山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

伐採された帯那山を散策  令和1年10月27日

2019年10月29日 | 山梨百名山
 予定では大弛峠から国師ヶ岳ないしは金峰山を予定していて、ついでに乙女高原のリンドウを見てから行こうと帯那山の裾を巻いて走っているクリスタル林道を進んだ。ところが、台風と大雨の影響で道が崩落しているのか、帯那山の先でゲートが閉鎖されていて通行不能になっていた。道を戻って山梨市に抜けるルートがあるのだが、途中で笠雲をかぶった富士山が見えたので予定を変更し、一番近い帯名山に行くことにした。ところが、富士山が見えたのは一瞬だけでその後はまた雲に隠れてしまった。まあそれでも良し。伐採が進んでいる帯那山斜面はどうなっているのか興味があるし、どんなシダが生えているのかも見ておきたい。春にはスミレを観察に毎年のように訪れている帯那山だが秋から冬にかけては星や夜景を見に来る以外はあまり訪れた記憶が無い。地元の山なので秋の景色を見ておくのも良いだろう。


    帯那町に至る林道の途中にある登山口から入山する。看板が新しく取り付けられていた。


    途中にある石仏。ここに登山道の分岐点がある。


    ヤマトリカブト。花枝の毛はもちろん開出毛(直毛)。


    電波塔下の林は何も生えておらず殺伐とした感じがする。あまり目ぼしいシダも無し。


    クモキリソウの大きな葉。この季節になるとかなり葉が大きくなっている。


    遅咲きのタチツボスミレ。


    伐採地の上に到着した。かなり広範囲に伐採されており道も新しく作られていた。古いほうの道も綺麗になっていてゲートは解放されていた。


    残念ながら富士山は隠れてしまったが、晴れていれば山頂以上に良い展望が得られるだろう。カノープスがバッチリ見えるはずだ。


    山頂に行ってみるが・・・


    途中まで道があったが途中から道が消失しススキをかき分けて登ることになる。


    荒れたススキ野原でも花は少し咲いていた。リンドウ。


    ヤマラッキョウ


    帯那山山頂


    山頂の休憩所は一応使えそうではあるが、倒壊の危険がありそうにも見える。

 かつてはアヤメの名所でアツモリソウもあったと聞く帯那山山頂の草原であるがシカの食害で花はほとんど無くなり今は荒れ果てたススキ野原と化してしまっている。山頂にあった桜の木は病気で花が咲かなくなり伐採されてしまっている。あまり見るものが無くなってしまった帯那山であるが、一人だけ登山者がやって来たのにはちょっと驚いた。


    さらに先に進んで三角点のある奥帯那山に行ってみる。


    少しだけ紅葉した森。台風の影響かだいぶ葉が落ちてしまっているように見える。


    奥帯那山山頂。林の中で眺望のないピーク。

 奥帯那山山頂で時刻は11時になった。ここで昼食、と言いたいところだがコンビニに寄るのを忘れて持っているのは前日の残りのパンが1個とチョコレート1枚だけだ。いずれも半分だけ食べて下山する。


    電波塔と新しく出来た道。この道を降りてみる。


    予定していたルートに抜け出た。春にはシハイスミレが咲くこの辺りもだいぶ伐採されていた。


    遅咲きのシハイスミレを発見。


    足元に白い花があるのに気付く。センブリが生えていた。


    天候が悪いこともあるのか皆蕾だった。


    ユウガギク

 山の上で見かけたシダはイヌワラビとクマワラビらしきもの、ワラビくらいだったが、側溝や岩壁がある林道脇にはそれなりにシダが生育していた。ところどころで車を止めてシダを見ながら帯那町に移動する。


    クマワラビ。先端の白くなったところに胞子嚢が付いているはず。


    クマワラビの胞子嚢。やがてこの部分は脱落する。


    よく似ているがこれは?


