後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

ある壮大な歴史ロマン・・・亡命してきた高句麗の王族、若光の菩提寺と墓が埼玉県に

2011年09月08日 | 日記・エッセイ・コラム

朝鮮半島にあった高句麗が新羅と唐の連合軍によって668年に滅ぼされました。その時、使者として日本に居た王族の若光は帰国できなくなり、日本へ亡命しました。

703年に文武天皇から従五位下に叙せられ、高麗王の姓を賜はりました。この事は続日本書記に明記してあります。

そして13年後の716年に大和朝廷は武蔵国に新たに高麗郡を作り、高麗王をそこの郡司に任命しました。高麗王は高句麗から従って来た1799名の家来を連れて高麗郡に移住しました。

高麗郡は現在の埼玉県西部から東京都の多摩地方にまたがっています。

高麗王の部下に農産物の増産を指導する人もいたらしく高麗郡は豊かになったそうです。そして無理な増税は強制しなかったようです。要するに大変評判の良い統治をしたのです。

高麗王は武蔵国の高麗郡に移住する前は神奈川県の大磯を治めていました。そこでも評判が良く、高麗郡へ去ったあと大磯の人々は高麗寺(現在は廃寺)と高来神社を作りました。

兎に角、大磯でも高麗郡でも高麗王は農民を大切にする善い政治をしたのです。

その高麗王、若光は一度も朝鮮へ帰ることが出来ませんでした。故郷から遠く離れた異境の土になったのです。

高麗王の没後、三男の聖雲が、現在の聖天院を建立し、一族の菩提寺にしたのです。

聖天院の後には高麗神社があり高麗王、若光が祀られています。そしてその神主は代々、現在に至るまで高麗王の子孫が務めて来ました。

朝鮮から亡命した王様が日本の武蔵国の高麗郡を見事に治め、現在も人々に慕われているのです。少し話をした住職さんの大黒さん(奥さん)が若光さんのお墓も忘れないで拝んでいって下さいと言いながら場所を教えてくれました。

時空を超えた、何か大きな歴史ロマンを感じながら境内の写真を撮って来ました。

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死ぬ前に整理しておく事(1)故人達との関係を修復すること

2011年09月08日 | 日記・エッセイ・コラム

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老境にいたると死ぬことが現実的に身近に感じられるようになります。

誰でも死ぬのは厭ですが、幸いにも充分高齢に達した人々は毎日、毎日、達観した境地に進んで行くものです。

そうして自分は死ぬ前に何をしておいたら良いかと考えるようになるものです。

上の写真のように夕闇が近づいて来る感じがします。夕闇がせまる事は淋しい感じもしますが、やっと静かな夜が来ると思い、何かホットし、安心もいたします。老境とはそのような感じです。

そんな境地になると、死に前に何をして置くべきかいろいろ考えるものです。

職業として選んだ仕事はもう充分しました。ずいぶん前に止めましたので心残りはありません。夫婦仲も家族の間も少しずつ良い方向にして来ました。

あとは以前に亡くなってしまった父母、おじ・おば、親戚の人々、恩人、友人、知人などなどを思い出して自分との関係を修復して置く事です。

故人とは話も出来ませんので自分の心の中で恨みを感謝の気持ちへ変えて、冥福を祈ることです。自分の心の中を整理整頓して、残った人生を気持ち良く過ごすのです。

例えば、飲んだくれで、ろくに仕事もしなかった父が居たとします。いつも貧乏で学校は中学校までしか行けませんでした。中卒なので、懸命に働いても、職場ではつらい思いだけをしました。ただ母親だけは何時も優しくしてくれました。

戦中戦後の日本の激動の時代にはそんな家庭が少なくなかったのです。そんな境遇に育った子供は父親を一生恨みます。とうに故人になってしまった父を恨んでいます。自分がつらい一生を送った原因を作ったのが父なのですから当然です。

しかし自分が老境に入ると、別な見方をする努力が出来ます。

戦中戦後の激動の時代には父も仕事が無くて辛い思いをしたのです。酒に溺れて、家庭をかえりみることが出来なかったのです。一番苦しかったのは本人だったのです。

そんな父親の事は忘れましょう。忘れることが出来たら、そんな父でも何か良いことがあったと考えることにします。少なくとも健康に老境まで生きることが出来た自分を生んでくれたのです。可哀想な父という思いが少しすると、少し許せます。

事実はそう簡単には出来ません。そこで時々、上に書いたように考える訓練をするのです。そうです自分で、自分を訓練するのです。なにせ仕事はありませんから訓練の時間だけはふんだんにあるのです。

この訓練が進むと、悪い父でもその冥福を祈る気持ちになれます。

一番大きな、重い恨みを解消できれば他のいろいろな故人との関係も簡単に修復出来ます。全ての故人があなたの味方になってしまうのです。

そうすれば何故か心の整理がつきます。全ての恨みや憎しみが消えるので、心が晴れやかになるのです。こういうことが出来るのは老人の特権です。老境の華やぎの一つです。

それはそれとして、

今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。藤山杜人