写真は6月19日の現場で、出典は、http://blog.goo.ne.jp/bibbly/e/e032193d138a0efbe254e3a2237c7821 です。
(この爆発当時の写真の出典は毎日新聞:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110317-00000003-maip-soci )
今朝の新聞に福島原発で冷温停止に成功したというニュースが一面に出ていました。本当なら原発の収束への道の転換点になるほどの大成功です。
3月の爆発の後、福島第一原子力発電所の1号機から4号機まででは外に漏れた汚染水をとりあえず循環し炉心を冷却する応急処置をして来ました。
フランスとアメリカから急遽輸入した循環式の汚染水の浄化装置を繋ぎ合わせて冷却水を送っていますが、この循環装置の作動が安定せず苦戦していたのです。
最近は東芝製の新しい浄化装置も加えて冷却する新作戦も始めましたが成功のめどは不明で、私は暗然たる気持ちで見守っていました。
何時になったら炉心の圧力容器の中が100度以下になって、放射能物質を含んだ蒸気が止まるのかが大問題です。それが解決しないうちは原発の収束の見とうしも立ちません。なにせ、現在でも放射性物質(セシウムとヨウソ)の粉末や放射性物質を付着した蒸気が放出されているのですから。
ところが2、3日前から圧力容器の中へ緊急冷却用の配管を使って冷却水を燃料棒へ散布する事に成功したのです。1号炉と3号炉で成功し、炉心温度が100度以下になったのです。
これで炉心の水の沸騰による放射性水蒸気の放出は止まったようです。1号炉と3号炉の周辺放射線量が格段に下がったという報道もありました。こうなると、残った2号炉も緊急冷却用の配管を使って冷却水を燃料棒へ散布する事に成功するのは時間の問題になります。間もなく2号炉も安定した冷温状態になると思われます。
これは大変大きな進展で、爆発した原発炉の冷温安定の実現にとって大変明るいニュースです。
ここで福島原発の現状と今後の危険をもう少し詳しく考えてみたいと思います。
3月11日の大津波で全電源喪失になった福島原発の4つの炉が水素爆発をして多量の放射性セシウムを吹き上げました。
この爆発で3つの原発の炉底が熔け落ちて燃料棒が流れ落ちたのです。
そして建屋も吹き飛ぶほどの大爆発で原子炉の炉心へつながる数十本の配管と、地下構造物に無数の割れ目が出来てしまったのです。
その後、緊急に炉心近辺の冷却のために注水した多量の水が汚染水となり原発工場の周辺や地下へ漏れ出したのです。こうなると密閉式循環装置は機能せず、まさしく手のつけられない状態になってしまったのです。
そこでとりあえずフランスとアメリカから汚染水の浄化装置を購入し、外に漏れ出した汚染水を集めて、浄化し、炉心への注水に使い出したのです。炉心の外側から注水しているので炉心の中は100度以下になりません。炉心では相変わらず汚染水が沸騰し、放射能を持った蒸気が毎日、空へ放出されていたのです。
ところが最近やっと炉心の内部へ直接冷却水を送る事に成功したのです。炉心が沸騰を止めたので放射能の放出が止まったのです。これで福島原発はもう安全なのでしょうか?
今後の危険はどのようなものでしょうか?まだまだ解決すべき問題が残っています。
(1)こわれた原発建屋を丈夫な壁と天井で覆い、空中への放射能漏れを完全に防止する仕事。
(2)原発の壊れた配管や地下の床の割れ目を完全に密閉して汚染水が外に漏れないようにする工事。
(3)工場内の高濃度汚染土壌が風で近隣地域へ拡散しないように除染する仕事。
(4)数十年後に炉心の燃料棒を安全に取り出す仕事。
どれもどれも気の遠くなるような長時間の要する危険な仕事です。
このように大きな代償を払ってまで何故、原発を推進すべきだったのでしょうか?
戦後の日本の社会の有り方へ対する深い、深いため息が出ます。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。
藤山杜人
・・・・・・・・・・・参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
福島原発の現状は:http://www.47news.jp/47topics/e/201888.php にあります。
外付け循環冷却装置の不安定な作動状況は:http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/news/20110916k0000m040121000c.html です。