    胞子嚢が付着している葉をあまり見たことがなかったが、これにはオレンジ色の胞子嚢が付着していた。おそらくこれがベニシダだろう。


    水路脇に生えていたコバノヒノキシダ。このシダは苔の生えたこんな壁を好んで生えている。


    午後2時を過ぎたころに富士山が姿を現した。さて、どうしましょうか?

 今日は富士山は見えないだろうと思っていたのだが帯那町に到着する途中で富士山が見えてきた。日没までにはまだ時間はあるが、食料を持っていないのはちょっとまずいかも知れない。千代田湖の湖畔まで行って作戦を考えよう。
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春日山界隈のシダ植物  令和1年10月26日

2019年10月29日 | シダの仲間
 鳥坂トンネルから山の稜線を歩く今回の春日山界隈のルートはシダが好むような岩場や水気の多い場所が少なく、それほどシダ植物は無いだろうと思っていたのだが以外にもそれなりにいろいろと生育していた。見たことがあるシダばかりではあるがまだ名前が同定できないものが多く、おそらく今回も間違っているものが多いと思う。


    あちらこちらの山の斜面で普通に見かけるこのシダ。これは大きなものだが15cmくらいの小さなものもしばしば見かける。


    根元の薄茶色の鱗片。


    楕円形のソーラスがびっしりと付着


    これも同じもの。


    同じくソーラスがびっしり。ポケット図鑑と大図鑑を駆使して調べてみるとこれはイヌワラビ(イワデンダ科メシダ属)であることがようやく判明した。


    オウレンシダ(コバノイシカグマ科)であるが、こんなにたくさん群生しているのは初めて見た。


    葉の先端にコップ型ソーラスが付着する。


    このシダもこんなに大型で青々として群生しているのは初めて見た。


    船型のソーラスが付着。ホソバシケシダ(イワデンダ科シケシダ属)。


    このシダも大型で青々としていた。葉の根元の中軸のところに三角形の小さな羽片がある。


    小羽片辺縁寄りに小さなソーラスが配列。ゲジゲジシダ(ヒメシダ科)。


    紅葉しているやや大型のシダ。裏側にソーラス無し。


    根元の部分を見てみると既に枯れた胞子葉が残っていた。これは春に胞子葉を出すヤマドリゼンマイだろう。


    傷んでしまっているがほとんど同じような葉の形をしていてこの季節に胞子葉を出しているシダがあった。クサソテツ(イワデンダ科クサソテツ属)。


    大型のゴツくて目立つシダ、オシダ(オシダ科オシダ属)。


   ソーラスは葉の先端部を中心に付く。ソーラスは小羽片の外寄り、かつ根元寄りに配列する。


    オシダに似ているがやや小型。


    ソーラスはオシダと同じく葉の先端寄りに付着する。


    違いはこの根元に付着している鱗片が真っ黒なこと。これはミヤマクマワラビ(オシダ科オシダ属)だろう。


    大型のものだとオシダにそっくりなように見えるが、これもミヤマクマワラビと思われる。根元が真っ黒。


    びっしりとソーラスが付着しているが、オシダよりも小羽片の先端近くまでソーラスが付着しているところが若干違う。


    これもまた同じようなシダに見えるが・・・


    裏側を見ると湾曲した舟形ソーラスが付着しており全く別物である。


    根元の部分を見ると白い毛が生えている。おそらくハクモウイノデ(イワデンダ科シケシダ属)と思われる。羅漢寺山で見たものと同じ。


    あちらこちらで見かけてはいるが未だに正体が不明なのがこのシダである。


    楕円形が主体だが中には半サークル状のソーラスもある。変形が多いと聞いているヘビノネゴザ(イワデンダ科メシダ属)ではないかと思うが?不明。

 イノデの仲間とオシダの仲間は形が似ていて勉強してもすぐに違いを忘れてしまうし、調べてみても確信を持って見分けるほどのレベルにはまだ程遠い。花が終わる冬の間は常緑性のシダを中心に山や谷を歩いて修行を積みたいと思う。

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