Pure Response 2


カムシャフトに求められるスペックはリフト量と作用角。 言い換えると、吸気/排気を行う時間をカムシャフトがコントロールしているので、その時間を調整する役割をカムシャフトが持っています。
可能な限り一度に多くを吸い、そして吐くことで、出力を高めることが出来る部品ではありますが、作用角が大きすぎるとアイドリング時に不整脈にも似たラフさが目立ってくるため、そのあたりのバランスはカムシャフト選びにおいて重視されるべき項目です。
参考までに今回使用したカムシャフトのスペックはEX/IN共に 256° 10.2mm オーソドックスなサイズです。


VQエンジンの大変なところは、液体ガスケットを多く使用しているためリムーブに大変手間がかかる事ではありますが、VTC廻りのメカニカルはとても美しいエンジンで、ある意味 VQエンジンのもっとも美しいカットかもしれません。
また、幸いな事にDAYTONAへ入庫してくださるクルマたちは、どの車を見てもメンテナンスが行き届いているクルマばかりですので、エンジンを分解する工程において懸念されるスラッジの付着はほぼ皆無です。


DAYTONAで取扱い開始以来ずっと好評いただいているのがATIスーパーダンパー・クランクプーリーです。
本来はパワー有り余るチューンドエンジンへの内部保護の観点より、クランクシャフトのハイバランス化、メタル・オイルポンプを振動から守るためにダンパーが開発されたといいますが、〜600馬力のエンジンにおいても十分な効果を発揮することができます。
それは高回転になるほどマイルドなエンジンに変化していることに気が付き、逆を言うならば これまでは何にも気にならなかったノーマルエンジンがノイズだらけであったことにも気が付きます。


勿論、完成後はECMのリセッティングが必須。
UpRev Osirisを搭載することにより、リアルタイムなエンジンデーターの確認と書き換えを行い、エンジン制御を確かなモノへとチューニングを行います。 一般的にはカムシャフトの交換により点火タイミングを進めることが容易になりますので、実パワーの向上に直結します。
空燃比に関しては全域でトルクが載るように、あえて濃い目にセットしてみましたがフィールという面においては面白みに欠けるしようとなってしまいましたので、5500rpmから上を若干カットすることにより、まさにカムに乗る様子を具現化したかのようなフィールを手に入れることができました。 


ご友人とのランデブーがより一層楽しくなるように、DAYTONAなりのバランスとスパイスを与えてみました。 
これから先の少し気温が下がりだす季節の頃に、思いっきりドライブを楽しまれて下さい。


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Pure Response


“友人のリッターバイクと一緒にワインディングを走るのがちょっとした楽しみ。もっと一緒に走ることが出来るようにチューニングを行いたい。” これまでにもECMチューニング等でDAYTONAにお見えになったことのあるZ33オーナーさんから相談を頂きました。
高速道のようなダダッ広い直線を走るのではなくて、アクセルのON-OFFが繰り返されるようなシーンで楽しめる性能の追求。
高回転域のパワーは必要以上には求めてないし、反面レスポンスが良いだけのハイスロットル仕様も不要。 僕はオーナーさんから伺った走行シーンを思い浮かべてみてチューニングの可能性を考えてみました。 結果として、なめらかなフラットさの中にパワーを感じるシーンをイメージし、ハイレスポンスならぬ"ピュアレスポンス仕様"として256度ハイリフトカムシャフトにATIスーパーダンパーを組み合わせ、エンジンの軸をチューニングする方針をご提案しました。


入庫後、直ぐに作業に取り掛かります。 Z33/Z34に搭載されるVQエンジンはエンジン内部へアクセスするためには基本的にエンジン着脱が必要になります。
カムシャフトを動かすVTCプーリーやタイミングチェーンを取り外す際に、エンジンフロントカバーの着脱を必要とするからです。エンジン搭載の状態であれば、空きスペースが狭く結構な手間になるから降ろしたほうが・・・。という考え方もあるけれど、僕は同じ手間なら「外さなくて良い箇所は極力そのまま残しておきたい」と考えるタイプですので、手間はかかるけど最小限のエンジン分解を行い純正のカムシャフトを取り外しました。


下廻りも同様に、オイルパンやクランクプーリーの着脱を行いますので、車体に載っているエンジンはシルバーのアルミニウム合金だけと言っても過言ではない状態になります。
普段搭載されているイメージではとても巨大なVQエンジンユニットですが、補機類を取り外しエンジン単体にしてしまうと意外なほどコンパクトなエンジンであることに気が付きます。参考までにエンジン重量は180kg これはSR20エンジン(4気筒)よりも10%ほど重たいだけですので、やはりコンパクトさが重量に直結している。 つまりはスポーツカーのパワーユニットとしては適しているということを意味します。

さて、折り返し地点からの組み上げを開始してゆきます。


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