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山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

御坂山系某山の植物観察会および鹿食害調査勉強会  平成29年6月11日(日)

2017年06月12日 | 番外編
 山名を隠してもこの記事を読まれている方のほとんどはこれがどこの山かはわかっていることと思う。ここ数年間で著しく変貌を遂げているこの山の植生の変化と、それに対してどのように対応して行けばよいのか、まだ全くの手探り状態である。今年2ヶ所の保護柵を設置したものの、その程度でこの山に咲く貴重な植物の保護が出来るとは到底思っていない。しかし、現状がどうなっていてこれから起こりそうな変化は何なのかを周知しておくことはこれから先の保護活動を行って行くうえで必要不可欠なことだと考える。今回は山梨県山岳連盟自然保護グループ主催で、私の提案による観察会と勉強会が開催された。
 以下は今回の勉強会で配布した資料である。


    ~食害による植生の変化とカモメランへの影響について考える~
       山梨県山岳連盟 自然保護グループ

 かつては山頂付近に豊かなお花畑が広がっていた御坂山系某山であるが、鹿の食害によりカイフウロやタムラソウ、ユキザサなどの多くの植物が激減し、鹿の好まないヤブレガサやマルバタケブキなどが増殖する森に変わりつつある。その結果山肌の乾燥化を招き、ここ数年でカモメランは減少の一途をたどっている。



   平成24年8月19日撮影。山頂付近は豊かな草地が広がっていた。



   平成24年8月19日撮影。カイフウロやシュロソウ、レンゲショウマなどが咲いていた。


    平成28年6月撮影。全ての森がこうではないが、鹿の好まないヤブレガサが大繁殖している。


    この山に咲くカモメラン


    踏み荒らしが目立つため昨年保護ロープを設置した。


    通常のカモメラン。全体的にピンク色をしている。


    この山固有のカモメラン。上部の萼片が白、唇弁に濃い紫色の斑点が入る。

 今年はカモメラン保護のために自主的に2ヶ所保護柵設置を行った。鹿の食害と人の踏み荒らしからはある程度保護できるかも知れない。しかし、根本的にはもっと広範囲に保護柵を設置し、鹿の食害による山肌の乾燥化を防ぎ植生の回復を待たなければ、この稀少なランを含めた植物の保護は困難であろうと考えている。部分的な保護柵は一時凌ぎの効果しか期待できないだろう。 (資料:自然保護グループ ヨッシー作成)



 広い駐車場のあるこの山の麓に集合する。私を含めて18名という多くの参加者が集まってくれた。資料を配布し、今回の観察会の趣旨について説明する。そして出発。


    参加者のほとんどは山岳レインジャーの方々だった。


    昨年の画像を見直すと奇妙なマムシグサが写っていたので今年も出会えるだろうと思っていた。ユモトマムシグサ。こちらの山にもあった。


    カモメラン自生地に到着。花のすぐ左脇は鹿の食害を受けた植物の茎。ショウマ類か?


    上弁が若干ピンク色がかっているが、この山に見られる唇弁に濃い紫色の斑が入るタイプ。


    柵で囲った場所。昨年は1株しか咲かなかったが今年は3株咲いてくれた。昨年は踏み跡が目立ったが、今年はなんとか保護できている。


    ここは固有タイプがほとんど。70㎜望遠だと少し距離が足りない。


    誰かが木で隠してくれたらしいが、その木の下敷きになってしまっていたカモメラン。このようなことをしなくても良いようにしてやりたい。


    結構咲いているように見えるが、花数は激減している。


    先日ロープを張り直したが効果が無いようで、また新たな踏み跡が出来ている。柵を設置することに決める。


    唇弁の濃いものも混在している。

 途中のショウマ類はさらに葉の数を減らしており、あっても小さな葉が多くて花を咲かせるには不安なものが多かった。咲く前に鹿に食われる危険性もある。そして、さらに勢いを増して増殖しているのがヤブレガサである。あの大きな葉の下に入ってしまった植物は、日光を浴びることが出来なくなりやがては衰退して行く運命にあるのだろう。実際にヤブレガサの下にあったカモメランの群落が今年は葉も出ずに激減していた。

 山頂付近で昼食をとり下山する。この山の植生変化を見ていただくにはバリアンスルートが最適である。なにせそこの尾根に生えているのはヤブレガサばかり、ショウマもあるにはあるが、元気が無く、さらに山肌も乾燥している。そのような山の変化を見せながら、沢筋に下りてみた。


    沢筋はまだましかも知れない。ツルネコノメソウ群落。


    テバコモミジガサとゴミを回収して歩いてくれた参加者。


    コンロンソウ?


    この山では久しぶりに見かけるラショウモンカズラ。数株だが咲き残っていた。

 バリアンス尾根を下りて周回し、駐車場に戻る予定だったが、日没にはまだ時間があるので近くの休憩所がある森の中を散策して解散となった。

 今回のこの山の現状は参加者の皆さんは十分に理解していただけたことと思う。今のところ考えられる最善の策は山頂付近を広範囲に保護柵で囲んで必要ならばヤブレガサやテンニンソウなどの草を除去して植生の回復を待つことであろう。山肌の乾燥化はラン菌の活性を低下させてしまい、カモメランが減少する最大の原因になっているのではないかと考えている。個人の力や山岳連盟で広範囲に保護柵設置を行うことは困難であり、行政の力を借りるしか無いであろう。しかし、それを待っている間にも花たちはどんどん衰退して行くわけで、今私たちに出来ることと言えば狭い範囲でも良いので柵で囲ってあげることくらいだろう。今年は2ヶ所しか囲えなかったが、来年はみんなで囲いに来ましょうということで話がまとまった。少しずつではあるが、観察から保護の方向に向かって転換出来てきたように思う。


