安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

映画「さよなら 僕のマンハッタン」を観ました (長野市 相生座)

2018-06-25 20:02:46 | 映画・DVD・テレビ

久しぶりに映画を観に行きました。マーク・ウェブ監督の作った「The Only Living Boy In New York」(邦題は、「さよなら、僕のマンハッタン」)という映画です。ストーリーは、青春ドラマという範疇に入るようですが、映画に出てくるニューヨークの光景と背景で流れる音楽に期待しながら出かけました。

   

粗筋ですが、大学卒業を機に親元を離れたトーマス(主人公)は、ある日現れた人生のアドバイスをしてくれる父と同世代の隣人や父の愛人との出会いによって、自分自身と家族の秘められた物語に直面することになります。そして、退屈な日々を過ごしていた彼を大人へと成長させていくというもの。最後にストーリーの種明かしが待っています。

ニューヨークの街でロケが行われていて、映像が美しいのに心を奪われました。ナイトクラブの「The Box」、「グランド・セントラル・オイスター・バー&レストラン」、古書店の「The Pale Fire」、友人が結婚式を挙げた「ブルックリン美術館」、そして「Central Park(セントラル・パーク)」と、建物や公園が物語にフィットするように選択され撮影されていました。

ノスタルジーを強烈に感じさせる、サイモンとガーファンクルの「The Only Living Boy in New York」(ニューヨークの少年)や「Blues Run the Game」、ボブ・ディランの「Visions of Johanna」といった1960年代、70年代に作られた曲が流れます。ジャズも使われていて、デイブ・ブルーベックの「La Paloma Azul」やビル・エヴァンスの「Peace Piece」、ハービー・ハンコックの「Maiden Voyage」が聴こえてきて、ニューヨークの街のイメージをより感じさせました。

俳優では、主人公を演じたカラム・ターナーのナイーブさとそこからの脱皮ぶりがよく、ジョハンナを演じたケイト・ベッキンセイルの知的な美女ぶりもよかった。最近では、あまり作られない種類の映画かもしれませんが、ストーリー、映像、音楽どれもなかなかよいものでした。

カラム・ターナーとケイト・ベッキンセイル

   

主人公とある日現れた主人公の父と同世代の隣人。隣人を演じるのは、「クレイジー・ハート」でアカデミー賞主演男優賞を受賞したジェフ・ブリッジス。


マーティー・ぺイチ I GET A BOOT OUT OF YOU

2018-06-24 19:06:21 | ピアノ

少し前になりますが、6月16日(土)に安曇野市明科(あかしな)の「あやめまつり」に出かけました。今年は想定外に花の咲くのが早く花が終わってしまったものが多いようでしたが、それでも色とりどりの鮮やかなものがあって目を楽しませてくれました。また、売店の営業やお茶の野点、楽器の演奏なども行われて、お祭りらしい園内でした。色彩感豊かな演奏を。

MARTY PAICH (マーティー・ぺイチ)
I GET A BOOT OUT OF YOU (WARNER BROS. 1959年録音)

   

マーティー・ぺイチ(1925~95年、編曲、p)は、ピアニストとしても活動しましたが、アレンジャー(編曲)としてよく知られているミュージシャンです。これは、ぺイチが編曲と指揮に専念し、西海岸の一流どころを集めて録音したものです。訳すと「君にはぞくぞくする、君にはスリルを感じる」といった意味のタイトルとともに、ジャケットも通称「お風呂」として知られているアルバムです。

大型コンボ編成による演奏です。メンバーは、コンテ・カンドリ、アル・ポシーノ、ジャック・シェルドン(以上tp)、ボブ・エネヴォルゼン、ジョージ・ロバーツ(以上tb)、アート・ペッパー(as)、ビル・パーキンス(ts)、ビル・フッド(bs)、ヴィンス・デローザ(fh)、ラス・フリーマン(p)、ジョー・モンドラゴン(b)、メル・ルイスds)、ヴィクター・フェルドマン(vib)。編曲と指揮がマーティー・ぺイチです。

曲は、「Moanin'」(モーニン)、「It Don't Mean A Thing」、「No More」、「Love For Sale」、「Violets For Your Furs」(コートにすみれを)、「What Am I Here For~Cottontale」、「Warm Valley」、「Things Ain't What They Used To Be」(昔はよかったね)の8トラック、9曲。ジャズオリジナルの有名曲が主で、デューク・エリントンのものが4曲入っているのが目に留まります。

