山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ザラツキシラスゲ(チチブシラスゲ)(カヤツリグサ科)  Carex albidibasis T.Koyama

2022年10月09日 | カヤツリグサ科
渓谷の岩壁や高山の岩礫地に生育する夏緑性の多年草である。細長い匐枝を持ちまばらに生える。葉や茎は著しくざらつくことからこの名がある。葉の裏面には乳頭状突起を密布し、粉白色。果胞は有脈で無毛、嘴は長い。柱頭は3岐。八ヶ岳や奥秩父に生育しているが稀である。

 2018年山梨県カテゴリー :なし  2017年環境省カテゴリー:絶滅危惧ⅠA類

    ザラツキシラスゲ 2022年6月 北杜市の渓谷で撮影。個体数は数株のみ。

    頂小穂は雄性、側小穂は雌性。

    果胞は小さくて繊細、嘴が長い。雌鱗片は果胞より短くて小さい。

    令和5年7月 西沢渓谷で撮影。この場所の個体数は少ない。

    ザラツキシラスゲの雌小穂

 勝山輝男先生の著書「日本のスゲ」の中には山梨県甲州市で採取されたザラツキシラスゲの画像が掲載されている。山梨県の数ヶ所に生育しているのは確実であろうが、まだ調査不足の種である。




    
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オノエスゲ (カヤツリグサ科) Carex tenuiformis H.Lév. et Vaniot

2022年10月09日 | カヤツリグサ科
 高山帯の草地や岩礫地を好んで生える多年草である。叢生し、高さ15 ~ 40㎝、基部の鞘は暗褐色で繊維状に細裂する。果期にも葉は有花茎より著しく低い。小穂はまばらに 2 ~ 4 個つき、頂部は雄性、側小穂は雌性で長い柄がある。雌鱗片は褐色で縁は薄膜質、果胞より少し短い。果胞は無毛で無脈、嘴が長くその縁は著しくざらつく。口部は全縁で柱頭は3枝である。山梨県では南アルプスと八ヶ岳に生育していると推定されるがまだ十分な調査が行われていない。

  2018年山梨県カテゴリー :絶滅危惧ⅠB 類(EN) 2005年山梨県カテゴリー:情報不足(DD) 2017年環境省カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU)


    オノエスゲ(?) 2022年7月 北岳で撮影。生育していたスペースが狭く、全体像が入らなかった。


    頂部が雄、側小穂が雌。雌鱗片は褐色で先端部が尖り、果胞よりやや短い。しかし、鱗片の縁は薄膜質ではない。


    しかし、オノエスゲにしては果胞の嘴が短く縁の突起も小さい。これは別物のタカネシバスゲ、ないしはクモマシバスゲではないかと疑っている。

 画像はこれしか持ち合わせておらず、確定には至っていない。再訪して良く観察して来る必要がある。かつ、確実なオノエスゲの個体も見て来る必要がある。時間のかかる調査になることは必至であろう。


⇒山梨県の絶滅危惧のカヤツリグサ科植物一覧

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タカネナルコ (カヤツリグサ科) Carex siroumensis Koidz.

2022年10月08日 | カヤツリグサ科
 高山帯の礫地を好んで生育し、やや大きな株を形成する多年草である。茎は細く、高さ20 ~ 30㎝。基部の鞘は濃褐色。小穂は 3 ~ 4 個つき、頂小穂は雌雄性か雄性、側小穂は雌性で柄を持つ。雌鱗片は黒褐色で果胞より短く、芒がある。果胞は広披針形で稜間に4-6脈があり、まばらに短毛がある。山梨県では南アルプスに生育しており、個体数はあまり多く無い。

 2018年山梨県カテゴリー :絶滅危惧ⅠB 類(EN) 2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠB 類(EN) 2017年環境省カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU)


    叢生するタカネナルコ 2021年8月 北岳で撮影。


    タカネナルコの小穂。だいぶ痛んでおり、果胞の一部は既に脱落している。


    2022年7月 北岳で撮影。岩壁の隙間に生育していた個体であまり叢生していない。


    小穂。この個体の頂部は雄雌小穂のようである。先端部の雄部分は既にほぼ脱落している。雌鱗片は果胞より短く芒がある。


    こちらはまだ花が咲いている個体。


    風で揺れて画像が悪いが、頂部は雄小穂、側部は雌小穂である。


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クロボスゲ (カヤツリグサ科) Carex atrata L. var. japonalpina T.Koyama

2022年10月08日 | カヤツリグサ科
 高山帯の草原に生育する多年草である。茎は細く、高さ30 ~ 50㎝、有花茎は、上部が乳頭状突起がありざらつく。小穂は 3 ~ 5 個が茎の上部に集まる。頂小穂は雌雄性で基部に短い雄花部があり、側小穂は雌性で、いずれも長楕円形で細い柄があり垂れ下がる。雌性の鱗片は卵形で鋭頭、黒褐色で果胞とほぼ同じ長さである。嘴は短く柱頭は3岐になる。山梨県では南アルプスに生育し、個体数は少ない。

