Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

トイレに耳あり

2023年07月10日 06時30分00秒 | Weblog
ダンスマガジン2023年8月号(三浦雅士さんによる菅井円加さんへのインタビュー)p44~50
三浦「知人からの情報ですが、一幕が終わった後の女子トイレで、「部活のころを思い出して、胸が詰まったわ」といった会話が聞かれたとのこと。ニンフたちのなかのシルヴィアの役柄をとてもよく理解した、とても鋭い指摘だと感心しました。教師や部長に可愛がられる子は絶対妬まれる。そういう子の特徴がよく出ていた。
・・・
菅井「私はコンクールが嫌いだったんですよ、海外のコンクールはさらに大規模だというイメージもあって
三浦「知り合いが大勢いたとおっしゃったけれど、コンクールに出れば出るほど嫌いになった?
菅井「会場の雰囲気から何もかも。私はバレエを楽しんで踊りたかったから。コンクールで友だちができることは嬉しいんですけれど、激しく競い合わないといけない。それがすごく嫌いで、「なぜ順位をつけるんだろう?」「なぜこんな辛い思いをして踊らなきゃいけないんだろう?」と思っていました

 「シルヴィア」1幕では、ディアナ(部長)のもと集団(部活)で狩り(部活動)に励む少女たちの情景が出て来る。
 シルヴィアはディアナの寵愛を受ける優等生であり、”男子禁制”の集団なので、アミンタと交流することも許されない(主体と客体の間)。
  この状況が、東京文化会館の女子トイレ室では「部活」と形容されていた。
 この会話を、三浦さんの知人である女性が聞いていて、三浦さんに伝えたのである。
 まさに「トイレに耳あり」である。
 三浦さんと言えば、バブル時代は蓮實重彦柄谷行人などといった論客たちとよく絡んでいた記憶がある。
 今では三人とも別々の方向に進んでしまったが、この3人の中で最も「身体性」に関心が強いのは三浦さんだろう。
 そして、彼は東京文化会館をホームグラウンドとして、今やその隅々まで支配しているかのようだ。
 それにしても、ローザンヌ国際バレエコンクールで1位に入賞した菅井さんが、「コンクールが嫌いだった」というのは意外だった。
 だが、彼女の常にリラックスした、(有吉京子先生いわく)「自分自身に対する信頼」に満ちた立ち居振る舞いは、「コンクール三昧」の過去を克服した結果生まれたものかもしれない。
 
 

コメント
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