Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

秘島めぐり(その3)

2006年03月16日 08時01分39秒 | Weblog
 ピピ島(Koh Phi Phi)の悲劇。一昨年末の津波で甚大な被害を受けたピピ島は、未だ復興途上のようである。
 ピピ島とバーディーとの関係は、7~8年前のプーケット・ツアーにまで遡る。やけに安いというので、何も知らずに10月初旬のパッケージ・ツアーに参加したが、プーケットに着いてみると、モンスーンのためビーチは遊泳禁止(台風のような高波)、毎日小雨の降るいやーな天気が続く。そう、この時期は、プーケット観光のオフシーズンなのである。道理でツアー料金も安いはず。
 しかたなく、モンスーンの影響を受けにくいピピ島への日帰り旅行に参加した。すると、イルカの群れとの遭遇・ボートで追いかけっこ、シュノーケリングでは無数の魚と戯れ竜宮城に来た気分、…要するに、「地上の天国」を見たような思いがしたのである。それ以来、私にとって、「ピピ島」は楽園の代名詞のようになり、その翌年には、念願かなってピピ島に1週間近く滞在することができた。
 …ところが、今度は、ピピ島の負の側面ばかりが見えてきたのである。
 「タイの秘島・楽園の旅」や「バイクで回るタイ」の著者である飯田泰生さんも指摘するとおり、
①乱開発のためか、サンゴの白化(死ぬこと)が著しい。サンゴは手を触れただけ
 でも死ぬことがある(自然の脆弱性の象徴でもある)。
②魚影は濃いものの、人間に寄って来るところをみると、餌で飼いならされたよう
 である。「野生の喪失」
③ビーチ・チェアーで寝転んでいると、監視人がやってきて20バーツ(約60 
 円)を請求する。「商業主義の芽生え」
などに気がつき、その度に落胆する。これらはみな、楽園の喪失を示すものであろう。
 特に、「ザ・ビーチ」(レオナルド・ディカプリオ主演)でピピ・レイ島(地図の左下。飲み水がないため無人島となっている)がロケに使われてからというものは、観光客が飛躍的に増え、環境破壊はさらに進んでいる。
 人間が踏み入れてはならない領域というものがあるものだ。ジョン・ミューアもいうとおり、人間から隔離された「手付かずのままの自然」を確保することが、環境保護の中核なのだ。これがいわゆる"preservationism"の思想である。多くの被害者の方がいらっしゃる中で、不謹慎な言い方かもしれないが、一昨年の津波も、人間に対する神の怒りのような気がしないでもない。
 クランク・アウトのあとピピ島を再訪したディカプリオ一行に対して、住民であるイスラム教徒たちは、島の平和を乱したことを理由に抗議活動を行ったそうである。

 「楽園をかえせ!」
                                            (つづく)

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