後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

暗い怨念を捨て去る方法

2010年08月03日 | 日記・エッセイ・コラム

毎年8月になると、さきの第二次大戦にまつわる怨念が心の中で渦を巻きます。戦前生まれの老人だけかも知れませんが、敵国へ対する理不尽な恨みや復讐心が年を取るに従って強くなるのです。暗い情念です。死ぬ前にこのような暗い怨念を捨てて身も心も軽やかに旅立ちたいと思っています。そこで怨念の解消方法を書いて見たいと思います。

(1)明るい写真や、建設的な文章をより多く見るようにする。書くようにする。暗い内容や陰湿なことは文章に書かないようにします。下の写真のような明るい雲や空のたたずまいのように心も明るく持つ努力をする。これが怨念を断ち切る第一歩です。

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(2)アメリカ軍の都市の無差別空襲と原爆投下へ対する怨念を解消する。

こちらが怨念を持っているとアメリカ人もそれ以上の怨念を持ちます。彼等は三等国の日本に真珠湾攻撃を受けたことに対する衝撃が暗い怨念になっているのです。自尊心を酷く傷付けられたことに対する怨念です。原爆投下は残酷な無差別殺人であり真珠湾攻撃は軍艦と軍事施設へたいする攻撃だから日本の方が正しいと主張することは間違っていません。しかし怨念は理不尽な情念なのです。自尊心が大きく傷付けられたほうがより大きな怨念を持つのです。復讐心や呪いの心を持っている限り人間は幸せになれないと思います。日米の双方の人々の幸せの為に怨念を昇華させて、全ての犠牲者へ対する追悼の気持ちに転化すれば良いと思います。

(3)ソ蓮のシベリア抑留へ対する怨念を解消する。

55万人程が不法にも抑留され5万人が死んでしまいました。抑留された人々や家族は永久に解消出来ない怨念で、現在も苦しんでいます。関係者へ強い同情を禁じえません。

しかし直接巻き込まれなかった日本人もロシアへ対して物凄い怨念を持っています。この事をもう少し大きな視野で考えて見ましょう。第二次大戦で日本と軍事同盟をもっていたドイツがモスクワ近郊まで侵攻して、2000万人の若いロシア人を殺戮したのです。ロシア人は復讐の鬼になったのは当然ではありませんか?復讐はドイツの同盟国の日本へも向けられたのたのはごく自然の成り行きです。それが理不尽だと非難ししてもロシア人には聞く耳が有りません。怨念は本来理不尽な情念なのですから無駄な議論で終わるだけです。ロシア人の怨念は日本人より大きいと思う方が良い結果になります。南樺太や千島列島、北方四島のロシアの武力占領は、日露戦争によるロシア人の怨念の結果と考えると少し理解出来ます。

(4)怨念を断ち切る決定的な方法。

北朝鮮や中国へ対する日本人の嫌悪感も深いところでは彼等の日本へ対する怨念に由来しています。日本人に侵略された怨念です。それは靖国神社へ対する反対として現れます。

怨念を断ち切る。その為には自分の怨念をサラリと捨てる以外に方法が無いのです。

以上の記事に対する明るく建設的な感想やコメントを大歓迎いたします。問題の性質上、建設的でない陰湿なコメントは即刻削除いたすことをお許し下さい。

くどいようですが、原爆を許せと言っているのではありません。アメリカ人へ対する怨念を消せ!それが自分の為に良いと主張しているのです。シベリア抑留を許せと言っているのではありません。それは人間として許されない蛮行です。しかし怨念は捨てたほうが良いと主張しているのです。日本人も蛮行をしたとロシア人も思っているかも知れません。怨念を捨てれば相手も捨てるかも知れないと主張しているのです。誤解の無いようにお願い申し上げます。(終り)


ワイン文化圏と盛岡の五枚橋ワイナリー

2010年08月03日 | 日記・エッセイ・コラム

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明治維新以来、多くの日本人はヨーロッパ文化を尊敬し、憧れて来ました。私も例外ではありません。そして欧米に留学してその神髄にほんの少し触れ、それが刺激になり逆に東洋文化や日本古来の文化も素晴らしいものと思うようになりました。何処の民族文化も決して優劣が無いと信じるようになりました。これこそが欧米留学で得た最大の賜物です。

