明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



軍医総監を完成させ、返す刀で江戸川乱歩の撮影。寝転がる乱歩である。乱歩のご令息立教大の名誉教授だった平井隆太郎先生に、乱歩の執筆の様子を伺ったことがあるが、寝床で寝転がって書いていたそうである。そうだ寝転がっている乱歩を作ろう、と思った。そういえば屋根裏の散歩者など、妄想に耽ってごろごろしている乱歩調人物がでてくる。思った瞬間の、私自身のごろごろしているポーズそのまま作った。灰皿に煙草、和綴じの本を眺めている所が完成したが、今回は乱歩もコレクションし、三島由起夫も好んだ、いわゆる血みどろ絵、無惨絵を床に広げて眺めている場面にした。 浮世絵ではその人の頭の中や置かれている立場など背景に描く場合がある。あれもやってみたかった。つまり乱歩の妄想場面を背景に描こうという試みである。陰影をかもし出す撮影は、せっかく作った立体の陰影を出さないよう、平面的に撮るより楽しいのは決まっている。女性の鞭跡は被虐的女性が登場する『陰獣』をイメージした。『D坂の殺人事件』でも構わない。しかしこれで果たして鞭跡にみえるのであろうか?



銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

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