「花菖蒲の系統」。
花菖蒲には園芸上3つの系統があります。植物学的には同一種で、発祥地によって区分されています。
○江戸系
堀切で収集改良された品種の総称。江戸時代より引き継がれた多様な品種をすべて含み、色は豊富で濃淡や模様の入り方も多岐に亘る。集団で植え、花菖蒲園で鑑賞される。
○肥後系
江戸時代後期に松平菖翁から藩主に渡った品種をもとに改良された。草丈は江戸系よりも低く、花は大きく豪華であることから、鉢植えで座敷に座って鑑賞される。
○伊勢系
起源は不明。菖翁とほぼ同じ時期に松阪の吉井定五郎という武士が改良したものといわれる。色彩、弁の垂れ方等が優美であることが特徴。
このほか、山形県の長井地方で保存されている長井古種や外国種があります。
「堀切菖蒲園」では、やはり「江戸系」(小町娘・寛政・剣の舞い等)が多いようですが、「伊勢系」(初霞等)、「肥後系」(紅椿等)も植えられています。
句碑などもいくつか。
松野自得 天日に 菖蒲の花の 白まぶし
中村汀女 花菖蒲 かがやく雨の 走るなり
渡辺千秋 歌碑。