後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

あなたは何故、日本の安全保障上、原発技術が必要と主張なさるのです?

2014年06月21日 | 日記・エッセイ・コラム

今朝、「原子力発電が無くても日本経済が成長しているこの現実」という記事をこのブログと3つのSNSに同時に投稿しました。そうしたら2つのSNSの方でいろいろなコメントを頂きました。

地球温暖化の因果関係が判明していないのだから炭酸ガスの心配は不要というご意見もあれば、原発を再稼働しないと廃炉の費用が稼げないというコメントもありました。

核燃料の処理方法も確立していないのに原発の再稼働は子孫に大きな危険負担を残すから止めるべきだと主張される方も居ます

そして原発は日本の安全保障のため非常に重要だから再稼働して原発技術の向上を期すべきだというコメントもあります。

どれもこれも理路整然としていてごもっともです。しかしどの意見が正しいのか定量的に評価する方法が無いのです。ですから正直に言えば私は原発の再稼働に賛成すべきか、反対すべきか判断がつかないのです。

多くの人々も判断がつかないとしたら、それは至極自然なことです。このような議論は水掛論と言って不毛な口論になりがちです。

不毛な状態を少しでも建設的するには感情論を避けて、それぞれの意見の内容を正確に理解し合うことが肝要だと私は考えています。

そこで以下で、「日本の安全保障上、原発技術が何故必要か?」という理由を書いてみたいと思います。

まず「日本の安全保障上」という言葉が曖昧過ぎます。具体的な言葉に置き換えるべきです。

安全保障とは以下の2つの意味があるようです。

(1)海外から石油や天然ガスの輸送が止まっても日本国内で電気が発電し続けられるという安全な状態を保証すること。

(2)隣の大国の原子力潜水艦や核兵器によって日本が本格的に攻撃されても完全に撃退し日本の安全を保障すること。そのため日本も原子力潜水艦を建造し、なおかつ隣国が保有する核兵器以上の兵器を保有する必要があるのです。

下には中国海軍の原子力潜水艦の写真とその構造の図面を示します。

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中国の原子力潜水艦の画像https://www.google.co.jp/search?q=%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%

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上の図面と下の表の出典:http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=05-02-04-02

そして以下の表で世界各国が保有する原子力潜水艦の数を示します。

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少し技術に明るい方々は原発装置を小型化すると原子力潜水艦になると理解しています。違いは原発の発電用モーターを船のスクリューに変えただけです。

日本は昔、原子力船を保有していたのです。

さて核兵器は原子力潜水艦ほど原発技術に直結はしていません。

まず核燃料を原発よりも濃縮しなければいけません。その装置は日本にはありません。

その上、原爆を爆発させる起爆装置の製作技術が必要です。そして原爆を小型化して弾道ミサイルの弾頭に搭載する高度な技術も必要です。

しかし原子力発電技術を熟知していれば日本人技術者が核兵器を作るのは容易であると言われています。

ですから原発を保有していることは原子力潜水艦と核兵器製作の基礎技術を持つことになるのです。

あなたは日本の安全保障上、原発技術が必要と主張されますか?

もし主張されるのなら上記の理由の、(1)だけの理由でしょうか? あるいは(2)も強調されたいのでしょうか?

何故、安全保障などというあいまいな言葉を使うのですか?使うならその明確な定義をしてから使うべきです。

原発問題について曖昧な言葉として前々から心配していた「安全保障」という言葉について愚見を書いてみました。コメントを頂ければ嬉しく思います。(終わり)


三鷹市美術ギャラリーでのマリー・ローランサン展を見てきました

2014年06月21日 | 日記・エッセイ・コラム

今日は家内が三鷹市美術ギャラリーでのマリー・ローランサン展へ行きたいと言うので一緒に行ってきました。

感動したことはマリーの若い時から晩年までの数多くの作品を丁寧に集め、年代順に展示してあることです。

デッサンの下手なこの画家がその色合いの独創性を生かし、試行錯誤しながら次第に画風を確立して行く様子が浮き彫りになっています。

19世紀末から第二次世界大戦終了までのパリに流れていた優美であるが何処か退廃的な雰囲気を美的に描いた絵画には独特な魅力があります。感心しました。

話は変わりますが、普通の人は自分のデッサン力の無いことに失望して絵を描くことを断念するものです。しかし彼女は死ぬまで絵を描き続けました。よほど絵を描くことが好きだったに違いありません。継続は力です。晩年になり安心して楽しめる優美で、何処か悲しげな画風と独特の色彩に到達したのです。

見ていて不愉快になる絵は一枚もありません。会場は三鷹駅南口に隣接した便利な所にあります。  明日までですが、是非お出掛けになってください。

下にポスターの写真と絵葉書の写真をお送りいたします。

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===参考:マリー・ローランサンについて==============

三鷹市美術ギャラリーの紹介文(http://mitaka.jpn.org/ticket/140412g/)です。

パリ生まれのマリー・ローランサン(1883-1956)は優雅な色彩による独自の作風で知られています。
本展では、初期の自画像から始まり独自の作風が確立してからの優雅な女性像を中心に幅広い作品69点を展示する予定です。

