明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



田村写真に、灯台風景の『汝の安航を祈る』もプリントしてもらうことにした。灯台は天候から何から噓八百で、大改造を加えている分、わざとらしく不自然で、絵画的に見える。 ような気がする。刑務所に長くいると実は罪など犯していないと思い込む人がいるそうだが、天候の悪い中の撮影だったのをすっかり忘れていた。 取りかかっている乱歩が完成すれば、次はジャンコクトーを撮影の予定である。これはあらかじめフランス軍だかの木製弾薬容れの中に、コクトー的世界の中にコクトーを封入してあるので、蓋を開けて撮るだけで済むだろう。狭い箱の中だけに、ライティングを工夫することが出来ず、陰影を出さない手法にはうってつけである。被写体としてようやく出番が来た。この調子でいけば、出品作は30点近くなりそうである。ウンザリ止めに、青空の灯台風景を差し挟む、という企みである。 『猛虎図』を観た友人が「石塚さん、どこへ行くのか分からんなぁ」と。私は以前からいっているが頭に浮かんだイメージのためならどんな卑怯な手でも使う所存である。どこへ行くのかは私にだって判らない。虎を作って、なら龍を作って龍虎図だ、なんてやっていたらどこへ行くか判ったものではない。こうやってモグラが穴を掘り進むように変化して来た。ただ止められたならその程度の物である。写真の素人の私が人形も作らず古書店通いでオイルプリントの実験続けていた時ははやく止めなければ、とほんとにヒヤヒヤドキドキしていたが止められなかった。私は大正時代の作家のジジイ共を倒すつもりでインクにまみれていた。でなければ、ただやりたいからやっているという罪悪感に耐えられなかった。 最近飛ばしてはいるが、残された時間がそう潤沢にあるわけではないから、おかしな気は起さないでくれよ。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )