このシリーズ。「愛」「戒」「霊」「死」「徳」「狂」「悪」「性」「声」の全9巻より成り立っています。 編著者の3名(島薗進、黒住真、鎌田東二)は、宗教学者、スピリチュアル、歴史などに造詣の深い方々。島薗さんは「宗教学、近代日本宗教史、死生学など勉強してます。最近は仏教にも関心あり」と自らツイッターに。鎌田さんは、実践的な宗教体験を通して霊的世界を体感している、とか。
かくして、登場する方々は、いずれも書斎のこもって云々という方々ではないのが、魅力的(ある意味、うさんくささも含めて)です。
個人的には興味深い話題が取り上げられています。この巻では、島田裕巳「仏教における霊の問題」、田中貴子「泉鏡花『草迷宮』と『稲生物怪録』」、川村邦光「戦死者の亡霊と帝国主義」巻末対談では、中沢新一が登場。
島田さん。生者の悟り(解脱)の問題意識から出発したインド仏教が、日本では死んでから「ホトケ」に成る、という仏教に生まれ変わった(変質していった)のか、先祖の「霊」への現代的な関わり、特に新宗教の立場、葬儀形態の変化などへの問題提起。
川村さん。靖国に「神」「英霊」として祀られる戦死者。靖国神社での儀式を深い感動を持って受け止め、さらには戦場に赴く若き兵士たちに対して、英霊となってくることを歌にも詠み鼓舞していた民俗学者、歌人・折口信夫が、硫黄島での養子の戦死の報をうけて、大きく変化していく、その心の変容・・・。
中沢さんと鎌田さんの対談では、岡本太郎の「太陽の塔」と「明日の神話」という作品を取り上げつつ、生者、死者とが混沌として受容されていた縄文的世界観の現代的意義などが熱く語られていきます。
学術書(?)として異色のシリーズ。時にはあれこれ批判されがちな(一癖も二癖もある)方々の登場。その組み合わせが、実におもしろいものでもありました。
かくして、登場する方々は、いずれも書斎のこもって云々という方々ではないのが、魅力的(ある意味、うさんくささも含めて)です。
個人的には興味深い話題が取り上げられています。この巻では、島田裕巳「仏教における霊の問題」、田中貴子「泉鏡花『草迷宮』と『稲生物怪録』」、川村邦光「戦死者の亡霊と帝国主義」巻末対談では、中沢新一が登場。
島田さん。生者の悟り(解脱)の問題意識から出発したインド仏教が、日本では死んでから「ホトケ」に成る、という仏教に生まれ変わった(変質していった)のか、先祖の「霊」への現代的な関わり、特に新宗教の立場、葬儀形態の変化などへの問題提起。
川村さん。靖国に「神」「英霊」として祀られる戦死者。靖国神社での儀式を深い感動を持って受け止め、さらには戦場に赴く若き兵士たちに対して、英霊となってくることを歌にも詠み鼓舞していた民俗学者、歌人・折口信夫が、硫黄島での養子の戦死の報をうけて、大きく変化していく、その心の変容・・・。
中沢さんと鎌田さんの対談では、岡本太郎の「太陽の塔」と「明日の神話」という作品を取り上げつつ、生者、死者とが混沌として受容されていた縄文的世界観の現代的意義などが熱く語られていきます。
学術書(?)として異色のシリーズ。時にはあれこれ批判されがちな(一癖も二癖もある)方々の登場。その組み合わせが、実におもしろいものでもありました。