BRUTUSの『クラシック音楽をはじめよう。(増補改訂版)』(マガジンハウス)が面白そうだったので、購入しました。「バッハって、何がそんなにスゴいの?」など素朴な疑問への回答や、若くてイケテル演奏家の紹介、クラシック通の推薦曲など盛りだくさんの内容です。クラシック畑出身のピアニストを。
NAOKO TANAKA (田中菜緒子)
I FALL IN LOVE TOO EASILY (King 2017年録音)
東京はじめ首都圏へはコロナの関係で出かけることができず、ライブハウスにも行けないので、かつてライブで聴いたミュージシャンのアルバムをたまに聴いています。演奏の光景を思い浮かべながら聴けるのが嬉しいところです。今回は、田中菜緒子さんのピアノです。
メンバーは、田中菜緒子(p)、安ヶ川大樹(b)、大阪昌彦(ds)。田中さんは、1985年福岡県久留米市生まれ、桐朋学園大学ピアノ科を卒業。2009年から都内中心にライブ活動を開始、自身のグループのほか、岡崎好郎、吉岡啓之、近藤和彦らと共演。ポップスのアーティストのサポートなども含め幅広く活躍中。
曲は次のとおり。
1 How High The Moon (Morgan Lewis)
2 Doxy(Sonny Rollins)
3 Someone To Watch Over Me(George Gershwin)
4 I’ll Close My Eyes(Billy Reid)
5 I Fall In Love Too Easily(Jule Styne)
6 Lotus Blossom(Kenny Dorham)
7 In A Mellow Tone(Duke Ellington)
8 Con Alma(Dizzy Gillespie)
9 Chega De Saudade(No More Blues)(Antonio Carlos Jobim)
10 Old Folks(Willard Robinson)
スタンダード曲と有名ジャズオリジナル曲で、たいへん親しみやすい選曲です。
田中菜緒子さんのピアノの音色は美しく、ビートに乗って端正な演奏を繰り広げています。アウトする音を使うことなどはやっていないので、曲の良さを心地よく味わえます。リズムアレンジが面白い「Someone To Watch Over Me」や、やや早いテンポで心躍る「I'll Close My Eyes」や「No More Blues」、こぼれ落ちるような美音も聴けるバラードの「I Fall In Love Too Easily」などなど楽しめます。録音は、DSDで修正のきかない一発録音です。できれば、最新の優れたCDプレイヤーで聴きたいCD。
【田中菜緒子ホームページ】
Tanaka Naoko Official Website 田中菜緒子
更新がよくされていて、ライブ活動を活発に行っている様子もわかる丁寧なホームページです。
【BRUTUS特別編集 クラシック音楽をはじめよう。】
表紙。グレン・グールド(p)の写真を使っています。
指揮について、山田和樹さんと沖澤のどかさんが語り合っています。
ドビュッシーについて、作曲家の網守将平さんが書いています。その中で、管弦楽のための3つの交響的素描「海」について、『生で聴くと、空間の中に音楽が立体的に浮かび上がってくるのがよくわかる』と記していて、なるほどと思いました。コンサートに出かけたくなる記述です。
若くてイケテル演奏家の紹介があります。指揮者の原田慶太楼さんやパーカッションの石若駿さんなど。石若さんは、ジャズ畑では有名なドラマーです。
映画で使われた曲の紹介。マーラーの「アダージェット」や、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲など。
モデルの市川紗椰さんの3曲は、ヒナスエラの「弦楽四重奏曲第1番」、フローレンス・プライス「ピアノ・ソナタホ短調」、プーランク「2台のピアノのための協奏曲ニ短調」です。ヒナスエラあたり聴いてみようと思います。
アンドラーシュ・シフ(p)と川上未映子(作家)さんとの対談も収録されています。