 2018年山梨県カテゴリー :絶滅危惧ⅠB 類(EN) 2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠB 類(EN) 2017年環境省カテゴリー:なし


    クロボスゲ 2022年7月 北岳で撮影


    高山帯の草地に目立たずに生育していたクロボスゲ


    上部に3~5個の小穂が集まり、垂れ下がって付く。雌小穂の鱗片は卵形で鋭頭、果胞とほぼ同じ長さである。


    斜面に生育していたやや大型のクロボスゲ


    基部の鞘は暗赤色を帯びる。


    別の斜面に生育していたクロボスゲ。(カメラ故障しスマホで撮影)


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コマツカサススキ (カヤツリグサ科) Scirpus fuirenoides Maxim.

2022年10月08日 | カヤツリグサ科
 湿地に生育する多年草である。マツカサススキに似るが全体に細い。葉は硬く、幅3~4㎜。苞は葉状で長い。側生の分花序は 1 ~ 2 個の小穂集団を形成し、頂生の分花序は 1 回分枝して 3 ~ 6 個の枝に小穂集団をつける。マツカサススキやヒメマツカサススキと違い、花序の枝は複数に分枝しないのが特徴である。山梨県では北杜市の池で生育が確認されており、個体数はあまり多く無い。

  2018年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠA 類(CR) 2005年山梨県カテゴリー:情報不足(DD) 2017年環境省カテゴリー:なし


    池のほとりに生育するコマツカサススキ 2022年9月 北杜市で撮影


    コマツカサススキの花序。


    頂部には数個の花序を付けるが花序の枝は分枝しない。


    2022年9月 同じ池で撮影した別株。


    枯れかけているコマツカサススキの花序。9月下旬には枯れ始めていた。


    小穂が10~30個集まって花穂をつくる。


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椹池の水草探索  令和4年10月4日

2022年10月07日 | 水辺に咲く花
 10月に入り、椹池の水草はもう終盤を迎えていることであろう。例年ならば9月初旬から中旬に見ごろを迎えるサワギキョウを見に行くのだが、今年は行けずに終わってしまった。残っているのはカンガレイとナガエミクリくらいではないかと思う。それでも、秋になる前に一度は見ておかないと気が済まない。


    紅葉にはまだ早い椹池。湖畔に生えるアブラガヤはもう枯れかけている。


    大型のシダ、イヌガンソク。秋に胞子葉を出す。


    もう結実しているアオフタバラン


    トリカブトが咲いている。


    烏帽子の上部が前方に曲がり気味になっているこの形はヤマトリカブトではないかと思うのだが葉柄には直毛が生えている。トリカブトの仲間は判別が困難。


    もう枯れかけているアブラガヤ。いくら探してもマツカサススキの仲間は見つからない。


    ナガエミクリと花が終わったサワギキョウ


    ナガエミクリ


    咲き残りのサワギキョウ


    アギナシの葉はほんのわずかしか見かけられない。花は咲かなかったようである。


    浮かんでいる葉はヒルムシロであろう。


    カンガレイとナガエミクリが一緒に生えている。


    カンガレイ


    カンガレイの花。もう枯れ始めている。


    ナガエミクリ


    こちらも少し枯れ始めている。


    ヒゴタイの仲間。葉の中央部が細くなっていてタカオヒゴタイではないかと思うのだがちょっと感じが違うようにも見える。


    総苞には毛が生えている。


    枯れかけているがこれはヒロハノドジョウツナギと思われる。


    やや珍しい植物ではないかと思う。


    ヌマハリイの群生。茎が若く見え、種を落とした後にまた新たに生えてきたものだろうか?


    フクオウソウであろう。


    フクオウソウの花

 やはりサワギキョウを見るには遅く、その他の水草ももう終盤である。ひょっとしたら藻の仲間が生えているのではないかと池の水面下も注意してみてみたのだが、この池は水の透明度が低くて見当たらない。池のほとりにも藻が流れ着いていないところをみると、この池には生育していないのかも知れない。だが、まだ知らない植物が生育している可能性は十分にある。数少ない山梨県の高層池なので、今後も引き続き観察に訪れてみたいと思う。

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タヌキモか、イヌタヌキモか? 高層池を再訪  令和4年10月4日

2022年10月06日 | 水辺に咲く花
 今年発見したタヌキモと思わしき水草は花を期待していたのだがとうとう見ることは出来なかった。いろいろと調べてみると、本来のタヌキモは交雑種で、母はイヌタヌキモ、父はオオタヌキモであることが分かってきた。そしてタヌキモはイヌタヌキモよりも生育数が少ないようである。タヌキモを発見した池にはおそらく1種類しか生育しておらず、交雑種の可能性は低く、これはイヌタヌキモのほうではないかと疑っている。見分けるのに最も簡単なのは越冬する際に形成される殖芽の形態を調べてみれば区別が出来るはずである。タヌキモの殖芽は緑色で羽状細裂し中軸があるのに対して、イヌタヌキモは殖芽が茶色で中軸が不明、不規則に分裂し刺毛が明瞭であり、容易に区別出来るらしい。問題は既に沈水してしまっていて、浮遊しているものが残っているかどうかである。生育している池に行ってみるとやはり全く見当たらない。池の底を棒で探ってみるが引っかかって来ない。良く探してみると、池に浮かんでいる丸太の上に引っかかって1株残っていた。


