科学や技術の世界へ入っていくとヨーロッパ人の偉さがしみじみと分かります。その賢さ、天才的なひらめきに唸ってしまうことが度々です。その実例の一つは製鉄法での「熱風炉」の発明です。溶鉱炉は古代中国人が発明しましたが熱風炉は産業革命期のイギリス人を中心にしたヨーロッパ人によって発明されたのです。強靭な鋼を溶解し、型に流して大きな鋼塊や鋼板にするには1600度以上の温度を作る必要があります。そこでヨーロッパ人は溶鉱炉へ吹きこむ空気をあらかじめ800度くらいに熱してから吹き込んだのです。このように空気を予備加熱するための炉を熱風炉と言います。
この熱風炉の発明で人間は初めて多量の鉄を容易に作ることが出来たのです。従って近代製鉄の鍵は熱風炉の発明になるのです。
熱風炉こそが中世の工業と近代工業を分ける分水嶺なのです。それは製鉄だけでなく高温を必要とするあらゆる工業分野で革命を起こしたのです。
下に溶鉱炉と熱風炉の図面を示します。この図面の13という番号の付いているのが2本の熱風炉です。その左に縦長の溶鉱炉の図があります。出典:Wikipedeaの「溶鉱炉」より。
この図面の13という番号の熱風炉の内側の右半分には耐火レンガを格子状に積んであります。2本のうち1本の中へ溶鉱炉の炉頂から出る高温の排気ガスを導入し格子状のレンガを加熱し、蓄熱します。それが終わったら炉頂排気ガスを停め、空気をレンガの間に吹き込み、加熱します。加熱された空気を左の溶鉱炉の下のほうにある羽口から吹き込みます。この図では羽口は7番の番号がついています。熱風炉は2本以上、4本位ついています。1本を空気の加熱に使用している間は他の炉へは炉頂排気ガスを吹き込んでレンガ積みを加熱しています。順番に交互に使って空気の加熱温度がそんなに変動しないようにします。
炉頂からはベルトコンベアーで鉄鉱石とコークスを交互に入れます。鉄鉱石とコークスの層が交互に重なって、ゆっくり下の方へ降りて行きます。
コークスは加熱された空気で燃えて1600度以上の熱を発生しながら一酸化炭素になります。この一酸化炭素が酸化鉄と反応して鉄を作るのです。鉄の融点は1535度なので、溶けて炉底にたまります。その溶鉄を数時間おきに流し出し、製鋼工場へ運びます。鉄が液体として炉底に溜まり、流し出せるので大量の鉄が連続的に生産されるようになったのです。
1本の溶鉱炉が毎日生産する鉄の量は5000トン位にもなるのが普通です。
炉内で起きる一番重要な化学反応を示します。
Fe2O3 + 3CO = 2Fe + 3CO2
この化学反応式の意味はコークスが燃えて出来た一酸化炭素ガスCOが酸化鉄Fe2O3から酸素を奪い、鉄Feを作るという意味です。この化学反応の研究が何故面白いのかという事はいずれ説明いたします。
今回は熱風炉こそが溶鉄の多量、そして連続生産の鍵になっていることをご説明するだけにしておきます。
たたら製鉄を行って、素晴らしい日本刀を作ってきた日本人には最後まで熱風炉の発想が生まれなかったのです。くどいのですが、ヨーロッパ人の偉さがしみじみ分かります。(続く)
5年前受洗したプロテスタントの信者です。米国系列の教会に通っています。日本のキリスト教徒は少数精鋭であり、残るべき選ばれた信者がキリスト教を続けていると感じます。
私はいろいろ考えた末、献金・奉仕に寛大な米国系列の外国人対象の教会を選びました。
宗教は、気軽にできない厳しい側面もあると思います。献金や礼拝などです。
私にとっては、宗教はとても気軽には考えられない大変厳しい訓練でした。今でも時々いやになる事もあります。こんなに大変なものを他人には勧められないと思ってしまいます。
元々頭でかっちで、宗教とは程遠い自己中心で身勝手な生活をしていました。
自分の仕事の都合上、キリスト教が必要な部分があり、打算もあって近づきました。最初は教えに衝撃を受け幻滅しましたが、数年後神の愛に気づき、素晴らしさも感じられるようになり現在は喜びを感じています。
宗教により、多大な事を学ばせてもらいました。仕事や日本社会では出会わなかったような、人生の深さ・人間の愚かさ・自分の変革を体験しました。死ぬ直前まで、神の定めたレースを走っていこうと思っています。
・・・・・・・・・・・終わり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
高橋さんの上の文章へ付け加えることは何も有りません。正しい信仰生活とはこのようなものです。素晴らしい生活をなさってる高橋さんへ神様の慈しみが必ずあると思います。
今日は皆様が宗教というものへ深い関心を持って下さることをお祈り申し上げます。藤山杜人