安定を取り戻すロシア、期待できないイギリス
「しかし最近では、ある程度精神的に安定した状態まで戻りました。たしかに石油価格の崩壊など、目先の経済には問題がありますが、ロシアが取り戻した精神の安定は、お金や経済成長よりもはるかに重要です。
これは一種の、「集合的社会平和」と言っていいでしょう。要するに「自分たちが属しているのは、まともな国だ」という感覚です。」
「ソ連邦の崩壊」を逸早く予言したエマニュエル・トッド氏は、近年はむしろ「ロシアの復活」を強調している。
例えば、プーチン体制による「集合的社会平和」を称賛したり、乳児死亡率の低下・総人口の増加傾向を肯定的に評価したりしている。
だが、この「集合的社会平和」は本物だろうか?
ロシアに関する統計データを見ると、確かに、ソ連時代とは違って乳児死亡率は低下を続けているが、注目すべきは人口増加率の動きである。
80年代半ばから下降を続け、2000年代前半にボトムに達した後で上昇基調にあったのが、この5年ほどで再度下降に転じ、マイナス成長となっている。
この理由は不明であるが、(石油等に関連する)経済的な不安定があるのではないかと思われ、それが将来に対する不安につながっている可能性が考えられる(ロシア、よぎるソ連崩壊の悪夢…原油埋蔵量「枯渇」シナリオが現実味、寿命20年説も)。
そうすると、トッド氏の言う「集合的社会平和」は、あだ花だったということにもなりそうである。
むしろ、最近のロシアの動きの背景には、集合的社会不安があるという見方も出てくるかもしれない。
「しかし最近では、ある程度精神的に安定した状態まで戻りました。たしかに石油価格の崩壊など、目先の経済には問題がありますが、ロシアが取り戻した精神の安定は、お金や経済成長よりもはるかに重要です。
これは一種の、「集合的社会平和」と言っていいでしょう。要するに「自分たちが属しているのは、まともな国だ」という感覚です。」
「ソ連邦の崩壊」を逸早く予言したエマニュエル・トッド氏は、近年はむしろ「ロシアの復活」を強調している。
例えば、プーチン体制による「集合的社会平和」を称賛したり、乳児死亡率の低下・総人口の増加傾向を肯定的に評価したりしている。
だが、この「集合的社会平和」は本物だろうか?
ロシアに関する統計データを見ると、確かに、ソ連時代とは違って乳児死亡率は低下を続けているが、注目すべきは人口増加率の動きである。
80年代半ばから下降を続け、2000年代前半にボトムに達した後で上昇基調にあったのが、この5年ほどで再度下降に転じ、マイナス成長となっている。
この理由は不明であるが、(石油等に関連する)経済的な不安定があるのではないかと思われ、それが将来に対する不安につながっている可能性が考えられる(ロシア、よぎるソ連崩壊の悪夢…原油埋蔵量「枯渇」シナリオが現実味、寿命20年説も)。
そうすると、トッド氏の言う「集合的社会平和」は、あだ花だったということにもなりそうである。
むしろ、最近のロシアの動きの背景には、集合的社会不安があるという見方も出てくるかもしれない。