後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

福島原発事故はレベル7でも大局的には収束の方向にあります

2011年04月13日 | 日記・エッセイ・コラム

昨日、福島原発事故のレベルが急にレベル7と発表されました。

多くの人はこれを誤解して、また多量の放射性物質が昨日、放出されたと勘違いしました。

それは全くの誤解です。福島原発の炉心は真水の注入で安定していて、飛散される放射性物質も減少していると考えられます。

それが証拠には東北地方全域の放射線強さが、下に示すように、間違い無く減少しているのです。ですから福島原発事故は大局的には収束の方向へ向かっているのです。

しかし放射能で汚染された水が海に流れ出ています。これを止める作業をしていますので、汚染水の海への流出もいずれは止まるでしょう。

文部科学省による各地の空気の放射能強さの測定値の4月1日と2日と3日と4日と5日、そして6日後の12日の測定値を比較してみます。放射線の強さの単位はマイクロ・シーベルト/hour です。数値は午後4時から5時にかけての測定値です。

青森市0.026:0.027:0.027:0.026:0.026: 0.026 

盛岡市0.028:0.025:0.025:0.0250.025: 0.024

仙台市0.093:0.085:0.080:0.077:0.081: 0.080 

福島市2.80:2.53:2.34:2.32:2.34(3月18日は5.7でした): 1.96

いわき市0.62:0.60:0.55:0.55:0.50: 0.35

山形市0.063:0.0.061:0.061:0.060:0.060: 0.053 

宇都宮市0.092:0.086:0.084:0.082:0.080: 0.070 

水戸市0.195:0.0.180:0.175:0.169:0.163: 0.142 

さいたま市0.080:0.075:0.073:0.071:0.070: 0.061

東京・新宿0.101:0.094:0.091:0.089:0・089: 0.077 

千葉・市原市0.075:0.067:0.065:0.063:0.061: 0・045 

長野市0.049:0.044:0.044:0.043:0.043: 0.042

静岡市0.042:0.045:0.039:0.038:0.036: 0.038 

などとなっています。

以上の13箇所の5日間の測定値は間違いなく減少しています。ですから陸上はもうこれ以上悪い方向にはならない可能性が大きいのです。これは大変喜ばしい現象です。

以上の空中放射線強さの減少を裏付けするように、セシウム137降下量は3月20日が最大で、その後減少している図面が発表されています。4月6日の読売新聞29ページ目のひたちなか市と東京、新宿のセシウム137の降下量の毎日の変化を示す図面です。ひたちなか市と新宿区の降下量は3月20日と21日がそれぞれ最大になっています。降下量はその後急速に減少しています。しかし3月30日頃に小さな山が見られ、4月1日以後は両地点ともほぼゼロになっています。

福島原発は目下大きな海洋汚染を起こしています。炉心からの強い汚染水の海への流れ出しを急いで止める作業を進めなければいけません。しかし漏れている場所が判明していないので困難な戦いが長期間続く事になりそうです。しかしそれも根気よく一歩一歩進めているので時間はかかりますが収束する方向へ向かっています。

昨日のレベル7の発表で、何か急に悪い事が起きたと誤解しないようにして下さい。そうではなく今までの原子力安全・保安院の評価が間違っていただけです。悪い事は3月12日からの水素爆発や火災発生の時に起きてしまっていたのです。昨日は別に変わった事は起きていません。誤解を防ぐために敢えて記事を書きました。

ご参考になれば幸せです。(終り)


桜花を見て元気になろう!・・・桜は日本人の心

2011年04月13日 | 写真

仙台の桜も今日、開花したというテレビニュースがありました。大津波にやられた東北地方の高台に残った桜も次第に花を咲かせるでしょう。今年は花見をする気にならないと言う家内を置いて、ここ数日花の写真を独りで撮り歩いています。

今朝も小金井公園の散り始めた桜花の写真を撮ってきました。

桜花を見て元気になろう!・・・桜は日本人の心です。

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福島原発事故レベル7発表は遅すぎた・・・遅れた日本的原因

