山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

まぼろしの花を求めてⅡ 東御殿  平成22年4月29日

2010年05月04日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成22年4月29日 天候曇り時々雨

 「東御殿」という名前を聞いてピンときた人はかなりのマニアックな山登りをしている人と言って良いだろう。この山は牧丘と徳和の間にある尾根筋、言い換えれば乾徳山と小楢山の間の尾根筋にある山と言った方がわかりやすいかもしれない。地図にも明瞭な道は書かれておらず、古い林業軌道跡が残っているらしい。昨年の4月、私の所属する山岳会嶺朋クラブのメンバーがこの山を訪れている。その際、再三探しても未だ目にしていないあの珍しいスミレがあったとの情報を得た。果たして、本当にあるのか?クラブのメンバーにルートを詳細に聞き、単独で入山した。
 牧丘から大久保峠という峠に行く林道があり、これに沿って車を走らせるが、林道の入り口には動物避けのゲートが張られており、このゲートの鎖を解いてゲートを開け、林道に入る。しばらく行くと桜の木が植えられた公園が左手に見え、この公園からは富士山が望める。その先の林道は細くなり、ダートの道となる。少し行くと青いトタン屋根のボロ小屋が立っており、その先でこの林道は終わっているのだが、道の途中に倒木があり、終点までは行き着くことができず、戻って小屋より手前の空き地に車を止めた。

    林道終点手前にある小屋。ポストがあり、かつては人が住んでいたらしい。


    大久保峠。東御殿方向を示す矢印がつけられている。

 林道終点からそのまま道を進むと、15分ほどで尾根筋の大久保峠に到着する。ここには一応標柱が立っており、東御殿を示す矢印がつけられている。左に曲がって一段登ると、そこで道は途絶えるが、探すと右と左のどちらにも林業軌道跡らしきえぐれた道が通っている。どちらも荒れて見えるが、前情報で昨年下山時に左手側にかなり明瞭な道があったと聞いていたので、ここは左側(小楢山側)の軌道跡を進んでみることにした。途中までは明瞭だったが、その道もやがて山腹の薮の中に消えていった。かまわずに斜面を上に向って進む。方向を間違っていなければ、登りついたところが目指す東御殿の手前、大久保山のはずだ。途中まで登ると、再び山腹を左に巻く獣道に近いような細い道が現れ、山腹をトラバースするように左に回りこむ。するとその先に明らかに道とわかるような明瞭な道が現れた。その道に従って進んで行くと、大久保山のピークを越えずに道は東御殿と思わしき山のコルに続いていた。

    東御殿を通り過ぎてその先のピーク、おそらく1520m地点。

 途中で雨が降り出し、時折ゴロゴロという雷鳴が聞こえてくる。しかし、天気予報ではお昼ごろから天気が回復する予報なので、先に進むことにする。先ほどまで見えていた東御殿らしき尖った山のピークは雨と霧の中に消え、姿が見えなくなってしまっていた。明瞭な道を進んで行くと、やがて見上げるような急登、登りついた先が東御殿かと思いきや、今度は山腹をなだらかに登って行くトラバース道が続く。さらに進んで行くと、なだらかな登りとわずかな下りを繰り返し、尾根筋の道がずっと続いている。そして再び見上げるような急登り、そして急下り。コルから1時間以上も歩いているのに到着しないのはおかしい。おそらく、山腹をトラバースした時の左手に見えた斜面の上が東御殿だったのだろう。雨が上がり始め、霧の切れ間から眼下に曲がりくねった道が見えた。さらに尖った小ピークの山、地図とコンパスで確認すると、あのピークは小烏山、そして現在地点は・・・目指していた東御殿を越えてその先の1500mあたりのピークであることがわかる。ひとまず休憩しておやつを食べる。

    雨が上がり、青空が見え始めた。戻りながら、前方に東御殿のピークが見え出す。

 そのうちに雨が上がり、青空が見えるようになってきた。登って来た尾根道を振り返ると、現在地より低い位置に尖った山が見えてきた。あれこそが東御殿だ。雨で滑る斜面をスリップしないように慎重に下り、トラバースした斜面を尾根伝いに登り返すと、そこが東御殿の山頂だった。

    東御殿山頂。向こうに見えるのは乾徳山。


    山頂近くに祠が立っていた。

 さて、探していたスミレとは・・・清楚な白い花びらが美しいヒゴスミレだ。エイザンスミレに似ているが、花は真っ白で葉がエイザンに比べて細いのが特徴だ。花期はエイザンスミレとほぼ同時期、4月下旬から5月中旬ごろになるだろう。首を振り振り道脇を探したが、あったのは数株のアケボノスミレとタチツボスミレだけだった。ミツバツツジが咲き始めているので咲いていてもおかしくない時期ではあるのだが・・・あの特徴的な葉っぱすら見つからない。時期が早かったこともあるのだが、本当にあるのかどうか?

    ミツバツツジがほころんでいる。スミレが咲いていても良いのだが・・・


    山桜と青空


    わずかに咲いていたアケボノスミレ


    大久保山山頂。三角点だけがぽつりと立つ。

 折角なので帰り道は大久保山の山頂を越えて尾根通しに下山してきた。すると、大久保峠から一段上がったところの左の軌道跡にたどり着いた。左に行けばトラバース、右に行けば大久保山山頂への尾根筋ルートとなっていた。残念ながら今回もまたしても空振り。探している花が花だけにこのような結果は仕方ないのだが、もう一度情報を収集してトライしてみたいと思う。

    我が家の庭にあるヒゴスミレ。花を見ないうちに散ってしまった。

 昨年同じ山岳会の方から譲っていただき、我が家の庭に植えたヒゴスミレが花をつけた。が、咲いたのを見ないうちに花は散り、もう実になってしまっていた。散ってしまった後ではあるが参考までに掲載しておく。目撃情報ありましたら、(こっそり)ご連絡ください。


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