後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

戦没画学生の興梠 武さんの「編物をする婦人」

2011年09月22日 | インポート

東京美術学校卒。昭和20年8月8日ルソン島、ルソド山にて戦死。享年28歳。

この絵は一番下の妹の絵。絵を描いて出征し、妹は間もなく病気で死にます。その報告を戦場で受け取った興梠 武さんは半狂乱になったそうです。

間もなく天国で二人は会って、静かに見つめあって暮らしていると信じています。ご冥福をお祈りいたします。

絵と文章の内容の出典は以下の通りですNHKきんきメディアプラン発行、「無言館 遺された絵画」2005年版、46ぺージです。

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東京駅をとりまく時代の流れ・・・その思い出

2011年09月22日 | 日記・エッセイ・コラム

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あれは昭和17年の夏の事だったと思います。東京駅、中央通路に白いタイル貼りの円形水槽がありました。百匹くらいの小魚が群れをなして円周に沿って一斉に泳いでいるのです。

連戦連勝で日本中が湧いていた頃です。

仙台の大学で働いていた父が、夏になると兵庫県の田舎へ帰省していました。その途中見た東京駅の通路にあった水槽が忘れられません。泳いでいた小魚の群れは鰯だったのか、ハヤなどの淡水魚だったのか分かりませんが、6歳の幼児の網膜に焼きついて一生離れません。75歳の現在でも鮮明に思い出しています。

翌年、昭和18年夏、魚の群泳を楽しみにして東京駅中央通路へ行くと、無いのです。魚が一匹も居なく、空の白いタイルの水槽があるだけです。後で考えると戦争が負け始めたので、魚の水槽どころではなくなって来たのでしょう。

そして何年も時が流れました。中年になって少し落ち着いた時分に内田百閒の「百鬼園随筆集」や摩阿陀会に関する話を読みました。

百閒さんの作品では鋭い人間描写を彼一流のユーモアをまじえて書かれています。短い文章でも、味わい深い随筆になっているので、つい吸い込まれるような作品が多いのです。

彼の書いたものには何時も東京ステーションホテルのダイニングが出て来ます。

作品が好きになりました。関係する場所へも行ってみたくなり、1970年ころから東京ステーションホテルのダイニングへ時々行くようになりました。重厚な赤レンガの建物で、内装はヨーロッパ風のシックイ壁。昔風の黒い鉄の窓枠の外には、一番線の電車から新幹線の列車までよく見え、旅情をかきたてられるのです。

ステーションホテルの正面入り口の階段を上がった所にウイスキーも出すコーヒー店がり、そこにもよく通ったものです。仕事で人と会うときはよく使った店でした。昼間はコーヒー、夕方になるとウイスキーの水割りと、便利な場所でした。

また何年かたった頃、丸の内中央改札口を出て右手にステーション・ギャラャリーが出来ました。時々、絵画の企画展をしていました。あれは20世紀が終わり、21世紀が始まった頃だったような気がします。

「戦没画学生の遺作展」があったのです。ポスターには美しい女性の横顔の肖像があります。出征する前に精魂込めて描いた絵。企画展では数十枚の油絵が展示してありました。戦争で死んだ画学生の作品。家族の人物像が多い。征く前に寸暇を惜しんで描いている。時間が無くなり、未完成のものもある。

パンフレットに遺作画を常時展示している、「無言舘」のことが紹介してあります。泊がけで訪ねて行きました。

無言舘は、長野県上田市、別所温泉近くの山中にあるのです。車で、山の中を探しあぐねた末にやっと辿り着きました。

鎮魂という言葉を連想させる、修道院のようなコンクリート製の建物です。

館長が遺族を訪問し、一枚一枚集めた戦没画学生の作品を常設展示しているのです。

フォトアルバム「山林の中の小屋」の中に、無言館で買った絵葉書が出ています。本文末尾に再掲載しておきます。戦没画学生の絵の企画展のポスターに使われた絵です。

3年前に東京ステーションホテルやステーションギャラリーの写真を撮りに行きました。

思わず、「ああ!来るのが遅すぎた!!」と声を出してしまいました。大改修中でホテルもギャラリーも完全閉鎖で、窓にはカーテンも無く、殺風景な様子です。しばらくして、気を取り直し、工事中の無粋な塀が映らないようにして、東京駅の写真を数枚撮ってきた写真を上に数枚示します。

私の東京ステーションはセピア色の写真になって思い出だけになってしまったのです。

それにしても時代の流れの速さに驚いています。

綺麗に改修された東京駅はもう私の思い出の中の駅舎ではなくなりました。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。

藤山杜人

付記:フォトアルバム「山林の中の小屋」の写真を下に出しておきました。そして、その絵画は次の記事でご紹介してあります。

12月末の小屋のデスク、クリスマスカードを数枚外国へ送る