1907年24歳頃のマリー・ローランサン
1907年24歳頃のマリー・ローランサン
20世紀前半のパリを活動拠点としたエコール・ド・パリの多くの画家たちのなかでも、モーリス・ユトリロとマリー・ローランサンは図抜けて日本での人気が高い画家です。共に1883年のパリに婚外子として生を享け、二つの世界大戦を背景に独自の画業を展開し、ユトリロは1955年、ローランサンは翌56年、やはり共にパリに没しました。諸外国や地方から流れ着いた他の画家たちに比べ、この二人の生は分かちがたくパリという故郷に結びついたものであったと言ってよいでしょう。

当ギャラリーでは、2007年「モーリス・ユトリロ展~モンマルトルの詩情~」を開催しその画業を紹介しました。今回はもうひとりの画家、マリー・ローランサンの作品を展覧いたします。

画家ローランサンの特異な点は、今では考えづらいことですが、女であるということでした。17世紀に起源を持つパリの国立美術学校が女性の入学を認めたのは1897年です。女性画家の存在は稀でした。そんな時代のパリにあって、マリーはブラックやピカソを通してキュビスムへ傾倒し、詩人アポリネールと出会います。しかし刺激し合う関係も長くは続かず別離があり、ドイツ人男爵との結婚、直後の大戦勃発によるドイツ人としての亡命生活、ニコル・グルーとの出会い、終戦と離婚、そして再びのパリです。時代はまたしても暗雲漂う方向に傾きますが、マリーの明るく優美な色彩と形態は、それらをも包み込むようにしなやかな女性性を確立してゆきます。20世紀のパリに生きたひとりの女の生涯がここにあります。


原子力発電が無くても日本経済が成長しているこの現実

2014年06月21日 | 日記・エッセイ・コラム
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上の写真は水素爆発した直後の福島の4つの原発工場の建屋の様子です。
この程度の建屋の破壊はすぐに復旧できます。しかし放射能に汚染された炉心冷却水が毎日400トンほど出来てしまう状態が2011年から続いているのです。その 汚染水を貯蔵するタンク群が工場の敷地いっぱいに並んでいてもうこれ以上の貯蔵が困難になって来ました。
そして昨年の秋から日本にある50基ほどの全ての原発が定期点検のために運転を停止ししています。
ところが日本の経済成長は相変わらず続いているのです。
そしてこの盛夏の電力を充分まかなうために各電力会社は火力発電所を整備して準備をしています。
2011年3月11日の東日本大震災以来の福島原発の多量の汚染水の問題を見ている多くの人々は、「原発が日本にとって必要が無いのではないか」という疑問にとらわれています。
福島の事故以来、原発賛成派の人々は次の2つの理由で賛成していました。
(1)原発が無いと日本の経済成長が止まり、マイナスになって行く。そして夏には電力不足で大停電が起きる。
(2)原発の代わりに火力発電を増加すると炭酸ガスの放出量が増大し地球温暖化がますます加速される。
上記の(1)については皆さんご存知の通り、心配ないことが明確になりました。
さて(2)の問題は依然として残っています。
そこでその炭酸ガスの処理方法を調べてみました。
ある方法を見つけました。外国でも実証実験が行われているようですが、まだ実用段階になっていない技術です。
この方法は技術的には困難な要素が無いように見えます。問題はコストだけです。
使用済み核燃料の処理のコストと比較出来るようになれば急速に普及する技術のように考えられます。
有望そうな技術なので以下にご紹介いたします。

火力発電の欠点は大量の炭酸ガスを放出する事だけです。

そこで発電所の煙突から炭酸ガスが放出されないようにする技術が「二酸化炭素回収・貯留技術(CCS技術)」と呼ばれる方法です。

以下に図面と簡単な説明文をご紹介致します。

出典は、http://www.jpower.co.jp/bs/karyoku/sekitan/sekitan_q03.htmlです。

燃料が燃えるときCO2が出ることは避けられません。そこで発生するCO2そのものを回収し封じ込める「二酸化炭素回収・貯留技術(CCS4)」の開発が進められています。

CCSは発電時に発生したCO2を回収し地中へ閉じ込める方法で、国内外の機関が研究を進めています。将来、世界のCO2排出量の約100年分に相当する2t-CO2を世界全体で貯留できる可能性があるといわれています。

CCS法を開発している日本の会社もあります。日本CCS調査株式会社ですhttp://www.japanccs.com/whats/whats.html)をご覧下さい。

CCSとはCarbon dioxide Capture and Storageの略であり、二酸化炭素(CO)の回収・貯留を意味します。 

人類は、豊かな生活を築くために、数千万年以上にわたって地中深くに溜まっていた化石燃料を取り出して利用してきました。化石燃料を利用する際にはこれを燃やし、そのときにCOが発生します。その結果大気中のCOが増加し地球温暖化を招いています。CCSは、工場や発電所で発生するCOを捕えて、地中貯留に適した場所まで運び、貯留する技術であり、早期大規模削減を可能にする重要な温暖化対策と期待されています。 

以下の図面の技術が完成するまでにはまだ年月がかかります。

ですから原発を少し再稼働しながら、このCO2 処理技術を完成して行けば良いのです。

原発に絶対反対とか絶対推進すべしと声高く叫ぶよりも地道に代替え技術を完成する努力が一番重要ではないでしょうか?原発を政争の道具にしないで、それに代わる安全な技術を研究することが一番重要です。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。

後藤和弘(藤山杜人)

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