トラブルシューティング


エンジンが不調すぎて、積載車での入庫となったZ32 NA。
なんとかアイドリングはしてくれるものの、アクセルを踏んでもエンジンの反応が薄く、とてもではないけど運転できるレベルにありません。


OBDスキャンを行うと、DTCではMAFセンサー(エアフロセンサー)異常となり、確かに電圧がとても低いです。
お客様がネットオークションで落札した純正中古のMAFセンサーへ交換しても全く同じ。流石に怪しいので、MAFセンサー〜ECM間の導通を見ますが異常なし。
更にお客様がネットで購入したサードパーティMAFセンサーへ交換すると、先程までとは異なり調子を戻したように思いましたが、
アクセルを踏み込むと黒煙が凄く、それはそれで運転できるレベルにありません。
まさかと思い点検用のMAFセンサーへ交換すると、その”まさか”となりエンジンは好調に動き出しました。

近年、ネットオークションやECサイトが充実しており、ほしい時にほしい物を簡単に購入できる時代とはなりましたが、それが確かなモノとは限りません。
中古は仕方がないとしても、怖いのは新品サードパーティ品です。
今回のMAFセンサーを例に上げると、空気量に対する電圧が高く 結果として燃料噴射を多く行うようにECMへ司令を行っています。
当然ながらフローテストもロクにせず、形だけ同じとしたものが今も平然と販売されているわけです。

PCM工法でつくるカーボンファイバーの優位性。


間もなく発売を開始する、RZ34用のカーボンインテリア・アップグレード123.
形成型に合わせ炭素繊維を樹脂で固めるウエットカーボンや、大きな釜で焼くドライカーボンでも無い、
Prepreg Compression Molding (PCM) 工法を用いられたカーボンパーツです。
高い生産性と品質で仕上げられるため、近年ではR35 GT−R nismoの外装へ、同様の技術を用いたカーボンアイテムが純正採用されるほどになりました。


DRMが提携するカーボン工場では、このように金属製の金型が製品毎に用意されています。
つまりは金型製作が重要となりますので初動に若干の遅れが生じてしまいますが、一度決まれば量産は比較的容易になります。


金型を油圧プレス機へ設置したところです。
イメージとしては”たいやき機”に近いところです。


右側に見える赤色の配線がヒーター線です。
熱硬化型エポキシ樹脂を浸透させた炭素繊維を金型へ敷き、130℃ほどに熱してゆき、6MPaほどのプレス圧をかけて完成するのです。
PCM工法で製造されたカーボンファイバーは、気泡(ピンホール)が入らず上質な仕上がりを約束してくれる大きな優位性があります。
また個体差が非常に小さいため、製品毎によるフィッティングのバラツキが無いことも大きな利点と言える、カーボン製作の最新手法です。


オールフェアレディZミーティング2024

羽田空港から御殿場までの移動は、これまでは車を使っていましたが、今回は宿に車がありますので電車での移動となりました。


前夜 18:00~
羽田空港からは、在来線を20駅近く乗り継いでいき、ようやく御殿場へたどり着くことができます。
座っていたら良いだけではあるものの、それはそれで大変というより退屈、、、
福岡を発つのが遅れたため、予定を大幅に超えた夜21時過ぎに御殿場着となりました。


開催日 4:00~
前夜24時に就寝し、4時には御殿場のガソリンスタンドでRZ34の洗車を行っていると、DSCC中部の榊原さんと遭遇。
彼とは20年近く交流がありますが、気心知れた良い関係を継続しています。
そしてゲートオープンの5:30ジャストに富士スピードウェイ 東ゲートへ到着し会場へ行くと、嬉しいことに出展者では1番乗りでした!