マーティー・ぺイチの編曲によるブラス主体の軽快でよくスイングするアンサンブルと、アート・ペッパー(as)らのソロが楽しめます。まず「モーニン」がスマートに演奏され、ジャズ・メッセンジャーズとは異なる西海岸らしい雰囲気が最初から醸し出されます。ペッパーは、アップテンポの「Love For Sale」で舞い上がるようなソロをとり、バラードの「Violets for Your furs」では情緒纏綿たるソロを吹いていて、彼のファンにも欠かせない作品。「No More」におけるジャック・シェルドン(tp)のブルーな演奏を聴くと、彼はもっと評価されていいと感じます。

 【2018年安曇野明科あやめ祭り】

全体にちょっと花が少ないようです。今年は、とにかく花が咲くのが早かったようです。

このへんは開花中の花が集まっていました。

食べ物の販売なども行われていました。

お茶がふるまわれていました。


井阪紘・西村朗著「音楽の生まれるとき」(春秋社)

2018-06-23 19:40:08 | 読書

著者の井阪紘さんが経営する「カメラータ東京」は、クラシックやジャズのCDを出していて、僕もいくつか同レーベルのCDを持っています。作曲家の西村さんとその井阪さんとの対談は、レコード・プロデュースという仕事を垣間見ることもでき、興味深々で読み進みました。 

   

NHKテレビのN響アワーに出演していたクラシックの作曲家西村朗さんとカメラータ・トウキョウの社長でプロデューサーの井阪紘さんの対談が収録されています。基本的には、西村さんが井阪さんに質問をする形をとっています。大まかな目次は次のとおりです。

1 魂のセッション 聖地リンツで鳴り響いたブルックナー
2 楽都ウィーン 名手たちとの仕事
  ジャズ ―――――――― Interlude (幕間)
3 音楽祭をつくる 草津でかかげた理想の音楽
4 現代の音楽 音として生き続ける

1では、ブルックナーの交響曲の録音現場において、指揮者のクルト・アイヒホルンとプロデューサーの井阪さんのディスカッションの様子が記されていますが、井阪さんが「指揮者の後ろの指揮者」として、よりよい録音を残すためにあらゆる努力を傾注したことが実際にわかります。テンポの扱いや、強弱の扱いなど楽譜の細部にこだわって、録音を完成させていく過程はスリリングでもあります。

レコーディング・セッションでディスカッションするクルト・アイヒホルンと井阪さん。

2では、ウィーンフィルの演奏家の録音を井阪さんがするようになった経緯に興味を惹かれました。前の会社(日本ビクター)にいた時から、特に同年代の人と人間関係をきづいて、それをずっと維持してきているのがすごいところだと感嘆しました。

カール・ライスター(cl)と井阪さん。

ジャズのことについて語ったインタールード(幕間)は、ことに興味を惹く内容でした。井阪さんは、秋吉敏子のアルバムをはじめプロデュースした作品も多いですが、ジャズファンでもあり、フランク・シナトラの唄やジョン・ルイスのピアノが気に入っているようです。

穐吉敏子=ルー・タバキン・ビッグ・バンドによる『孤軍』

西村さんが、『単純なコードに、絶妙なテンションがかかっている。これはすごいセンスだと思うんです。やはり一流のものはすごい。作曲家はこういう音楽はできません。インプロヴィゼーション、ジャズの世界だからできる。』とか、『セッコ(乾いた)タッチの中でどんどん世界を変えていけるというのもクラシックにはないものですね。それはやはりリズムの力なんでしょう。』と語っています。

このあたりの記述は、ジャズファンの一人として嬉しくなりました。また、草津音楽祭のことや現代日本の作曲家の作品などについて語った現代の音楽の章は、特にクラシック音楽に関心のある方には興味を惹かれるところでしょう。最初から最後までエキサイティングな話が多く、一気に読み通しました。


こすげ (蕎麦・居酒屋 長野市北石堂町)

2018-06-22 20:25:31 | グルメ

善光寺近くに、小菅亭という老舗の蕎麦屋さんがありますが、その系列(一族)が長野駅に近い北石堂町に出したお店「こすげ」へランチに行ってきました。現在の職場から近くて、出かけるのに便利です。お酒やおつまみも豊富なので、居酒屋としても使えるお店です。

頼んだのは、鴨せいろです。あとから入ってきたお客様も鴨せいろを頼む人が多く、どうやらこちらの看板商品のようです。長野駅からも近いので、観光にお見えのかたにも使いやすいと思います。

