ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲 J.306
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 [ピアノ:藤田真央]
ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 Op.92
<アンコール曲>
プーランク:15の即興曲より第15番「エディット・ピアフを讃えて」FP176
ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」序曲 op.43
12月の藤田さんのソロ・コンサートのチケットを買い損ねた反省もこめて、今回は藤田さんのコンチェルトを含むコンサートを聴きに行く。
開始早々、他のピアニストと決定的に違う弾き方であることに気付く。
”決して急がない”のである。
どういうことかというと、えてしてありがちな、”疾走感・躍動感あふれる”奏法とは真逆の、”一つ一つの音にとどまり、それぞれの時間を味わう”奏法に思えたのである。
なので、ピアノの音が響くたびに、時間がいったん止まるように感じる。
そういえば、「情熱大陸」でも藤田さんのモーツァルトを師匠(名前は失念)が絶賛していたが、こういうことだったのかとようやく合点がいく。
ジャンルは違うけれど、マチュー・ガニオの「一瞬一瞬を味わう」という言葉を思い出す。
なんだか、4年前とはまるで印象が変わったのだが、アンコール曲もやはり時間が止まったように思える名演奏だった。
さて、メインのベートーヴェン交響曲7番は演奏頻度の高い曲。
このオーケストラはさすがに弾きなれているようで、団員さんが楽しそうにダンスしながら演奏しているのが観ていて分かる。
構成も比較的明快で、私見で言えば、
・1楽章・・・山頂から滑空する。
・2楽章・・・谷底から少しずつ上昇する。
・3楽章・・・再び山頂に戻ってダンス。
・4楽章・・・繰り返されるマーチの後、天界に向かって飛翔。
という感じである。
この、「楽章が変わると居る場所が極端に変わる」というのは、「ハンマー・クラヴィーア」でもそうだが(カタバシスからアナバシスへ、あるいは「貴方なら弾けますよ」)、ベートーヴェンが得意な作曲法のようだ。