文化の神髄に少し触れる。それにはいろいろな方法があります。私の場合はヨットを25年間続けながらその文化的奥深さを楽しんでいます。その事はこのブログで何度も書きましたので、今日はワインを通してヨーロッパ文化を知った経験を書いてみます。ワイン文化の洗礼を受けたのは、1970年のドイツ一周の旅でした。各地のワイン蔵のワインを飲み比べた経験でした。ドイツ政府支援の団体旅行でしたが、ドイツ人の案内人がワインこそが文化理解の早道と思っていたのか毎晩、「蔵一番」のワインを取ってくれました。予算に限度がありますから「蔵一番」とは大げさな表現です。辛口、甘過ぎ、重い、軽い、フルーテイ、重厚な、ロマンティッシュな、悪酔いしそうな、とかいろいろなワインの味の表現をドイツ語で覚えたのもその旅のお陰でした。

年老いてワインが重くなり、最近は辛口の発泡酒ばかり飲んでいます。ところが盛岡出身の夫妻が五枚橋ワイナリーの手製の赤ワイン(2008年もの)を送ってくれました。

何十年か前に盛岡で我々の仲人で、結婚した夫妻が毎年盆暮れに珍しい品を送ってくれるのです。このワイナリーはオーストリーワインを20年間研究した五枚橋の夫婦が数年前に盛岡で始めたワイン店です。いつもワインと一緒に入っている説明書が楽しいのです。「赤ワイン2008」にはこう書いてあります。

2002年畑の開墾から始まった盛岡市・門のワイン造り。2008年産、4作目の赤ワイン。

2008年の天候は、花の時期の雨を除いては葡萄にとっては良いコンディションといえました。十分に完熟させるためメルローは10月19日に、カベルネ・ソーヴィニヨンは11月9日に収穫しました。しかし夏の終わりから秋にかけて、原因不明の一部葡萄の軸に枯れこみがはいる現象が起き、房の一部を切り落としながらの収穫。さらに注意深く一粒一粒良い状態の粒を選果するのも大変な作業になってしまいました。約3割近く目減りがありましたが、選果後の粒は充実していて、メルロー、カルベル・ソーヴィニヨンともに今までの最高の糖度で高品質の素材になりました。発酵の際、使用する酵母を、前年とは違う長期熟成タイプの赤ワインに対応する酵母に変えて仕込みました。発酵途中の香りが以前のものと全く違ったものとなり、行程一つ一つの味も微妙に違ってきました。

仕上がったワインは2007年産に比べて本数は少なくなりましたが、葡萄の味の充実した濃さが見られ、滑らかな印象を受けます。濃いだけにちょっと若さを感じさせますが、素材の良さと酵母のお陰で、より端正なきめ細かさが特徴です。

どうぞ一歩前進した2008年の盛岡の味をお楽しみ下さい。ーー以下省略ーー

上の文章を読むと開墾畑から始まった葡萄の育成、粒の完熟、選果作業と続く根気良い作業の様子がよく分かります。赤ワインを造って行く情熱と息つかいが感じられます。何故か文化活動のような感じがします。

それはそうとして、ドイツから持ち帰ったワイングラスに注いで、飲んでみました。重厚です。ふくよかな奥深い味わいです。やや辛口です。葡萄の香りが芬々とします。ワイン。グラス一杯だけで充実感がありかす。欠点は上の文章にもありますように、濃いだけにやや若さが残りました。そうです。これを5年くらい低温のワイン・ケラーに寝かせれば最高の味になると思いました。しかしこの若さが2杯目からは逆に楽しくなります。

ヨーロッパのワイン文化圏が盛岡へ広がったようです。ワイン文化が根付いたのです。不思議な気がします。北上川の白い岩で覆われた岸辺をイギリス海岸と呼んだ宮沢賢治をフト思い出しました。

上の写真は五枚橋ワイナリーのHP:http://www.gomaibashi.com/ から転載致しました。

今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。藤山杜人