今朝、「原子力発電が無くても日本経済が成長しているこの現実」という記事をこのブログと3つのSNSに同時に投稿しました。そうしたら2つのSNSの方でいろいろなコメントを頂きました。
地球温暖化の因果関係が判明していないのだから炭酸ガスの心配は不要というご意見もあれば、原発を再稼働しないと廃炉の費用が稼げないというコメントもありました。
核燃料の処理方法も確立していないのに原発の再稼働は子孫に大きな危険負担を残すから止めるべきだと主張される方も居ます
そして原発は日本の安全保障のため非常に重要だから再稼働して原発技術の向上を期すべきだというコメントもあります。
どれもこれも理路整然としていてごもっともです。しかしどの意見が正しいのか定量的に評価する方法が無いのです。ですから正直に言えば私は原発の再稼働に賛成すべきか、反対すべきか判断がつかないのです。
多くの人々も判断がつかないとしたら、それは至極自然なことです。このような議論は水掛論と言って不毛な口論になりがちです。
不毛な状態を少しでも建設的するには感情論を避けて、それぞれの意見の内容を正確に理解し合うことが肝要だと私は考えています。
そこで以下で、「日本の安全保障上、原発技術が何故必要か?」という理由を書いてみたいと思います。
まず「日本の安全保障上」という言葉が曖昧過ぎます。具体的な言葉に置き換えるべきです。
安全保障とは以下の2つの意味があるようです。
(1)海外から石油や天然ガスの輸送が止まっても日本国内で電気が発電し続けられるという安全な状態を保証すること。
(2)隣の大国の原子力潜水艦や核兵器によって日本が本格的に攻撃されても完全に撃退し日本の安全を保障すること。そのため日本も原子力潜水艦を建造し、なおかつ隣国が保有する核兵器以上の兵器を保有する必要があるのです。
下には中国海軍の原子力潜水艦の写真とその構造の図面を示します。
中国の原子力潜水艦の画像:https://www.google.co.jp/search?q=%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%
上の図面と下の表の出典:http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=05-02-04-02
そして以下の表で世界各国が保有する原子力潜水艦の数を示します。
少し技術に明るい方々は原発装置を小型化すると原子力潜水艦になると理解しています。違いは原発の発電用モーターを船のスクリューに変えただけです。
日本は昔、原子力船を保有していたのです。
さて核兵器は原子力潜水艦ほど原発技術に直結はしていません。
まず核燃料を原発よりも濃縮しなければいけません。その装置は日本にはありません。
その上、原爆を爆発させる起爆装置の製作技術が必要です。そして原爆を小型化して弾道ミサイルの弾頭に搭載する高度な技術も必要です。
しかし原子力発電技術を熟知していれば日本人技術者が核兵器を作るのは容易であると言われています。
ですから原発を保有していることは原子力潜水艦と核兵器製作の基礎技術を持つことになるのです。
あなたは日本の安全保障上、原発技術が必要と主張されますか?
もし主張されるのなら上記の理由の、(1)だけの理由でしょうか? あるいは(2)も強調されたいのでしょうか?
何故、安全保障などというあいまいな言葉を使うのですか?使うならその明確な定義をしてから使うべきです。
原発問題について曖昧な言葉として前々から心配していた「安全保障」という言葉について愚見を書いてみました。コメントを頂ければ嬉しく思います。(終わり)