところに・・・


    アオチドリ


    ミヤマハタザオ


    ナツトウダイ    


    サルオガゼ


    ヒョウタンボク。おそらく保護柵で囲われていたものと同じ、スルガヒョウタンボクと思われる。


    こんな美しいカラマツの森も残っている。

 前半の管理歩道では残念な光景が広がっていてがっかりしたが、後半の歩道沿いには想定を遥かに上回る様々な花が咲いていてたいへん楽しむことが出来た。予定時間の2時間を過ぎ、時間は6時半を過ぎてしまった。もう少し時間の余裕があれば、もっと面白い花に出会えたかも知れない。保護柵の外はもう見るべきものが無いと思っていた櫛形山だが、この管理歩道を歩いてみて、まだまだ捨てたものでは無いと思った。植生豊かな山だっただけに、探索すればもっといろいろなものに出会えるかも知れない。


    6時40分駐車場に到着。残っていたのは私の車だけ。


    気になっていたこの草は昨年山梨県山岳連盟の強い働きかけもあって保護柵で囲われて手厚く保護されています。
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