歩道に出されている看板。小路を入ります。

お店は細長い路地に面しています。ずっと先に見えるのが、長野東急デパートです。

入口

店内。早目に行ったので一番乗りです。この後、予約の方を含めて、お客様が入ってきました。

カウンターの上には、スポーツ関係を中心とした著名人の色紙が飾ってあります。スピードスケートの小平奈緒選手のものがありました。

鴨せいろ

蕎麦

鴨汁。鴨の肉が厚くて大きく、それだけ食べても美味しい。

蕎麦湯は、さらさらのものです。

【蕎麦旬菜 こすげ】

住所:長野県長野市北石堂町1390-1
電話:026-219-2376
ホームページ:sobakosuge


シーネ・エイ DREAMS

2018-06-21 20:00:05 | ヴォーカル(S~Z他)

JR東日本の新幹線車内PR誌「トランヴェール6月号」の特集は「開国は北から」というものです。ロシアからの侵攻にどう対応したかという歴史に関する記事と、それに関連する函館や弘前の写真などが掲載されていて、読み応えのある面白い内容でした。函館には一泊したことがありますが、弘前には行ったことがないので、一度出かけようかと考え始めました。ロシアではありませんが、北の国「デンマーク」の歌手のアルバムです。

SINNE EEG (シーネ・エイ)
DREAMS (stunt 2017年録音)

   

先日、神田のジャズクラブ「Lydian」で彼女のライブを聴きました。昔、マシュマロレコード(ジャズ喫茶マシュマロのマスター)の上不さんから、彼女の来日時の話をうかがい、その時から興味をもち聴き続けている歌手です。CDはだいたい持っていますが、中には入手困難になっているのもあって、全てを集めているわけではありません。これは現在販売されている最新作です。

メンバーは、シーネ・エイ(vo)、ヤコブ・クリストファーセン(p)、スコット・コリー(b)、ジョーイ・バロン(ds)、ラリー・クーンズ(g)。クリストファーセンは、デンマークのピアニストですが、あとの3人はアメリカのベテランミュージシャンです。特に、西海岸で活躍し、リーダー作も多いラリー・クーンズが参加しているのが注目されます。

曲は、シーネ・エイのオリジナルとスタンダードです。エイのオリジナルが、「The Bitter End」、「Head Over High Heels」、「Love Song」、「Dreams」、「Aleppo」、「Time To Go」と6曲。スタンダードが、「What is This Thing Called Love」、「Falling In Love With Love」、「I'll Remember April」、「Anything Goes」、「On A Clear Day」(この曲のみ日本盤ボーナス・トラック)の5曲で、全11曲。オリジナルも愁いを帯びた佳曲が含まれていて、才能豊かなのに驚かされます。

シーネ・エイの選曲や歌唱、それに加え伴奏がよく、バランスのとれた繰り返し聴いても飽きないアルバムです。オリジナル曲では、「Aleppo」が美しいバラードで、シーネの声もクール気味に響いて美しく、「Time to Go」も緩急はありますが、静かめの曲で、ギターの伴奏もよかった。スタンダードでは、ギターとベースの伴奏で歌われる「Falling In Love With Love」がスキャットも交えたテンポの良い歌唱が心地よく、印象に残ります。先日のライブは、ピアノだけの伴奏で、シーネはスキャットを多用していましたが、リズムとギターの加わったこのアルバムにおける編成の方が聴きやすいと感じました。 

【トランヴェール2018年6月号】

   

トランヴェール(Train Vert)2018年6月号表紙

   

宝暦年間(1751~1764年)の松前城下を描いた「松前屏風」(函館市中央図書館所蔵)。松前城ができる前の福山(松前)館や、港や町の賑わいが描かれている。

   

函館の護国神社の坂道に函館山を背に立つ高田屋嘉兵衛の銅像。

   

上の写真が左、下の写真が右で、冊子では見開きとなっています。夜景スポットとして有名な函館市八幡坂。昼間行っても港へ向かった素晴らしい景色を見ることができます。

   

   

弘前藩の兵士が蝦夷地や津軽で働いていました。上半分の写真は、津軽半島の外ヶ浜町にある平舘台場跡。今は陸奥湾を望む名所だそうです。下半分の写真は、当時の新鋭艦「開陽丸」で江差町で展示されているものです。船は平成2年に復元されました。

蝦夷地警護の弘前藩士が飲んだという「藩士の珈琲」の紹介の記事。擂鉢で細かくくだいたコーヒー豆を麻袋に入れ、湯を注いだ土瓶に浸すという淹れ方をするそうです。弘前市内で「成田専蔵珈琲店」など8店舗で飲めるそうです。いつか飲んでみたい。