    ここに固まって浮いていたはずだが・・・


    浮いている葉をかき分けてみるが見当たらない。


    画像を良く見てみると1株だけ浮いているものがあった。これには気がつかず、丸太に引っかかっていた1株をすくい上げて調べてみる。


    既に捕虫嚢は脱落し、葉もだいぶ脱落している。先端部に殖芽が付いている。


    殖芽の色は茶色である。


    拡大して見てみると、先端部に小さな棘状突起がたくさん付いている。


    裏側から撮影。この小さな突起が刺毛であろう。


    ほぐしてみるが、中軸ははっきりしない。

 これらの観察から見る限りでは、予想していた通りこの水草はイヌタヌキモと見て良いのではないかと思う。調べた個体が1個のみなので、結論は来年に持ち越したいと思う。


    池に1つだけ白い花が浮かんでいる。


    ヒツジグサの花。今年はあまり咲かなかったようである。これが今年の最後の1輪であろう。

 他にもまだ良く分からない水草が沼底に沈んでおり、また来年、何度も訪問することになるであろう。

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ヒオウギ (アヤメ科) Iris domestica (L.) Goldblatt et Mabb.

2022年10月05日 | その他の絶滅危惧種
 山地帯の草地に生育する多年草である。葉は広い剣状で扇形に並ぶ。茎は直立して上部で分岐し、高さ50 ~ 120㎝になる。花は黄赤色、花被片は 6 個で楕円状へら型、全て同じ大きさである。花被片には濃黄赤色の斑点がある。1日花で花被片は捩じれながら萎む。種は縦縞が入り表面が波打つ。山梨県では主に山中湖周辺の山域に生育しており、本来は暖地性の植物でこの地域に生育しているのは珍しい。新たに北杜市でも生育が確認された。

 2018年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠB 類(EN)  2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠB 類(EN)  2017年環境省カテゴリー:なし


    ヒオウギ 2022年8月 北杜市で撮影


    黄赤色の鮮やかな花を咲かせる。花被片には濃黄赤色の斑点がある。


    花は1日花で花被片は捻れながら落ちる。


    ヒオウギの全体像


    葉は広い剣状で扇形に広がる。


    実は緑色で表面が波打ち、筋が入る。


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チシマゼキショウ (チシマゼキショウ科) Tofieldia coccinea Richards. var. coccinea

2022年10月05日 | その他の絶滅危惧種
 高山帯の岩礫地や岩場に生育する常緑の多年草である。根生葉は剣状で先が尖り、長さ3 ~ 10㎝。花茎の高さ5 ~ 15㎝で、1∼2個の小さな葉があり、数個~10数個の総状の花を密に付ける。花被片は白色または帯紫色になる。朔果は球形で斜め下向きに付く。花期は 7 月。山梨県では南アルプスと八ヶ岳に生育しているが、個体数はあまり多く無い。

 2018年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠB 類(EN)  2005年山梨県カテゴリー:なし  2017年環境省カテゴリー:なし


    チシマゼキショウ 2022年6月 八ヶ岳で撮影


    小型の植物で見落としやすい。


    葉は細長くて先端部が尖る。


    総状に多数の花を密に付け、花は白色か赤紫色を帯びる


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まだ色付いていなかったホザキヤドリギの実 三分一湧水(北杜市)  令和4年9月28日

2022年10月05日 | 山梨百名山
 そろそろホザキヤドリギの実が黄色く色付いているのではないかと思い、三分一湧水のハンノキに寄生しているホザキヤドリギを見に行ってみる。


    ホザキヤドリギが何株も寄生しているハンノキ


    ハンノキの枝よりもホザキヤドリギの株のほうが大きくて目立つ。


    葉がまだ青い。実もまだ緑色で色付いていない。


    たくさん実が付いており、ブドウの房のように見える。


    これだけたくさんの実を付けているのに生育数はあまり多い植物ではない。


    三分一湧水。水が3方向に分かれて流れ出る。


    ヤクシソウ


    ヤクシソウの群生


    アカハナワラビ


    これもアカハナワラビだと思うのだが・・・


    葉を見るとフユノハナワラビか、あるいはフユノハナワラビとアカハナワラビの中間型のように見える。


    胞子穂が落ちてしまっているがナガホナツノハナワラビと思われる。数はそこそこにあった。


    駐車場にあった植栽の木


    赤い実が成っている。これはイチイ(イヌガヤ科)の木と思われる。

 ホザキヤドリギの葉が落葉する11月ごろには実も黄色く色付いているのではないかと思う。近くに出張がある時に立ち寄ってみたいと思う。

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