複雑な事実を一切省略して書いてしまえば、ポーランドという国家は123年の空白の後、第一次世界大戦のお陰で1918年にユゼフ・ピウスツキによって再び蘇ったのです。ポーランド国立銀行は、2008年に、1918年のポーランド独立90周年を記念して、記念銀行券10ズウォティ券を発行しましたた。ドイツとロシアという強国にはさまれたポーランドは、1795年の第3次ポーランド分割により、他国に支配され国家が消滅していたのです。そして第1次世界大戦後のベルサイユ体制の下で独立を回復し、ポーランド共和国となったのです。 10ズロティ券の表面右側には、独立に大きな貢献をしたユゼフ・ピウツスキ(Jozef Pilsudski 1867~1935)の横顔が描かれ、中央には再生ポーランドの最初の中央政府があったヴェルベデール宮殿の玄関が描かれていいます。
世界の通貨ニュース題6号:http://www23.ocn.ne.jp/~uemura/090401.htm から彼の肖像画のある紙幣の写真をお借りして示します。
1918年の国家再生から1939年の独ソによる併呑までの21年間のポーランドはピウスツキ大将を首班とする軍事独裁国家だったのです。兵力は1939年には120万人も居ましたがその装備は前時代的なお粗末なものでした。工業の近代化も遅れた農業国でした。ドイツの機械化師団の突入には全く無力でアッという間にワルシャワまで占領されたのです。当時のポーランド人が産業革命や軍事産業の進歩に熱心でなかったのです。それが独ソによる併呑という悲劇を生んだのです。
このピウスツキは1904年に日露戦争が始まると遠路はるばる日本へやって来ます。日本の陸軍幹部と相談し、ポーランド義勇兵を組織し日本軍とともにロシアと戦うという提案をします。日本の陸軍はこの提案を始めは大歓迎したのですが、結局は見送られました。しかし彼の帰国後、日本の陸軍は彼に多小の資金と武器を送ったのです。ポーランド人が現在でも親日的な理由はこの日本陸軍の支援を恩義に思っているのかも知れません。(続く)