6:00~
参加車や出展者が少しずつ集まりはじめ、また今回SACLAMより2名の応援も来てくれ一気に設営を行います。


nismoフェスティバル同様に、RZ34とSACLAM管を配置し、Zオーナーサン達は普段は見ることさえも稀なエキゾーストを見て触って質問して。
興味を持つ参加者さんに楽しんでいただけるようにレイアウトの工夫をしました。


9:00~
開会式が行われ、参加者さんたちは本当に楽しそうに車を見て回っている姿が印象に残りました。
このような大きなイベントを開催してくださる事務局の皆さまへ感謝すると同時に、素晴らしいイベントへ出展させていただけることにも感謝します。


RZ34コーナーは当初予定していたスペースには入りきれず、まさかの台数の多さ ずらりと並ぶRZ34の光景に圧巻しました。


少し時間を見つけては、僕も会場を歩いて皆さんのフェアレディZを拝見させてもらい、ユニークなモディファイを楽しんでいる方も多く、とても参考になりました。


少し見えにくいですが、RZ34のボンネットダンパーをネット通販で購入されたという方より見せていただきました。
ダンパーが、まさかのハの字。。。
このままボンネットが閉まるとも思えずに、残念ながら?廃棄となったそうです。。


DAYTONAブースへ戻ると、とにかく訪ねてきてくれる方が多く、nismoフェスティバルやオートサロンの時よりも、喋っている時間が長い。。。
今回は物販は一切行わずに、いつもは通販/メールでしか交流がない方や、お久しぶりの方も含め、DAYTONAなりのZファンイベントに徹しました。


15:00~
閉会式と共に解散です。
いつも思うことなのですが、大きなイベントでの楽しい時間は必ず終わりがやってきて、個々は自分の城へと戻ってゆきます。
その光景を少し悲しく寂しく感じてしまうのですが、言い換えれば「また来年もこの場所で会おうな!」
の印なのかもしれません。 

DAYTONAは初参加となりました”ADVANオールフェアレディZミーティング” 
沢山のオーナーさんと、沢山の喜びを分かち合えたことを嬉しく思います。

またお会いしましょう!




バトンは次の世代へ。


オイルリークでお預かりした、Z32ツインターボ最終モデル。
お父様から息子さんへ引き継がれることとなったZ32は、これまでも”ある程度”の整備を行ってきたとの事ですが、あまりにもオイル漏れが酷くディーラーへ相談したところ部品もない為修理不可。
そこでデイトナへ相談してくれることとなりました。


パット見は、そこまで悪くない雰囲気でしたが、所々”その場しのぎ”的な修理痕が見られ、また全体的に経年劣化していることからも段階的な修理を行い、必要な修理箇所を特定する方針にしました。


パワーステアリング系、クランクシール系、カム/オイルポンプシール系をエンジン車載状態で行いましたが、ファクトリー2のJunは、やはりオイルパンのシーラー痕が気になって仕方がないとの事。
推測する限り、再シールの施工が不十分である可能性が高いです。


仕方なく、と言うより当初の予定通りエンジンを降ろすことにしました。
2023年は19機 2024年の今現在で9機 VG30を降ろしていますので脱着作業は非常に早く、おそらく日本一のスピードと精確さです。


エンジンを降ろさないと、オイルパンを完全に外すことのできない構造であるZ32。
ですが、本個体はエンジンを降ろした形跡はなく、どうやって液体パッキンを充填することが出来たのだろうか?不思議ではありますが、液体パッキンの基本は古いシールを如何に完全除去出来るかが大きな鬼門となり、
不完全ならば再シールを行ったところで、凹凸が出来てしまった接合部よりオイルリークを生じてしまい、今回はこのパターンです。


また、シリンダーヘッド背面は相当な高温となり、純正シールは無惨にも溶け落ちてしまうのです。


デイトナでは単に修理を行うだけではなく、三日月キャップは高温対応型のシリコーンを
VTCソレノイドはASSY交換ではなく、オーバーホールを行いアルミニウム製のカバーへとアップデートしています。

エンジンを搭載し、最終調整を行い無事納車をおこなうことができました。
これで実際にステアリングを握る息子さんも、Z32を託したお父様も、皆が安心してフェアレディZを楽しむことが出来るかと思います。

ありがとうございました。