世の中には魚の嫌いな人が案外多いものです。生臭いとか小骨が多くて食べ難いという理由で敬遠するのです。
ところで食べのもの好き嫌いは、幼少の頃に食べた物と、その家の味付けによって決まると言われています。
ですから仲の良い夫婦でも味付けの好みが違うと、争いが永遠に続くのです。
私は昭和11年に仙台に生まれ、戦後も仙台で育ったので、塩釜漁港から木箱に詰めて運ばれてくる魚だけを食べて育ちました。牛肉も豚肉も鶏肉もほとんど食べませんでした。
毎日、食べる魚は塩に漬けたイワシ、ニシン、助宗タラ、塩引きのサケ、塩辛のイカ、だけです。塩が強いだけでなく、半分腐っているのも食べました。
幸運な時には女川漁港のそばで取れるクジラ肉もありました。味噌漬けにして焼いて食べます。そしてクジラのベーコンもたまには食べました。それは美味でした。
塩っぱい魚類をおかずにして麦ごはんを食べて育ちました。
ですから老人になった現在でも、塩の強い味付けと、魚なら何でも興奮してたべます。
対照的に家内は魚をあまり食べない家庭で育ちました。味も薄めです。困ったものです。しかし味付けの相違で、今更離婚も出来ませんから、自分の皿にだけ塩を少々振って食べます。それも楽しいものです。
それはそれとして、私は大型魚介店に行って、魚をいろいろ眺めて楽しむ趣味を持っています。興奮します。感動します。すべての魚や貝類がすごく新鮮なのです。日本各地で取れる魚が所せましと陳列してあります。
客は選んだ魚を指さして、それをサシミにしてもらったり、切り身にして貰って帰ります。昔の魚屋と同じ雰囲気です。
塩に漬けた魚はサケだけです。他の全ては冷蔵コンテンに入れ、トラックで運び込んだものです。冷蔵技術と冷凍技術の進歩のおかげです。
一般的にいろいろな商品を眺めて楽しむ趣味は万国共通のようです。
家内はデパートの流行の服や装身具を眺めて楽しむ趣味です。そして「デパートは文化の殿堂」と言ったお洒落な姪の話をします。文化の殿堂とは少し変な言葉ですが、実感がこもっています。
私は角上魚類店に行っては、魚たちをつぶさに眺めて楽しんでいます。実に数多くの魚介類が色鮮やかなピチピチした姿で山と積まれ並んでいます。日本いや世界各地から運ばれて来たのです。そこは運輸・冷蔵・冷凍文明の殿堂なのです。下に1月22日に撮った魚たちの写真を示します。
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それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)