後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

今日の散歩・・・世田谷美術館での白洲正子展へ

2011年04月28日 | 日記・エッセイ・コラム

世田谷区の環状8号線沿いに広大な都立砧(きぬた)公園があります。その北端に世田谷美術館があり、生誕100年記念・白洲正子展が5月8日まで開催されています。公園の南端の東名高速入口下に世田谷美術館専用の無料駐車場があります。若葉の公園を散策しながら北端まで行くと、そこは美術館です。

白洲正子の夫は白洲次郎です。彼は吉田首相の大物秘書としてマッカーサーと対等にわたりあった事で有名になりました。マッカーサーが白洲だけは言いなりにならない日本人だと言っていたそうです。次郎も個性的で魅力的な男でしたが、正子も同じように教養豊かで魅力的な女性でした。1910年に樺山伯爵家の次女として生まれ、4歳から能を始め、14歳で初めて女性として能舞台に立ちました。米国留学の後に白洲次郎と結婚し、その後は才筆を振るって文化評論や随筆を数多く出版しました。

今日、見た展覧会は、40歳代から88歳で死ぬまでの彼女の宗教生活に関連した仏像、神像、宗教的絵画、宗教的祭具などなどが西日本の寺や神社から借り出して来て、展示してあります。

白洲正子は43歳の時、能面や仏像を見るため西国へ旅立ちます。長い巡礼のような旅でした。それは彼女にとって宗教的覚生の旅になりました。神仏習合の神と釈迦を信仰し、その向こう側に日本古来の自然崇拝を体得したのです。そして神仏習合と自然信仰こそが日本の宗教と高らかに宣言し、それを深く信じたのです。その過程で西日本で見た仏像や神像や宗教的美術品について数多くの随筆を書いて出版していました。今日の展覧会はその随筆文の展示と共に、そこに書いてある宗教的美術品が集めて、展示してあるのです。いろいろなお寺や神社からよくぞこんなに貴重な品々を借り出して来たと感心します。学芸員の努力に感動します。

それはそれとして、カトリックの私はいつも神仏習合のいい加減さをなんとなく軽蔑していました。それが白洲正子ほどの知性溢れる人が、億面もなく、私は神仏習合こそ安らかに信じる事が出来ると宣言しているのです。そしてそれこそが日本古来の自然崇拝を受け継ぐ信仰なのですと言うのです。展覧会を見ながら私の単純な頭が痛みます。痛いと言えば言い過ぎです。居心地が良くないのです。

しかし帰り道で、車を運転しながら、案外自分の信仰も神仏とキリスト教の習合なのかも知れないと思い始めました。自然崇拝も混じっているのです。

日本人の昔、昔からの宗教世界はそのようなものだったのかも知れません。それも良いと思います。肩意地はって私はカトリックだと大声を上げる必要などないのです。信仰生活は、自然な気持ちで、大らかで、自由な境地であった方が良いのです。まあ美術展というよりは宗教展と言うべきような展覧会でした。神仏習合にご興味のある方へ是非お勧めしたい素晴らしい展覧会です。下に世田谷美術館の風景写真を示します。

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現在、福島原発で何が起きているか?ー多量の放射能汚染水が地下や海へ

2011年04月28日 | 日記・エッセイ・コラム

毎日、福島原発の原子炉から漏れている汚染水の対策について、いろいろ分かりにくい発表があります。何が何やら分からなくて戸惑うばかりです。

そこで私は現在の放射能汚染水の漏れの様子を大げさに描いた図面を作ってみました。

下の図のギザギザの醜い上下の線が、汚染水の漏れの様子をマンガ的に描いたものです。

勿論、全くの憶測で描いた概念図ですので漏れの個所や汚染水の量は間違っていると思います。しかし現在何が起きているかを概念的に理解するのには大変分かり易い図面と自負しています。

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水漏れは、3月11日の大地震とその後の水素爆発で、あちこちに出来た割れ目や小さな穴から起きています。

このような状況ですから、すべての割れ目や小さな穴を溶接して密閉する事は殆ど不可能に近いと思います。

従って、毎日、毎日、「3つの原子炉の炉心圧力容器内」と「1つの核燃料貯蔵プール」へ注水している合計500トンの水が、あちこちから漏れ出しているのです。

その大部分は地下へ沁み込んだり、海へ流れ出たりしていると推定出来ます。何故推定できるのですか?簡単な理屈です。毎日500トンもの水を炉心へ注水しても地上へ溢れ出て来ないからです。もちろん毎日500トンのうちの一部の水は蒸発して放射性物質を空中へ飛散させています。

現在、トレンチと呼ばれる配管用のトンネルに溜まった汚染水を汲み出してみましたが、水位が一向に下がりません。汲み出しを止めると水位は同じ所へ戻ります。それ以上、水が溜まると地下へ沁み込んだり、海へ流れ出るからバランスが取れているのです。

このような状態にもかかわらず、東京電力は汚染水が地下や海へ出ていないと想定し、全ての汚染水は原発工場内に溜まっていると仮定し、総合計87,500トンと発表しています。これは自分に有利になるような発表の仕方で、あまりにも我田引水的過ぎた情報公開の仕方なので、怒りさえを覚えます。

それが証拠には、今朝の読売新聞の2ページ目には、地下に沁み込んだ汚染水が海に出ないようにする為に、地下40m深さまで垂直なコンクリート壁を作って、原発敷地を囲む土木工事の計画も発表されています。

こんな状況では何が出来るのでしょうか?昨日、現実的で非常に良い対策が発表されました。

汲み上げることの出来る汚染水をあちこちからポンプで汲み上げて、吸着剤のゼオライトで浄化し、熱交換器で冷温にします。そしてその水をまた炉心へ注入する装置の設計が発表されました。

今度はアメリカ、フランスの技術者も加わって設計しているので、現実的な開放型循環系統が数ケ月先には出来あがると信じることが出来ます。

これが現実的な最良な方法な理由は、全ての装置を原子炉建屋から離れた外に作る事です。作業が現実的に可能な計画です。

それが完成するまでの数ケ月間は相変わらず放射性物質が炉心から漏れ出して空中へ、地中へ、そして海中へ放出され続けます。しかし最近の原発付近の放射線量はゆっくりではありますが、確実に減少しています。炉心への真水の注水が現在の条件で続くかぎり収束の方向へむかっていると言えます。

上に書いた事が現在の福島原発で起きている現象です。兎に角、根気良く努力して一歩、一歩と完全解決へ向けて現実的な対策を進めている事が一番重要です。

今日はマスコミに名前が出ないが、福島原発の現場で危険な作業をしている全ての人々のご健康をお祈り申し上げます。貴方達は英雄なのです。感謝しています。藤山杜人