大樺沢左又上部のハシゴを登りかけたあたりで手と足が攣ってしまったがなんとか午後1時半に八本歯のコルに登り着いた。ここから本日宿泊予定の北岳山荘までは普通に歩けば1時間半くらいであろうが、この先がこの日の本番の高山性シダの生育地である。探すのが難しい小さなシダが多いので目を凝らして歩かないと見逃してしまう。3時間かけて北岳山荘まで行きたいと思うがそれでも時間が足りないだろう。
八本歯のコル付近で見つけたシダ。コスギラン発見、と思ったが紐状に伸びているこのシダはそうでは無い。
ヒカゲノカズラの系統であるが葉が細くまばらについていることからエゾヒカゲノカズラではないかと思う。胞子穂を見ないと確定できない。来年以降への課題である。
3度目の探索なのでだいぶ目が慣れてきた。タカネシダ(オシダ科)は裏を見なくても判別出来るまで進歩した。山梨県絶滅危惧ⅠB類のシダ。
もう枯れかけているが、羽片中央に円形のソーラスを付ける。
アオチャセンシダ(チャセンシダ科)も山梨県絶滅危惧ⅠB類。
このシダは常緑性なのでこの季節でも青々とした株が残っており、石灰岩地を好むという特徴がある。
羽片の中央付近に線上のソーラスを付ける。時としてソーラスが熟すと山盛りになっていることがある。
軸の関節は確認していないが、おそらくトガクシデンダ(ナヨシダ科)と思われる個体。山梨県絶滅危惧ⅠB類。
紛らわしいのがこのナヨシダ。トガクシデンダよりもやや大型で葉が細かい。山梨県絶滅危惧Ⅱ類。
枯れかけている葉の裏にはソーラスがたくさん付いている。
トガクシデンダとの決定的な違いはこの軸の根元付近に関節と呼ばれるつなぎ目が無いことである。
目を凝らして探していたのがこのシダである。ナヨシダともう1種類・・・。
ヤツガタケシノブ(イノモトソウ科)。見つかったのはこの場所だけだった。山梨県絶滅危惧ⅠA類。ソーラスは確認したが場所が悪く撮影は出来なかった。
同じ場所のその奥にもうひとつ変な葉のシダが隠れていた。
ソーラス無し。
ヤツガタケシノブの奥に隠れていたシダは今回探していたもののひとつ、イチョウシダではないかと思ったのだが、ソーラスが付いておらず確定は出来なかった。そもそも同じ場所にナヨシダとヤツガタケシノブとイチョウシダの3種類が並んで生育しているのは変である。良く画像を見直してみると、イチョウシダらしき葉の右隣りにあるヤツガタケシノブの葉の1枚がこのイチョウシダらしきものの葉とそっくりである。そういう目で見ると、イチョウシダらしき葉の一番先端の葉はヤツガタケシノブに似ている。これはまだソーラスを付けない幼弱なヤツガタケシノブの可能性がある。いずれにせよソーラスを確認しないことには確定できず、来年以降への課題ということになる。
標高3,000m付近にあったこのシダ。
ソーラスを見るとどうやらミヤマヘビノネゴザのようである。こんなところでも生育するのか、と感心してしまう。
こちらは標高2,900m付近で見たもの。
ミヤマワラビ。林の中を好むのかと思っていたら森林限界を超えたところでも生育していた。たくましい。
これもきっちりと撮影しておきたかったシダ、キタダケデンダ(イワデンダ科)。8月に訪問した際に青々とした株があったがカメラの電池切れでスマホ写真しか撮れなかった。
山梨県絶滅危惧ⅠA類の貴重なシダである。
葉と葉軸には毛が生えているが、8月に見た時より薄くなっている気がする。
ソーラスは羽片の辺縁寄りに配列する。中軸には薄茶色の鱗片あり。
ソーラスにも毛が生えている。
そして今回の一番の課題だったのがこのシダ。一見コケの仲間のように見えるがシダである。
白い花のように見えるのは無性芽である。
マクロ撮影しトリーミングした無性芽。変形した小さな花のように見える。胞子嚢は葉の間に付いている白い楕円形のツブツブ。胞子を飛ばす時は2枚貝が口を開けるように割れる。
ではこれはヒメスギラン(山梨県絶滅危惧ⅠA類)なのか、それともコスギラン(同ⅠB類)なのか?
図鑑によるとコスギランの葉は根元部分が幅広で先端部が急速に細くなり(いわばタケノコ型)、ヒメスギランは直線的に細くなる(いわば針型)と書かれている。この株はヒメスギランと見て良さそうである。
おそらくこれもヒメスギラン。
ではこれはどうなのか?葉の形を見ると幅は広いものの直線的に先端が狭くなっているように見えるが、ネット画像ではこれはコスギランと分類されているようである。どっち?分からない。
それとも同じ場所に2種類生えているのか?
