明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



血みどろの無惨絵を見ながら妄想に耽る乱歩だが、いわれてみれば乱歩が何か広げて眺めている写真を見たことがあるな、と思ったが、それは芳年の絵だったそうである。私は背景にヌードを配したいがために乱歩の妄想の元として無惨絵を置いた。モデルをお願いした女性に送ったが反応がない。しばらくして、あれって私?実際の撮影現場はあんなドロリとした妖し気なムードは欠片もない。 完成5分後にフェイスブックにアップしたが、少々勇み足で、その後鞭跡を修正し、煙草の煙は20回はやり直した。だからラブレターは一晩明けてから投函せよ、といっただろう。 勉強不足で鞭跡とはどんなものだったろう、となんとかやってみたが。まあリアルにすれば良いというものでもない。友人からはまた部屋に飾れない作品を、とメールが着たが、それをいっては私の場合お終いなので、かみさんや娘が帰宅する前にタンスの奥から出してちょっと眺める、そんなことを提案してみたい。 出版社がなくなり廃刊の『乱歩 夜の夢こそまこと』(パロル舎)では『D坂の殺人事件』を扱い、そこにもマゾヒストの女房が出て来るが、今の私だったら縄の跡だけにしたかもしれない。鞭跡どころか斬り傷じみてやり過ぎであった。



銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

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