ある民族の食物や料理へ対する考え方は地域と気候によって大きく変わります。そして経済的事情や宗教的戒律にも深い影響も受けます。
戦前から戦後69年にわたる日本人の食物や料理へ対する考え方は時代と共にどのように変化したでしょうか?
非常に大雑把に言えば戦前、戦後の食糧難の時代は食物とは生きるため、命をつなぐため絶対的に必要なものと考えてていました。経済が疲弊していた時代だったので貧しい食料品を必死に入手しなければ無かったのです。
その貧弱な食生活でも幸せな気分になるために、「贅沢な食事は人間を堕落させる」という現在から考えると不思議な考えが横行していたのです。
そして清貧の思想が大切にされていました。ご飯の一粒でも大切にし、お百姓さんへ感謝しながら食べたものです。
それが現在では、すっかり様変わりし美食は人生を幸福にするという考えに変わり、
日本人の多くががグルメ志向になり、美食を追求するようになったのです。貴重な食材を求め、美味しい料理法を研究する人が非常に増加したのです。
生きるための食物から人生を豊かに幸福に過ごすための食物料理法へと変化したのです。
このように食物や料理へ対する考え方が大きく変化すると、お米一粒でも百姓さんへ感謝して食べるという考えなど消えてしまいます。清貧の思想など消えてしまいます。
このように日本人の考え方の変化に原因はいろいろありますが、私は2つの原因が重要だったと考えています。
一つは東京オリンピックのあった1964年頃からの日本の経済成長です。いろいろな食料品が安価に入手出来るようになったのです。そして美味な料理を手軽な価格で提供するファミリーレストランのチェーン店が全国に展開したのです。回転寿司のチェーン店も津々浦々に出店しています。
日本の経済の高度成長が原因で新鮮な食品の冷凍流通の進歩と大型チェーンレストランの全国普及をもたらしたのです。人々の外食は普通のことになったのです。清貧の思想が消えるのは自然なことではないでしょうか。
もう一つの原因は寿司や刺身やラーメンなどの日本固有の料理が世界中で好まれるようになっことです。日本人が美味しいものには国境が無いという実感を持つことが出来たのです。これが一つの原因になって日本人の食物や料理に対する情熱が一層強く燃え上がったのです。
その結果、日本人の料理人が外国へ行って和食を広めました。それだけではなく日本人のシェフがフランス料理やイタリア料理の技術を非常に向上させたのです。これは中華料理の世界でも同様です。
このような事情で日本人の食物や料理へ対する考え方が大きく変化したのです。戦前、戦後の食糧難の時代を知っている私にとっては驚天動地のような大変化です。
しかしこのような時代になっても食物への感謝の気持ちや、清貧の良さを時々考えることが重要なのではないかと私は信じています。
下にいろいろ美味しそうな料理の写真をお送りいたします。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。
後藤和弘(藤山杜人)
上の握りずしと、下のウナギの蒲焼の写真の出典は、http://www.veltra.com/jp/hawaii/oahu/a/13683/images です。
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上のフランス料理の写真の出典は、http://www.kkr-hotel-sapporo.com/contents/restaurant/project_61.html です。
上のフランス料理のジビエ、野鳥料理の写真の出典は、http://www.l-ambiance.jp/nouvelles/20140218-1715.html です。
上の中華料理の写真の出典は、http://www.syunpantei.com/ です。
上の北京ダックが主菜の中華料理の写真の出典は、http://gourmet.goo.ne.jp/restaurant/shopID_gourmet-gnavi-KBXR900/ です。