ブレないということ。


東海地方より、プライオリティサービスにて入庫いただいたZ32です。


メーンはリアメンバーブッシュの交換及び、サスペンションアーム(ブッシュ)、それとSTILLEN調整式スタビライザーの交換です。
僕は強化スタビライザーを装着した乗り味が好きで、ロールゲージを入れボディ剛性の向上に匹敵するほど、ロール剛性の向上はドライバーに安心感を与えてくれます。単に速く走るのが目的ならば考え方も変わってきますが、時にはハイスピードでスリリングかつ楽しくドライブするならば、ロールの少ないスポーツカーは安定性があり、車をコントロールする楽しさは他のどのようなパーツでも味わうことのできない、スタビライザーでしか実現することのできない大きなメリットがあります。フロント3way リア5wayの調整が可能ですので、自分好みのセットアップを探してゆくのも良いでしょう。


WHITELINEリアメンバーマウントブッシュの交換は、サスペンションメンバーを降ろし油圧プレスを用いての作業となりますので、相応のスペースと体力がエンジニアに求められます。
年に数台の作業を熟すとは言え、エンジニアは「もっといいやり方があるのではないか?」と、今回は事前に製作していた新しい治具を使い作業に挑みましたが、結果としては「余計大変になっただけで、従来の治具のほうが良かった」と苦笑いしていました。


車載してしまえば結果としては同じこと。
しかし、その過程において時間短縮のみならず確実性を追求する姿勢に、エンジニアの職人気質を見ることができました。
今現在のデイトナの業務において、90%以上の作業は2人のエンジニアが専任として行っています。
僕はオフィスワークが主たる仕事で現場に1日中居ることはなく、どうしても結果のみで判断してしまい「納期が過ぎてる!」「他の入庫車両が詰まってきてる」「ペースを上げて!」等 作業に対する結果は完璧であることは当然としながらも、急かす事ばかり求めていた自分の姿勢を反省することとなりました。
立場が異なれば、行う仕事も変わってくる。
これはこれで当たり前の事ですが、肝心なことはチームが同じ方向を向いているのか否か?
当然ながらに答えは「Yes!」 より良いパーツを世界中から集め、より良い技術でオーナーさんの車へセットアップを行う。
その方針は常に変わりません。




小は大を兼ねない。


先月末にZ1へオーダーしていたパーツが到着しました。
オーダー数により多少変動はしますが、この数年ほぼ毎週Z1より1パレットが入荷している状況です。
今回の入荷分は約40%のRZ34 25%はZ33,34 10%ほどZ32 残る25%はRV37向けという構成で、やはり現行車向けのチューニングパーツが半数以上を占めました。

扱うアイテム数が多くなるにつれ、新製品パーツの特徴や取り付けに関する注意点など、専任Z1アドバイザーとの連絡を密に行うことに加え、今年よりZ1はオーソライズド ディーラー制を展開することにより、これまで以上にZ1へ精通できることとなりました。
ところで先日「RZ34へ、Z34のディスクローターを転用することは可能でしょうか?」というお問い合わせを業者様よりうけました。
逆ならともかく、またDAYTONAではRZ34向けとしてZ1ディスクローターの展開を行っていますので、何故そのような質問をしたのかの意図はわかりませんが、答えから先に述べると”不可”です。

Z34とV36でしたら共通品番も多く、流用/転用ができるアイテムは無数に存在しますが、それは車重も出力も似たような位置にあるからこそ出来ることであり、RZ34とZ34では重量こそ近いですが、出力は120%ほどの差がありますし、ブーストアップだけでも150%以上の出力差は出ます。
チューニングの度合いが進むに連れ、その差は更に広がっていきます。
その場合、基本設計の段階において安全率をどの程度で設定しているか?が重要となり、車のキャラクターが大きく変われば変わる程、ブレーキの最大の目的でもある「安全」を担保できず、すなわち「装着不可」という回答になるのです。
例え寸法が同じであったとしても、だからと言って「装着可」と言う答えになるとは限らないのです。