380RS純正採用ピストン


PISTAL RACING │ 鍛造ピストンキット - Nissan フェアレディZ Z33 NISMO Type 380RS
今から17年前 当時のプロダクションレース用に開発された380RS-Cのエンジンをベースに、ストリート仕様へとリファインされ300台限定で販売が行われたのがNISMO 380RSです。
その名の通り3800ccもの排気量を持つエンジンはVer.nismoのVQ35HRをベースに、専用ピストン、コンロッド、クランク、カムシャフトを持ち350馬力を簡単にマークしました。
当時の資料によると、リペアパーツは用意されていたものの、エンジン内部等の細かなパーツは存在せず、エンジンASSYでの供給となっていました。
ですが、それは17年前もの話。 今となっては販売元である日産自動車からのエンジンASSYの供給もなく、380RSユーザーはメカニカルトラブルが生じないことを願うばかりでした。

そもそも300台と生産台数が少なく、またメカニカル・オーバーホールを必要としない380RSが多いため、デイトナにおいても過去にエンジンに関する案件がなかったことで、これまでにも詳しく調べたこともありませんでした。
しかしながら実際に案件を頂き、調査をしていくと本当に何の部品も出ないことに驚きました。 各種消耗部品に関してはHRエンジン用を使用することはできるようですが、ピストンリングに関しては専用設計であるため、
私達はピストンサプライヤーを調た結果、イタリアに本社を置くレーシングピストンメーカー"PISTAL RACING"と判明しました。

PISTAL RACINGは、アルミニウム合金2618(Al-Cu ex RR58)と鋼合金をベース素材に、ミルスペックAクラスにて製造が行われた後、ピストンスカートにソリッドステート潤滑コーティングが行われています。
設計〜製造に至るまで自社で行われており、強度が高く非常に信頼性のあるピストンメーカーとして知られています。

早速PISTAL RACINGへ連絡を行い、380RS純正ピストンの画像やサイズ等のデーターを送り、リペア・ピストンの供給が可能か打診しました。
その後協議を重ねた結果として、nismoの刻印がある同一ピストンではなく、類似した互換性のあるピストンを供給してもらえることになり、
あわせてピストン交換までは必要としないユーザーさん向けへ380RS純正ピストンへ対応できるピストンリングも入手することが出来ました。

弊社顧客さんを始め、日本に現存する380RSオーナーさんが、少しでも380RSを良い状態で維持できるお手伝いをさせていただけましたら幸いです。

380RSオーバーホールを開始します。


nismo 380RSのエンジンオーバーホールを行います。
とはいえ、エンジン内部のスペシャルパーツの一切はnismoからは供給されていないどころか、nismoでさえも入手困難との話を聞き、
世間でのオーバーホールはどのように行われているのか、数社へ訪ねてみましたが「部品は供給されていないので、洗浄して組み直しを行いました」とのこと。
たしかに、ダメージが無くメンテナンス的なオーバーホールならば”それ”で十分に対応できます。
メタルに関してはHR用のグレードをいくつか集めたら対応できそうな雰囲気で、ガスケット類もHR用がそのまま使用できそうです。
ピストンリングは交換したいので、色々と調べていたところ製造元までは判明しましたから、現在は製造元へピストン及びリングを供給してもらえないか打診しています。
上手くいくようであれば、300基製造されたと言われる380RSオーナーさん向けへ良い案内ができるかもしれません。
まずは、手元にある380RS これをキチンとメンテナンスすることを優先してゆきます。

新チューニング用語「ととのう」


同業者さんからご依頼のDAYTONA SPORTS ECM。
車はフェアレディZ Z33HRでした。
大きな剥き出しタイプのエアクリーナーが2機装着されており、時々DTCエラーが点灯するとのお話でした。

早速UpRevで通信し、DTCコードを読み出すも”記録なし”。
オーナーさんのみ間違えかも?ということで完結しようとしていましたが、アイドリングも苦しそうに安定しきれない様子でした。
少し気になったのでデータロギングで現状の車両値を確認すると、空燃比は一般的には14.5付近のはずが現車は16.5付近を示しており明らかに燃料が不足していることが判明しました。

当然ながら原因としては、吸気量が多すぎて燃料が薄まってしまい、結果として全域で酸欠ならぬ燃欠状態となっていました。
通常、VQエンジンはフィードバック能力が高く、コンピューターが意図する空燃比まで自動で追従する仕組みとなっていますが、あまりにも大きな変化には対応できません。
結果として、ほぼ全域で純正比10%ほどの燃料を送り込むことにより、ようやく常識的な空燃比となりました。

内燃機というものは、燃料が薄いほうがエンジンは軽やかに回転しフィーリングは上がりますが、薄すぎるとエンジンブローの危険性があります。
逆に濃い場合は、エンジンは重たくなりますが破損のリスクは回避され、点火タイミングとの組み合わせにより出力は向上してゆきます。
そのバランスを整えるのがチューニングであり、車を正しい方向へと導く事を指しています。