2011年04月13日 | 日記・エッセイ・コラム

3月11日の大津波以後、15日頃まで1号炉から4号炉まで水素爆発や火災が相次いで起き、大量の放射性物資が空中に放出されたのです。

この時点で、フランス原子力安全局はレベル6と発表しており、アメリカの科学安全保障研究所もレベル6ないし7と発表していたそうです。その時、経済産業省の原子力安全・保安院はレベル4と発表していました。その後、外国の客観的な評価に迎合するようにレベルを4から5へ上げて、そのレベルを死守していましたが昨日、5からいきなりレベル7へ上げて発表したのです。

3月15日頃までの水素爆発や火災の映像を見ても国民は保安院の発表を信じて原子炉格納容器は健全であると思っていました。しかし炉心圧力容器から大量の水素が漏れ、更に原子力格納容器からその水素が多量に漏れた現象は格納容器に大きな割れや穴が開いた証拠です。こんなに確かな証拠があるのにレベル4はいくらなんでも低すぎる評価です。

何故、このようにレベル7への発表が遅くなったのでしょうか?

その理由はいかにも日本独特の3つの理由が厳然と存在しているからです。

(1)原子力安全・保安院は電力会社へ原発を認可し、その拡大を推進して来た経済産業省の行政官の組織なのです。原発を拡大しないと日本の経済成長は無いと信じる事では電力会社と同じ思想の持ち主なのです。その保安院が一般人の放射能への恐れを無視して、日本全体の経済成長を優先する政策を実行してきました。

この保安院を悪い言葉で説明すれば、泥棒を勧めながらその泥棒を取り締まる振りをしてきたのです。客観的に安全を守れるわけがありません。こういう組織は日本独特です。客観性の欠如です。

(2)この客観性の欠如を誤魔化す為に内閣府に「原子力安全委員会」を作り、保安院を監視する役目を持たせたのです。「原子力安全委員会」の委員は保安院に対立して厳しい注文をつけます。しかし行政権限は一切無い、飾りの組織なのです。電力会社は保安院の言う事だけに従います。

昨日、保安院は放射性物質の総放出量を37万テラ・ベクレルと発表しましたが、「原子力安全委員会」は63万テラ・ベクレルと発表しました。尚、テラとは10の12

乗(一兆)だったと思います。兎に角非常に大きい数字なのです。

この2つの発表は保安院の守りの姿勢を明快に示しています。何を守ろうとしているのでしょう。残った50基以上の原子力発電所のフル稼働を守ろうとしているのです。一般の人々の放射能への恐怖を犠牲にして守ろうとしているのです。

(3)保安院も東京電力も都合の悪い情報は隠そうとします。それば欧米の会社でも同じような傾向があります。しかし日本では、「一般大衆へ恐怖心を与えないように確実な証拠が無い、怖い情報は発表しないのが親切だ」という不思議な信念がまかり通っているのです。この大義名分があるので情報隠しをします。それは確信犯なのです。一般大衆も悪いのです。「怖い話は聞かせないでくれ!」と言って、逃げるのです。これこそいかにも日本的な現象です。一般大衆も客観的に冷静に考えないのです。この文化的土壌が今回のレベル7への発表が遅れた3つ目の原因です。

長くなりますが、つでに私の経験した悲しいことを書いてお終いにします。

このブログで科学的合理性にもとずいた福島原発の今後の予測を何度も書きました。客観的に想定される怖い予測も書いてきました。そうしたらある女性から原発の事は書くのを止めなさいと高圧的に叱られたのです。素人の私が書いても無駄だら止めてはどうですかという意見もありました。要するに怖い事は忘れたいので書くなという心情なのです。どうもこれは日本独特の心情の様な気がします。悲しい気分になります。まあ、私一人が悲しい気分になったとしてもそれは些細な事です。大津波で被災した人々のことを思うともっと早急にすべき事が山積しています。

それはそれとして、今日も東日本大震災大津波で避難所に住んでいる方々のご健康をお祈り申しあげます。一日でも早く仮設住宅に移れますようにお祈り致します。藤山杜人