ちょっとおもしろい本。なるほど。実力がものをいう世界、と思っていたスポーツ界が実は学歴、もっといえば学閥社会であった! という内容。長く選手を続けられ、引退後も指導者になるのにも、特定の大学(例えば、早稲田)が有利になっているなど、「計量経済学」の手法でのデータ分析。
「プレジデント」などの雑誌・週刊誌などで特集する、どの大学出身者に社長が多いか、どの大学が有名企業に就職できるか・・・、という同じような内容。「一覧表」など、よく見かける大学名が上位順に掲載されている。
サッカー、ラグビー、駅伝、相撲の5スポーツを取り上げて、「スポーツ=実力」との幻想を数字の上で、打ち砕く。
相撲については、中卒から大卒にシフトしていることを指摘するが、外国人力士の存在という分析はなく、本書の狙いに反する故かちょっと物足りない(まだまだ実力が物言う世界?)。
特に、興味を持ったのが、「ピーターの法則」を引用した内容。
「ピーターの法則」
1.能力主義の階層社会に於いて、人間は能力の極限まで出世する。すると有能な平(ひら)構成員も無能な中間管理職になる。
2.時が経つに連れて人間は悉く出世していく。無能な平構成員はそのまま平構成員の地位に落ち着き、有能な平構成員は無能な中間管理職の 地位に落ち着く。その結果、各階層は無能な人間で埋め尽くされる。
3.その組織の仕事は、まだ出世の余地のある、無能レベルに達していない人間によって遂行される。(「Wikipedia」による)
なるほど! 得心が行った!
今回の女子柔道界の騒動。学閥があるせいのか、派閥のせいなのか。柔道界にもはびこる「階層社会」。覚えめでたく行き着いて監督(指導者)になったために、指導するのに(暴)力でしか押さえ込めなかった。
「窮鼠猫をかむ」。「無能」な管理・経営能力の乏しい指導部・上層部はおそらく鼠ごときが何を抜かすか程度に考えていたのだろうか? あるいは、のちのちにまで影響するぞ、と脅かしたのか・・・。あるいは派閥間の暗闘があるのか(そうなると、スポーツ界も、世間によくある派閥争いとたいして変わりがない)。
こうして、スポーツの祭典・オリンピックの感動を再び! と美辞麗句を並び立てても、すでにどろどろした闇の中の世界と化した(「オリンピック」ならぬ「檻ンピック」に)。さらに、体罰や上下関係のゆがみが出てきたのでは、と思う。
この本の中でも、
「ここで興味深いのは、桑田が盛んに『野球界では、失敗したら選手を先輩やコーチ、監督が殴ったり、いじめたりすることがある』と語り、まちがった野球道を批判していることだ。」(P252)
と。
真の指導者養成。プロ野球を問わず、柔道などでも指導者「ライセンス」制の導入が求められてくる。すでにサッカーやバレー、バスケットなどでは、以前から、きちんとした「指導者養成」システムがある。学閥・派閥のしがらみを超える取り組みがスポーツ界にも必要なのではないだろうか。それでも、学閥はなくならない! とこの書では嘆いてもいるが。
「プレジデント」などの雑誌・週刊誌などで特集する、どの大学出身者に社長が多いか、どの大学が有名企業に就職できるか・・・、という同じような内容。「一覧表」など、よく見かける大学名が上位順に掲載されている。
サッカー、ラグビー、駅伝、相撲の5スポーツを取り上げて、「スポーツ=実力」との幻想を数字の上で、打ち砕く。
相撲については、中卒から大卒にシフトしていることを指摘するが、外国人力士の存在という分析はなく、本書の狙いに反する故かちょっと物足りない(まだまだ実力が物言う世界?)。
特に、興味を持ったのが、「ピーターの法則」を引用した内容。
「ピーターの法則」
1.能力主義の階層社会に於いて、人間は能力の極限まで出世する。すると有能な平(ひら)構成員も無能な中間管理職になる。
2.時が経つに連れて人間は悉く出世していく。無能な平構成員はそのまま平構成員の地位に落ち着き、有能な平構成員は無能な中間管理職の 地位に落ち着く。その結果、各階層は無能な人間で埋め尽くされる。
3.その組織の仕事は、まだ出世の余地のある、無能レベルに達していない人間によって遂行される。(「Wikipedia」による)
なるほど! 得心が行った!
今回の女子柔道界の騒動。学閥があるせいのか、派閥のせいなのか。柔道界にもはびこる「階層社会」。覚えめでたく行き着いて監督(指導者)になったために、指導するのに(暴)力でしか押さえ込めなかった。
「窮鼠猫をかむ」。「無能」な管理・経営能力の乏しい指導部・上層部はおそらく鼠ごときが何を抜かすか程度に考えていたのだろうか? あるいは、のちのちにまで影響するぞ、と脅かしたのか・・・。あるいは派閥間の暗闘があるのか(そうなると、スポーツ界も、世間によくある派閥争いとたいして変わりがない)。
こうして、スポーツの祭典・オリンピックの感動を再び! と美辞麗句を並び立てても、すでにどろどろした闇の中の世界と化した(「オリンピック」ならぬ「檻ンピック」に)。さらに、体罰や上下関係のゆがみが出てきたのでは、と思う。
この本の中でも、
「ここで興味深いのは、桑田が盛んに『野球界では、失敗したら選手を先輩やコーチ、監督が殴ったり、いじめたりすることがある』と語り、まちがった野球道を批判していることだ。」(P252)
と。
真の指導者養成。プロ野球を問わず、柔道などでも指導者「ライセンス」制の導入が求められてくる。すでにサッカーやバレー、バスケットなどでは、以前から、きちんとした「指導者養成」システムがある。学閥・派閥のしがらみを超える取り組みがスポーツ界にも必要なのではないだろうか。それでも、学閥はなくならない! とこの書では嘆いてもいるが。