先進国とは他国に先駆けて近代技術を開発し、工業製品を高価に売り、富を蓄積した国です。米、英、フランス、ドイツ、などがその例で、最近は日本も先進国と考えられています。
それらの国々が自分達でさんざん環境破壊をして来たくせに、発展途上国が工業化のために環境破壊をすることを厳しく規制しようとしています。分かり易く言えば、自分達のした悪い事を後から来た人がしようとすると、それを禁止するのです。この不平等な争いで私の気持は暗くなっています。アメリカもイギリスも工業化の初期にはさんざん石炭を焚いて有害な煙を出してきたのです。それを突然、石炭はいけない、天然ガスへ切り替えろと言うのです。先進国は世界の空へ毎日、数千の航空機を飛ばし、空中を排気ガスで汚しています。航空機の排気による環境破壊については黙認し、地上を走る車の排気規制だけをしています。こういうのは不平等な争いと思います。
この世には不平等な争いが満ちています。ところがジャレド・ダイアモンド著の「銃・病原菌・鉄」という本にはそれが当たり前のことと書いてあるのです。
「人類史の大部分を占めるのは、「持てるもの」と「持たざるもの」のあいだに繰り広げられた衝突の数々である。しかもその衝突は、対等に争われたものではなかった。つまり、人類史とは、その大部分において、農耕民として力を得た「持てるもの」が、その力を「持たざるもの」や、その力を後追い的に得たものたちへ対して展開して来た不平等な争いの歴史であった」(第五章、「持てるもの持たざるものの歴史」より引用)。
この本の素晴らしさは重要な問題を分かり易く提起していることにあると思います。読者に考えることを促しています。特に優れているのは人間世界における不平等性を常に考慮にいれていることです。善悪の判断や、安易な倫理的説教をしていません。あくまでも冷静に、客観的に人類の歴史を見ています。
・・・人類史とは、その大部分において、・・・「持てるもの」が、その力を「持たざるもの」や、その力を後追い的に得たものたちへ対して展開して来た不平等な争いの歴史であった・・・
この文章の特に、・・・力を後追い的に得たものたちへ対して展開して来た不平等な争い・・・という部分が重要です。
先進国が中国の工場の環境破壊を厳しく非難します。日本もその尻馬に乗ります。地球温暖化防止運動も先進国が後追いてきに力を持ってきた国々との争いの側面が存在しています。自分がさんざん悪いことをしてきたくせに後で同じことをする人を非難します。後から来た人を叩き潰す意図が無いとしても、それはあまりにも身勝手すぎます。この視点からいろいろな国際間の争いを観察すると、何故そのような不平等な争いが起きているのか明快に見えてきます。
そこで、「不平等な争いの数々」という題目で幾つかの実例を上げて行きたいと思います。始めは国際間の争いについて考えますが、最後は、個人の努力と成功へ対しての生まれおちた境遇の影響まで考察を進められれば嬉しく思います。
皆様からの厳しいコメントをお待ちいたしています。
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今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。藤山杜人