Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

自伝的書評

2018年09月02日 08時55分02秒 | Weblog
読書の極意と掟(筒井康隆)
 「戦時中にひとり疎開した幼少期、演劇部で活躍した中高時代、不本意な営業に配属された新入社員時代、いつも傍らには本があった。いずれ小説を書くとは夢にも思わず、役者になりたかった青年を大作家にしたのは“読書”だった。小説界の巨人が惜しげもなく開陳した自伝的読書遍歴。『漂流 本から本へ』を改題。」

 これは書評というよりは自伝に近い。
 私が特に興味深いと思ったのは、筒井氏の役者としての遍歴である。
 学生時代、大阪の「青猫座」という劇団に属していて、日活のニューフェースの二次試験のために上京したが、「ずらり居並ぶ選考委員の前に進み出ただけで、なんの質問もなく、むろん演技を見てもらえるということもなく、そのまま退場させられ、落とされてしまった。ひどいものである。」(p117)、「主宰の辻正雄が名優でもある辻美智という奥さんがいながら、新たに入団してきた女性になりふり構わず夢中になったため、いやけがさしてぼくは退団した。その直後、美智さんは自殺した」(p120)などというくだりは圧巻である。
コメント
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