山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

北岳の高山性シダを振り返る

2019年10月04日 | シダの仲間
 シダ植物を探すきっかけとなったのが昨年秋の北岳の山行である。私の登る1週間前に山岳レインジャー調査を含めて北岳を訪れたメンバーからキタダケデンダが見つかったという情報が入って来た。私の目的はヒメセンブリとサンプクリンドウだったがいただいた情報からシダ植物の探索も行ってきた。そしてこれこそは、と思って撮影してきたシダは下山してから調べてみるとタカネシダというシダだった。それでも山梨県絶滅危惧ⅠB類の稀少なシダである。情報をいただいたメンバーの画像を見てみてもキタダケデンダでは無くタカネシダ、ないしはアオチャセンシダのようであった。では本物はどこにあるのか?10月に再訪した際にようやく本物に出会えたのだが、既に時期が遅く枯れ始めていた。そして今年の8月、綺麗なキタダケデンダを含めた高山性シダを撮影する目的で登ったのだが、カメラの電池切れでスマホでの撮影画像しか撮れず悔しい思いをした。折角良い状態のシダがあったのに大失敗である。9月再訪を予定したが天候が思わしく無く行かず、そのままになっている。そして、過去3回訪れた際に撮影してきたスマホ画像を含めた画像を良く見直してみると、意外なものを撮影してきていたり写り込んでいたりすることが分かってきた。


    令和1年8月に撮影してきた北岳山頂近くで見つけたシダ。撮影時はトガクシデンダと思って撮っていたが葉が細くてナヨシダのほうらしい。


    その近くにあったものだが、こちらはカメラの電池切れでスマホで撮ったもの。葉の形が幅広く、これはトガクシデンダと思われる。


    悔しいのがこの画像。折角の良い状態のキタダケデンダだったのに、電池切れのためスマホでしか撮れず。


    ソーラス。ズームをかけると画像が荒くなってしまう。


    同じくスマホで撮影したアオチャセンシダ。


    同じくアオチャセンシダだが、この画像の真ん中いちばん上に何やら怪しいシダが写り込んでいた。


    トリーミング画像。この葉の形、トガクシデンダの可能性もあるのだが、イチョウシダにそっくりである。


    さらにこれは平成30年9月に撮影したタカネシダだが、一緒に写り込んでいるイチョウの葉のようなシダ。


    トリーミング画像。トガクシデンダの可能性もあるのだが形からはイチョウシダの可能性が高いと思っている。イチョウシダは石灰岩地を好む絶滅危惧ⅠA類のシダである。


    同じ日にこんなシダも何気無く撮っていた。


    この時は知識が全く無くとりあえず撮って来たのだが・・・調べてみるとイワウサギシダだった。これも石灰岩地を好む絶滅危惧ⅠA類のシダである。思えば周辺の岩が白い。


    裏側のソーラスを見ても間違い無さそうである。


    さらに平成30年10月に訪問した際にとりあえず撮って来たもの。撮影した時はこれがシダか苔かどうか分からなかったが、どうやらコスギランらしい。絶滅危惧ⅠB類である。

 まだシダ植物の知識がほとんど無い時に訪問して撮って来たものなのでその時は分からなくて当然であるし、撮影してきたこと自体も忘れていた。もし次に訪れる機会があるとすれば、もっと別の見方でシダ植物探しが出来るのではないかと思う。他の花を探すうえでもまた違った見方が出来るように思う。
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やっぱり訳の分からないシダばかり 西沢渓谷のシダ  令和1年9月29日

2019年10月04日 | 渓谷
 前日歩いた尾白川渓谷が標高約750mから1,050mくらい、一方西沢渓谷は1,150mから1,350mくらいと、西沢渓谷のほうが300mほど標高が高い。しかしいずれの沢も花崗岩で出来た沢であり、植生は似ているのではないかと思っていたのだが、西沢渓谷のほうが標高が高い分だけちょっと変わったシダが分布しているようである。少しは進歩したかと思ったのだが相変わらず分からないシダばかりで、またまたプリントアウトして図鑑とネット記事とにらめっこしながら判別を試みるがおそらく間違っているものが多いと思う。


    尾白川渓谷で多かったのはジュウモンジシダだったが、こちらの渓谷は圧倒的にこのシダが多い。


    フクロシダ。谷沿いもトロッコ軌道沿いもほとんどの岩にこのシダが付着している。


    ジュウモンジシダも普通にあるのだがそれほどたくさんあるというわけでは無い。


    他の場所でも見かけているが正体が分からなかったこのシダ。


    この場所のものは胞子嚢が付いていた。細長い胞子嚢が小羽片に沿って配列している。おそらくホソバシケシダ(イワデンダ科シケシダ属)と思われる。


    トリーミング。図鑑の記述では包膜の辺縁がギザギザしていると書かれているが、手持ちで撮ったこの画像では判別不能。


    何だか分からないものの中で特に分からなかったのがこのシダ。


    ソーラス配列。


    さらにトリーミングして見てみると細長いソーラスの他に半円から4分の3円形のソーラスが付着している。どうやらこれはヘビノネゴザらしい。


    金ヶ岳の観音峠側で見てきたものとはだいぶ違う感じに見えるが、岩壁にぶら下がるとこんな感じに見えるのではないだろうか。


    これもまた分からないシダ。ソーラス配列からホソバナライシダだと思ったのだが・・・


    何となく違う。何が違うのか・・・最下羽片があまりピンと伸びていない、かつ小羽片が少し丸みを帯びていて葉に隙間があるように見える。


    ソーラス配列を見てみるとほとんど同じように見えるが・・・


    トリーミングしてみると少し大きめのような気がする。これはナンゴクナライシダのほうかとも思ったのだが葉軸の毛はほとんど無く、ホソバナライシダとしておく。


    特徴的なシダは分かるようになった。ツルデンダ。


    一応裏側のソーラスを確認。


    岩壁に付着していたオサシダ。少し黒っぽく見える葉が胞子葉である。土の斜面のところにはシシガシラも生えていた。


    そしてこれが本日の目的のシダ。小さなシダなので見つからないかも知れないと思ったが数ヶ所で発見。


    オオクボシダ


    毛の多い可愛らしいシダである。


    胞子嚢は根元近くの葉に付いていた。


    マクロ撮影


    トロッコ軌道沿いの岩壁でも発見。


    まだ青いソーラスが付着していた。


    そしてもう1種類、これは見つけるのが難しいだろうと思っていたがなんとか出会うことが出来た。


    イワトラノオに似ているが小型で華奢である。


    ヒメイワトラノオ


    ソーラス配列。葉が細めで小さい分だけ付着するソーラスの個数も少な目である。


    トリーミングして葉を拡大してみると、先端部に突起が出ているところもイワトラノオとは異なる。


    別の場所で出会った個体。

 この日は訪問者が少なかったことが幸いしてじっくりとシダ植物を散策することが出来た。もう1種類探していたものがあったが発見できず、今の私のレベルではまだ無理なのだろう。金ヶ岳中腹で見たヒメイワトラノオかと思われたものはこの場所に生育しているものと比べると葉の形が違い、イワトラノオであることが分かった。まだまだ分からないことばかりのシダ植物だが、2ヶ月ほどでだいぶ進歩したような気がする。


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