マクロ撮影してきた画像を拡大して再三見てもどちらだか分からないものがあるが、半分はヒメスギランであることは間違いないと思う。いずれにせよ、まだこの場所でしか見ていないので他の場所に生育しているものを探し出して良く見比べることが必用不可欠である。まだシダを見始めたばかりのレベルでどちらか見分けるのは時期尚早であろう。これもまた来年以降への課題である。それにしてもシダ植物は胞子で増殖したり無性芽で株を増やしたり、さらには木の上に逃げていった着生シダもある。どれも同じに見える目立たない植物ではあるが、ラン科植物と同様に多様に分化して発達を遂げてきた凄い植物だと見れば見るほど感心させられる。
八本歯のコル付近で見つけたシダ。コスギラン発見、と思ったが紐状に伸びているこのシダはそうでは無い。
ヒカゲノカズラの系統であるが葉が細くまばらについていることからエゾヒカゲノカズラではないかと思う。胞子穂を見ないと確定できない。来年以降への課題である。
3度目の探索なのでだいぶ目が慣れてきた。タカネシダ(オシダ科)は裏を見なくても判別出来るまで進歩した。山梨県絶滅危惧ⅠB類のシダ。
もう枯れかけているが、羽片中央に円形のソーラスを付ける。
アオチャセンシダ(チャセンシダ科)も山梨県絶滅危惧ⅠB類。
このシダは常緑性なのでこの季節でも青々とした株が残っており、石灰岩地を好むという特徴がある。
羽片の中央付近に線上のソーラスを付ける。時としてソーラスが熟すと山盛りになっていることがある。
軸の関節は確認していないが、おそらくトガクシデンダ(ナヨシダ科)と思われる個体。山梨県絶滅危惧ⅠB類。
紛らわしいのがこのナヨシダ。トガクシデンダよりもやや大型で葉が細かい。山梨県絶滅危惧Ⅱ類。
枯れかけている葉の裏にはソーラスがたくさん付いている。
トガクシデンダとの決定的な違いはこの軸の根元付近に関節と呼ばれるつなぎ目が無いことである。
目を凝らして探していたのがこのシダである。ナヨシダともう1種類・・・。
ヤツガタケシノブ(イノモトソウ科)。見つかったのはこの場所だけだった。山梨県絶滅危惧ⅠA類。ソーラスは確認したが場所が悪く撮影は出来なかった。
同じ場所のその奥にもうひとつ変な葉のシダが隠れていた。
ソーラス無し。
ヤツガタケシノブの奥に隠れていたシダは今回探していたもののひとつ、イチョウシダではないかと思ったのだが、ソーラスが付いておらず確定は出来なかった。そもそも同じ場所にナヨシダとヤツガタケシノブとイチョウシダの3種類が並んで生育しているのは変である。良く画像を見直してみると、イチョウシダらしき葉の右隣りにあるヤツガタケシノブの葉の1枚がこのイチョウシダらしきものの葉とそっくりである。そういう目で見ると、イチョウシダらしき葉の一番先端の葉はヤツガタケシノブに似ている。これはまだソーラスを付けない幼弱なヤツガタケシノブの可能性がある。いずれにせよソーラスを確認しないことには確定できず、来年以降への課題ということになる。
標高3,000m付近にあったこのシダ。
ソーラスを見るとどうやらミヤマヘビノネゴザのようである。こんなところでも生育するのか、と感心してしまう。
こちらは標高2,900m付近で見たもの。
ミヤマワラビ。林の中を好むのかと思っていたら森林限界を超えたところでも生育していた。たくましい。
これもきっちりと撮影しておきたかったシダ、キタダケデンダ(イワデンダ科)。8月に訪問した際に青々とした株があったがカメラの電池切れでスマホ写真しか撮れなかった。
山梨県絶滅危惧ⅠA類の貴重なシダである。
葉と葉軸には毛が生えているが、8月に見た時より薄くなっている気がする。
ソーラスは羽片の辺縁寄りに配列する。中軸には薄茶色の鱗片あり。
ソーラスにも毛が生えている。
そして今回の一番の課題だったのがこのシダ。一見コケの仲間のように見えるがシダである。
白い花のように見えるのは無性芽である。
マクロ撮影しトリーミングした無性芽。変形した小さな花のように見える。胞子嚢は葉の間に付いている白い楕円形のツブツブ。胞子を飛ばす時は2枚貝が口を開けるように割れる。
ではこれはヒメスギラン(山梨県絶滅危惧ⅠA類)なのか、それともコスギラン(同ⅠB類)なのか?
図鑑によるとコスギランの葉は根元部分が幅広で先端部が急速に細くなり(いわばタケノコ型)、ヒメスギランは直線的に細くなる(いわば針型)と書かれている。この株はヒメスギランと見て良さそうである。
おそらくこれもヒメスギラン。
ではこれはどうなのか?葉の形を見ると幅は広いものの直線的に先端が狭くなっているように見えるが、ネット画像ではこれはコスギランと分類されているようである。どっち?分からない。
それとも同じ場所に2種類生えているのか?
マクロ撮影してきた画像を拡大して再三見てもどちらだか分からないものがあるが、半分はヒメスギランであることは間違いないと思う。いずれにせよ、まだこの場所でしか見ていないので他の場所に生育しているものを探し出して良く見比べることが必用不可欠である。まだシダを見始めたばかりのレベルでどちらか見分けるのは時期尚早であろう。これもまた来年以降への課題である。それにしてもシダ植物は胞子で増殖したり無性芽で株を増やしたり、さらには木の上に逃げていった着生シダもある。どれも同じに見える目立たない植物ではあるが、ラン科植物と同様に多様に分化して発達を遂げてきた凄い植物だと見れば見るほど感心させられる。