都合のいい「うつ」=新型うつ。勤務中は仕事が手につかず、勤務態度もよろしくない。しかし、勤務時間外には個人的な趣味や交際に積極的。なかには、「うつ」という診断書を貰って休職を申し出る。その間、自宅療養、通院など治療に専念すると思いきや、海外旅行や資格獲得に精を出す。そんな社員が増えている、とか。
そういった「うつ」を口実にして、勤務を免除され、羽を伸ばすようすを垣間見て、会社の同僚や上司、部下の人たちが、彼らへの不満・疑い・怒りが渦巻いてしまっている。
マスコミ・評論家の、「新型うつ」という新たな病気の出現を声高に主張する風潮の中で、専門医や製薬会社の思惑も含めて、従来の(古典的な)ように診断されるうつとは異なってはいるが、「新型うつ」の「うつ」であることには間違いない、として診断し、投薬を中心とした従来からの治療法を行う。
さらには、本人のためを思って、その申し出によって、「○○ヶ月の病気休職」というような内容の診断書を発行する。本人は、それを会社に提出し、晴れて休職期間。ところが、休息・休養どころか、その期間、これまでの鬱状態が嘘のように、伸び伸びと趣味などをエンジョイする・・・。いっそのこと、あれこれ理屈をつけて解雇してしまえ、という経営者も出て来るしまつ。そうした「新型うつ」、若い年代に多いとか。
この書。ご本人もうつと苦しみながら闘ってきた方。こうした新型うつばやりで、かえって「うつ」で苦しんでいる人まで誤解され、薬漬けになったり、休職も出来ず、職場を追われてしまう、そして適切な治療も受けられなくなる、・・・。そういう風潮への警告の内容を持つ。
私の知人がうつ病になって休職となった。端で見るのも気の毒なくらいの気分障害、なかなか症状の改善に合う薬がなくて、何ヶ月もまさに「死」ぬ思いの状態。やっと合う薬があって、次第に改善され症状が緩和された。
医者も、もう大丈夫ということで薬もなしということに。通院しなくなったとたん、今度は躁状態。毎日・毎晩、ハイな状態で飛び回り、結局残ったのは、多額の借金。やっとそれもおさまり、再び通院生活。二極型の「そううつ病」との診断。
今は薬こそ飲んでいるが、仕事をこなせるようになって、やっとほぼ通常人の生活に戻った。気がついたら、すでにあしかけ8年。
そういう状態になったケースを見ているので、この書の内容に関しては、現実的な読み方になってしまう。たしかにこの書で取り上げられている具体的なケースは、実際に見てきた「うつ」とは違う。
うつから躁転したケースではないかとも思う場合もあるが、もともと他者との関係の中で自分自身を責める(追い詰める)中で発病する、といううつ診断の埒でははかれない感じもする。
筆者の個人的経験を交えながら、さまざまな方面の方(精神科医から社会学者など)へのインタビューをもとに、実例を挙げながら論じている。それなりの批判も出て来るだろう。読者も内容をすべて鵜呑みにするのではなくて、筆者の視点(立ち位置)をふまえながら、自らの頭で読み進める方がいいだろう。
都合のいい「うつ」は、本人にとって、医者にとって、薬屋さんにとって、会社にとって、そして日本社会にとって「都合のいい」ことになっていく。そして、本当に苦しんでいるうつ患者を切り捨てていくことに・・・。その一番は、うつを生み出すゆがんだ、日本の社会を見直すことを嫌う人々にとって「都合のいい」ものになっていってしまう、そこに目をつけることが大事だ。
そういった「うつ」を口実にして、勤務を免除され、羽を伸ばすようすを垣間見て、会社の同僚や上司、部下の人たちが、彼らへの不満・疑い・怒りが渦巻いてしまっている。
マスコミ・評論家の、「新型うつ」という新たな病気の出現を声高に主張する風潮の中で、専門医や製薬会社の思惑も含めて、従来の(古典的な)ように診断されるうつとは異なってはいるが、「新型うつ」の「うつ」であることには間違いない、として診断し、投薬を中心とした従来からの治療法を行う。
さらには、本人のためを思って、その申し出によって、「○○ヶ月の病気休職」というような内容の診断書を発行する。本人は、それを会社に提出し、晴れて休職期間。ところが、休息・休養どころか、その期間、これまでの鬱状態が嘘のように、伸び伸びと趣味などをエンジョイする・・・。いっそのこと、あれこれ理屈をつけて解雇してしまえ、という経営者も出て来るしまつ。そうした「新型うつ」、若い年代に多いとか。
この書。ご本人もうつと苦しみながら闘ってきた方。こうした新型うつばやりで、かえって「うつ」で苦しんでいる人まで誤解され、薬漬けになったり、休職も出来ず、職場を追われてしまう、そして適切な治療も受けられなくなる、・・・。そういう風潮への警告の内容を持つ。
私の知人がうつ病になって休職となった。端で見るのも気の毒なくらいの気分障害、なかなか症状の改善に合う薬がなくて、何ヶ月もまさに「死」ぬ思いの状態。やっと合う薬があって、次第に改善され症状が緩和された。
医者も、もう大丈夫ということで薬もなしということに。通院しなくなったとたん、今度は躁状態。毎日・毎晩、ハイな状態で飛び回り、結局残ったのは、多額の借金。やっとそれもおさまり、再び通院生活。二極型の「そううつ病」との診断。
今は薬こそ飲んでいるが、仕事をこなせるようになって、やっとほぼ通常人の生活に戻った。気がついたら、すでにあしかけ8年。
そういう状態になったケースを見ているので、この書の内容に関しては、現実的な読み方になってしまう。たしかにこの書で取り上げられている具体的なケースは、実際に見てきた「うつ」とは違う。
うつから躁転したケースではないかとも思う場合もあるが、もともと他者との関係の中で自分自身を責める(追い詰める)中で発病する、といううつ診断の埒でははかれない感じもする。
筆者の個人的経験を交えながら、さまざまな方面の方(精神科医から社会学者など)へのインタビューをもとに、実例を挙げながら論じている。それなりの批判も出て来るだろう。読者も内容をすべて鵜呑みにするのではなくて、筆者の視点(立ち位置)をふまえながら、自らの頭で読み進める方がいいだろう。
都合のいい「うつ」は、本人にとって、医者にとって、薬屋さんにとって、会社にとって、そして日本社会にとって「都合のいい」ことになっていく。そして、本当に苦しんでいるうつ患者を切り捨てていくことに・・・。その一番は、うつを生み出すゆがんだ、日本の社会を見直すことを嫌う人々にとって「都合のいい」ものになっていってしまう、そこに目をつけることが大事だ。