金山沢を散策し、下りてくる途中に五里山というマイナーな山がある。標高差300mほどしか無いのでたいした山では無いだろうと思って、ほとんど下調べもせずに軽い気分で立ち寄ってみた。GPSの地図を見ると途中まで林道があるので、それを登ってあとは尾根に取り付けば登れるだろうと思っていたのだが・・・それほど甘くは無かった。林道は堰堤のところで途切れておりその先は赤テープを追うがすぐに見失う。沢の右側(左岸)に登ってみるとそこに林道の跡が現れたので、それに沿って歩いてみるが、どう見ても目指す山頂から離れて行くように見える。林道を戻ってGPSで尾根を確認し、直登出来そうな尾根に取り付くとなんとなくテープらしいものが付いていた。しかしどうみても踏み跡らしきものは無く歩かれている様子も無い。やがて細尾根となりその先は見上げるような急登、ほとんど崖登りのような様相である。木の根っこや幹につかまりながら必死に登る。頚椎症で右腕から肩にかけての痛みがあるのだが、そんなことは言っていられずひたすらに登るのみである。しかし登ったとしてもこの尾根を下りるのはもっと難しそうである。
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林道から外れて取り付いた五里山への直登尾根。最初は傾斜が緩くて登れそうに見えたが・・・
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やがて細尾根、、かつ崖のような急登に変わる。踏み跡など無いが何やらテープがところどころに付いている。
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途中から見える金峰山方面の山。千代の吹上あたりか?
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写真だとたいしたことは無さそうに見えるが・・・かなり急である。
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細尾根。落ちないように木の根につかまりながら慎重に超える。
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なんとなく山頂が見えてきたが、最後に岩壁が立ちはだかっていた。
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岩壁。左に回り込むが切り落ちた岩壁に突き当たり危険。右に回り込む。
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木の根っこが張り出していて、これにつかまれば登れそうである。
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三角点のある山頂に出た。しかしここは・・・??
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山頂の看板には五里山では無く向山と書かれていた。地図では五里山だが違うのか?
山頂の看板を見て少しばかり驚いたが、たぶん向山という名前も使うのだろうくらいに思って、ここで休憩しながら下山ルートを考える。10mザイルを持っているので登って来た尾根を下りることも可能ではあるが登り以上に危険であろう。反対側の尾根は途中までは緩やかであるが沢に下りるあたりが急である。しかしそちらの尾根のほうが遥かに安全そうに見えるので進んでみる。
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緩い尾根を下って行くとテープがあった。どうやらこっちが本来のルートらしい・・・と思ったが、このテープは途中で角度を変えて別尾根を案内しているように見えた。
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テープを無視して先に進むと、カラマツの植林帯に出た。テープとペンキマークあり、下りられそうだ。
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キオンの黄色いお花畑があったのでそちらに立ち寄ってみる。
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しかしこれが大失敗。道の無い藪の斜面に入ってしまい、草をかき分けながら急斜面を下りる。
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林道に抜け出た。一安心。
抜け出た林道のすぐ下にはアスファルトの車道が走っていた。その道を少し歩くと車を止めた場所に到着した。軽い気持ちで登った五里山だったが、とんでもない山で久しぶりにスリルを味わった。腕が持ってくれて良かったが、もう少しルートが長かったら腕が攣っていたかも知れない。汗だくになり持って行った1.5リットルの水は飲みつくしてしまった。
帰って来てからネットで調べてみると、この山は引き返した林道軌道をそのまま進むと峠に出たようで、そこには看板が取りつけられているようである。今回登った向山はその峠から山頂の南側を半周ほど回り込んで登るルートが付いているようである。下山する時に見た赤テープはそのルートを示していた。そして本来の五里山は峠から左に進んだ先にあるピークで、ここには五里山という看板が付いているようである。私が登った尾根を登った人の記録もいくつかあるが、下りた人はやはり居ないようである。つまり、五里山に登ったつもりだったが、今回は五里山には登っていないということである。いつか機会を見てリベンジに行きたいと思うが、今回登ったルートはもうこりごりである。
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今回歩いた軌道