久しぶりに映画を観に行きました。マーク・ウェブ監督の作った「The Only Living Boy In New York」(邦題は、「さよなら、僕のマンハッタン」)という映画です。ストーリーは、青春ドラマという範疇に入るようですが、映画に出てくるニューヨークの光景と背景で流れる音楽に期待しながら出かけました。
粗筋ですが、大学卒業を機に親元を離れたトーマス(主人公)は、ある日現れた人生のアドバイスをしてくれる父と同世代の隣人や父の愛人との出会いによって、自分自身と家族の秘められた物語に直面することになります。そして、退屈な日々を過ごしていた彼を大人へと成長させていくというもの。最後にストーリーの種明かしが待っています。
ニューヨークの街でロケが行われていて、映像が美しいのに心を奪われました。ナイトクラブの「The Box」、「グランド・セントラル・オイスター・バー&レストラン」、古書店の「The Pale Fire」、友人が結婚式を挙げた「ブルックリン美術館」、そして「Central Park(セントラル・パーク)」と、建物や公園が物語にフィットするように選択され撮影されていました。
ノスタルジーを強烈に感じさせる、サイモンとガーファンクルの「The Only Living Boy in New York」(ニューヨークの少年)や「Blues Run the Game」、ボブ・ディランの「Visions of Johanna」といった1960年代、70年代に作られた曲が流れます。ジャズも使われていて、デイブ・ブルーベックの「La Paloma Azul」やビル・エヴァンスの「Peace Piece」、ハービー・ハンコックの「Maiden Voyage」が聴こえてきて、ニューヨークの街のイメージをより感じさせました。
俳優では、主人公を演じたカラム・ターナーのナイーブさとそこからの脱皮ぶりがよく、ジョハンナを演じたケイト・ベッキンセイルの知的な美女ぶりもよかった。最近では、あまり作られない種類の映画かもしれませんが、ストーリー、映像、音楽どれもなかなかよいものでした。
カラム・ターナーとケイト・ベッキンセイル
主人公とある日現れた主人公の父と同世代の隣人。隣人を演じるのは、「クレイジー・ハート」でアカデミー賞主演男優賞を受賞したジェフ・ブリッジス。