    参加者の皆様、ご苦労様でした。来年は柵を設置に来ましょう。
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Strawberry Moon? そんなものが見えるのか?その2 大平山  平成29年6月9日

2017年06月12日 | 番外編
 前日の夕暮れを狙って端足峠に登ったが天候不良で富士山も月も全く姿を現さず、夕暮れのストロベリームーンは不発に終わった。

 下山後夕食をとってから山中湖に向かう。チャンスはもう一度、明朝にやって来る。大平山から平尾山にかけての稜線上で富士山のほぼ真ん中あたりに月が沈むはずである。時間的には石割山が良いのだが、残念ながら富士山頂から若干右に月が外れてしまう。大平山だと日の出の15分前、平尾山だと10分前くらいに富士山山頂に月が沈む計算だが、今回は山中湖の眺望が良い平尾山を撮影地に選択した。山中湖長池の駐車場に車を止め車中泊する。月が富士山に沈むのが4時5分ごろ、大平山まで1時間半と計算して、未明2時に出発しないと間に合わない。時刻は既に午後10時、あまり寝ている時間は無い。目覚まし時計を1時半にセットしてとにかく寝る。


    未明2時の山中湖長池から見る月と富士山。霞んでいるが月も富士山も見える。

 予定通りに午前1時半に起き出して車の外に出る。月が明るく照らしているが富士山はかなりぼんやりとしている。撮影してみると一応姿を現しているようだ。あまり条件は良く無さそうに見えるが、登ってみないとわからない。午後2時出発する。休憩無しに黙々と歩き、尾根道の直登ルートを登って1時間15分ほどで大平山山頂に到着した。先客が既に2名、三脚をセットしてスタンバイしていた。そのうちの1人は裏側の林道を車で山頂まで登って来ていた。悪路ではあるが、RV車ならば登れる道である。しかしちょっと反則なのでは?という気もしないではない。


    山中湖は雲海に覆われていた。綺麗な月が富士山に傾いていた。


    雲海の山中湖と月


    富士山頂に傾く月


    もうすぐ山頂に沈むが、ストロベリーになるのか??


    富士山頂に月がさしかかる。


    これは普通のパール富士。期待していた(いや、無理だろうと思っていた)ストロベリームーンにはならず。


    露出を変えてみたがやはり赤くはならず。

 やはり、ストロベリームーンにはならなかった。よほどの条件が良い時でなければ赤い月は見られなそうだが、標高2,500mを越える高所から目線の下に見下ろす月もオレンジ色から赤い月に見える時があり、おそらくはそれと同じような現象なのではないだろうか。

 カメラマンは総勢6~7人になっていた。月が見えなくなっても、まだ誰も帰ろうとする者は居ない。これから朝日が富士山を照らすようになり、紅富士が期待できるからである。


    アースシャドウの富士山


    山頂が染まり出した。


    真っ赤というわけでは無いが、この季節にしてはかなり色付いたほうだろう。


    梅雨の合間の紅富士


    朝日に染まる富士山


    山中湖を覆った夜明けの雲海


    日の出


    富士山の裾野まで朝日が差し込んだところで撤収。

 時間はまだ朝の5時である。ちょっと眠い、どころではなくてこのまま横になればそのまま眠れそうなくらいに眠いが、折角の好天なので石割山まで歩いてみることにする。


    振り返って見る大平山と富士山。大平山山頂に止まっている車が見える。


    平尾山から見る富士山


    朝露のアヤメと富士山。フラッシュ調整発光。


    石割山山頂


    石割山から見る朝富士

 7時石割山山頂に到着した。その頃には山中湖を覆っていた霧はすっかり消えていた。梅雨時にしてはきわめて珍しい、真っ青な青空の中に富士山が立っていた。

 石割山山頂で朝食をとって下山する。来たルートを戻るのも良いが、折角なので歩いたことが無いルートを歩いてみることにする。東海自然歩道はいつも石割神社に短絡するルートを歩いており、その先の平野まで至るルートはまだ歩いたことが無い。さらに、湖畔を走るサイクリングロードもどうなっているのか、ロケハンの意味もあって一度歩いてみたいと思っていた。平尾山の分岐点まで下りて平野に至る東海自然歩道を下山する。


    平野に至る東海自然歩道、良い道が林の中を走っている。


    ユモトマムシグサか?と思ったが、葉の数と分岐の仕方が違う。普通のマムシグサと思われる。


    平野湖畔から見るダブル富士山。この場所は入り江になっていて、ダブルダイヤモンド富士を撮るにも良さそうな場所だ。


    サイクリングロードから見る富士山。長池の駐車場までもう少し?ではなくてかなりあった。いちばん疲れたアスファルトの道歩き。

 大平山から平尾山・石割山を縦走し、湖畔を歩いて1周したことになる。アスファルトの道は固くて足首と膝に堪える。筋肉痛では無くて軽度ではあるが関節痛になった。

 長池の駐車場には10時に到着した。助手席の椅子を倒してちょっと横になると、そのまま1時間ほど爆睡してしまった。11時に目が覚めたがまだ眠いのでもう1時間寝て、上九の湯でひと風呂浴びてから帰宅となった。それなりに綺麗なパール富士の撮影に成功したのだが、見たかったのは赤い月だっただけに折角のパール富士だったのにあまり感動できなかった。贅沢というものだろうか?


コメント (2)
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