Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

死者とのコンタクト

2025年02月23日 06時30分00秒 | Weblog
 能  生田敦盛 (いくたあつもり) 替之型(かえのかた) 山階彌右衛門(観世流) 

 「敦盛」ではなく、「生田敦盛」の方で、あらすじは比較的単純である。

 「黒谷の法然上人が賀茂のへ参詣のした帰途のこと、下り松の下で美しい男の捨子を見つけて拾って帰った。十余歳に成長したころ、説法の後にこのことを聴衆の前で話すと、若い女が走り出て、自分がその子の母であり、その子の父は平敦盛であると名乗った。
 その子は、賀茂明神へ参詣して父との対面を祈ると、生田の森へ行けとの霊夢を蒙った。生田き、日が暮れたので、ある庵に宿を借りようとすると、甲冑姿の敦盛の霊が現れる。敦盛は、一の谷での物語をして、親子の対面を喜び、舞を舞う。そこへ閻魔王からの迎い、修羅の敵も現れる。敦盛は修羅道の苦患を受けるが、やがて暁になり、霊の回向を頼み、消え失せるのであった。

 16歳又は17歳で戦死した平敦盛に子どもがあったという伝説があるらしく、それに基づいて、「小敦盛」が幽霊である父敦盛に出会うという筋立てである。
 再会を果たした直後、父子は相対し、子が右手で父の左腕を掴むというやり方でコンタクトを行う。
 だが、別れ際になると、子が父を後ろから追いかけて、父の左袖を手で掴むというやり方でコンタクトするのである。
 これを見て私は、死せる夫が生きた妻にコンタクトする、「No Mans Land」のラスト・シーン(夏のダンス・ウィーク(4))を思い出した。
 こういうシンプルな動作こそが、人間の心を深く打つのだろう。

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