昨日、霧の中をセイリングして色々考えてみました。自分の安全は自分だけで守り、他人様へ迷惑をかけてはいけません。そこで霧がかかった空気の見通しの距離を目測しながら進みました。見通しは方向によって1kmから2kmの間を変化しています。霞ヶ浦では高速船が走りませんからこれで十分安全です。毎日走る船の種類と航路も知っています。航路に近づかないでセイリングを楽しみました。下の写真の砂利運搬船が1時間毎に決まった航路を走っていました。他には遊びのモーターボートが1隻いましたが、こちらを気にして離れて走っています。あとは自分が落水しないように何時もより慎重に船内を動きました。
海上での衝突は自己責任で回避します。遭遇する船のどちらに優先権があるという規則はありますが、大きな船が来たら小さい船が逃げるのが鉄則です。逃げないで衝突すれば小さい船が沈没します。命も落とします。この時非常に重要なことは小さな船は大きな船へ、どちらの方向へ逃げるかを大げさに教えることです。大きく舵を切り、船腹を大きな船に見せ、その後は走る方向を変えません。上のような砂利運搬船が見えたら、大きく舵を切り、こちらが逃げますと知らせます。相手は分かったというように反対向きへ船首を少しだけ動かします。その後はこちらが逃げ回ります。
見通しが良い時はこれで問題ありません。以前に、海上自衛隊のミサイル艦と漁船が衝突し、漁船が沈没しました。海難審判ではどちらも悪いという判決で、海上自衛隊がマスコミで非難されていました。しばらく年月が過ぎましたので私の本当の感じ方を書きます。どちらが良い悪いという問題ではなく、漁船の船長を尊敬できないと感じました。同じグループの他の数隻の漁船は海上自衛隊のミサイル艦を逃げて安全に航行していたのです。暗夜に海上を走る以上はレーダーなどで他の艦船を監視して、大きな船が来たら、いつでも逃げ回れる態勢で走るのが鉄則です。自衛隊の艦船は自分と同じくらい大きな船には注意しますが、小さな漁船は注意しないのが自然です。「小さな船が逃げ回る原則」のためです。
自衛隊の艦艇は航海灯をつけていたのですから前方を見ていれば回避出来たのです。船室内で仕事をしていたのでしょう。それでは衝突します。
「海上での安全は自己責任で守る」。これは万国共通の原則です。ですから船長には大きな責任があります。その一方で、船長には逮捕権があります。船内で結婚する夫婦の結婚証明書を発行する権利もあります。しかし自分の船が沈没すれば理由のいかんを問わないで100%船長だけの責任です。船長が沈没する船と運命を共にするのはその責任をとって死んで行く行為です。水の上は陸の上とは違う、まったくの別世界なのです。霧の中でヨットに乗っていると別世界ということが体験的に理解出来ます。海難審判では多くの場合、両方に注意義務を怠ったという判決になります。その背景には海上は別世界なので自己責任で安全を守りなさいというメッセージの意味もあると思っています。私の理解は間違っているでしょうか?どなたかにご指導を頂ければ嬉しく思います。(終り)